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終焉の竜と王国  作者: 白山 銀四郎
3章 竜は狂愛を受けました
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21話 イルバンナ王女・・・鑑定させてもらおう

その頃、無事についたワットヌーエ国のイースとチュースト、そしてイシルではなくイルバンナがグウェンシークの歓迎を受けていた。

「ようこそお越しくださった。国王のグウェンシーク・グランディアです」

「歓迎痛み入ります。ワットヌーエ国国王イース・ロマネ・ワットヌーエと申します。

 こちらは摂政のチュースト、娘のイルバンナです。妻のイシルが体調を崩し

 代役として連れてまいりました・・・クローク殿は」

「クロークは別件で離れております。申し訳ない」

「いえ!ただお姿が見えないので」

イースはイルバンナをちらっとみた。イルバンナは外面の良い笑顔で立っているのみであった。

「ではさっそく調印式を始めましょうか。ご案内いたします。王女様はいかがなさいますか」

「先に休ませてもよいでしょうか」

イースはグウェンシークの言葉に甘えてイルバンナを休ませることにした。そのほうがちょこまかしなくてよいだろうと思って行動であった。イルバンナは案内された部屋で一旦落ち着くと荷物から次々と衣装とアクセサリーを取り出した。それを自らつけていくと満足げに鏡の前でくるりと回った。

「これでクローク様をわたくしのものにできるのね」

これからの未来に幸せそうに笑い、くるくると回っていると天井から黒い影が下りてきた。

「遅かったわね」

「クローク様は自室におられるようです」

「そう!では挨拶をしに行かなくてはいけないわね」

スキップをするように軽やかな足取りで兵士に変装した影に案内されて部屋から踊りでた。


 ティーズが額に乗せていた布を交換しようとしたその時、クロークが胸のあたりを抑えて苦しみだした。

「閣下!」

クロークはあまりの痛みに意識を強制的に取り戻した。グローリエがすぐに回復魔術を施すが痛みは一向にひかなかった。部屋の外ではヤルバとキヌエがただならぬ部屋の雰囲気に駆け込みそうになるが自分の任を果たすために扉から離れず部屋を守った。そこへ軽やかな足音が聞こえ、2人は剣を構えた。

「失礼いたします。ワットヌーエ国王女様が閣下にご挨拶したいとの」

「貴様、どこの部隊のものだ」

現れたイルバンナの前にたつグランディア兵の鎧を身に着ける男の言葉を遮り、警戒しながらキヌエは尋ねた。

「・・・・」

「答えられないのであればここでとらえるのみ」

ヤルバは首にかけている笛を吹きならした。その音に部屋にいるヘイルダム、ティーズが飛び出した。

「王女様・・・これはどういうことですか」

「私はただクローク様にお会いしたくて参りましたの。通してくださいますか」

「申し訳ありませんがお戻りください。どうもその横にいる兵士は我々の同朋ではないようですが

 あなたの私兵ですか」

ヘイルダムは剣に手をかけいつでも抜けるように構えていた。

「どうなのでしょう・・・私兵ではないと思います。そうですね・・・同胞とでも言いましょうか」

イルバンナの顔が歪んだ笑みを浮かべた。

 「グローリエっ!手を・・・貸・・せ」

「しかし」

クロークはヘイルダムの王女という言葉を聞き、国際問題になるのではないかと懸念した。向こうの様子だけでも確認するためにグローリエに手を貸すように頼んだ。

「・・わかりました」

グローリエは優しく抱き上げると扉の影に体を滑り込ませた。クロークは一層強くなる痛みを耐えながら扉の向こうを見た。


―イルバンナ王女・・・鑑定させてもらおう


いつもは失礼になると行わない鑑定をイルバンナに対して行った。弱った体には大分答えたがなんとか発動し、見ることができた。


―なんだ!?あれは・・・


クロークの目にはイルバンナの纏う装飾品の正体が見えていた。

“竜人封石”

「っ!最警笛!」

クロークはヘイルダムに向かって叫んだ。息が詰まりそうになるがそんなことはどうでもよいことであった。陛下の身を守らねばということだけが重要なことであった。竜人であるグウェンシークに害が及ぶ前になんとかしなくてはそれだけがクロークの脳内を占めていた。

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