2話 顔は悪くないと思うぞ
竜はどんな味なのかななんて思いながら書いていましたw
文字が多くて読みにくいかもしれません・・・申し訳ありません
「閣下、準備が整いました」
「ご苦労。ではこれより国境周辺の視察に参る」
クロークが馬にまたがると続けて兵士たちがまたがった。城門を抜けると街の大通りが姿を表す。そこをゆったりと進む。
「宰相閣下よ!相変わらず素敵だわ」
「渋味も出てきてかっこいいわ」
気がついた町のものたちがこぞって道にでてクロークたちを見送る。クロークはそれに手を上げて答える。
「なぜいつもこうなのだろうか…」
「閣下…それに本気でいってますか。閣下は月夜から降り立った竜人ですよ」
「それがわからないんだが」
「自覚してください」
「顔は悪くないと思うぞ。ヘイルダム」
クロークは自分の顔立ちは悪くないとわかっている。それを利用することもある。
「悪くないのではなく、よいのです」
クロークはヘイルダムの言葉に気恥ずかしくなりながら小さく笑った。
そうこうしている間に街の郊外への門までたどり着いていた。
「さてと何事もなく帰ってこれるように祈るとしよう」
「閣下!新兵がだいぶ疲労しております。」
今回は定期的に行われる国境視察ということで新兵を連れてきていた。やはり訓練をしているとはいえ慣れない長時間の移動に若干の疲れが目に見えてきていた。
「そうか…今日はここで夜営としようか」
「はっ!夜営の準備をせよ」
先輩の兵士たちがきびきびとした動きで新兵の指導をしながら夜営のテント等を組み立てていく。
邪魔にならないところでクロークは立ち寄った村で聞いたことを確認していくが
そのなかで気になるのは右手の山の向こうにある道で盗賊呼び出しならによる被害が多発しているという話である。
「盗賊被害はどうにかしたいな」
「しかし国境付近ですから…隣国にいかれてはどうにも」
「なんとか誘い込めないだろうか…」
「なかなかむずかしいですね。被害を受けた次の村で詳しい話を聞いてからでも」
ヘイルダムの提案にそれもそうかと頷き、次のメモに目を走らせていく。
ー他はとくに問題なさそうだな
「夜営準備完了しました」
「ご苦労。お待たせしました、閣下」
「ありがとう」
用意されたテントに入り何となく一息ついたような心地がするものである。
あとに続き入ったヘイルダムがクロークからマントを肩から降ろした。
クロークは椅子に腰を下ろすとブーツをぬぎ足首を動かした。
するとそこへ
湯気が立つ木桶をもって来たものがいた。
「ご苦労」
兵士は湯気が立つ木桶をヘイルダムに渡しテントから出ていった。
ヘイムダムは膝をつき木桶を横におくとクロークを見上げた。
クロークはため息をつくと脚をヘイルダムの差し出す手に差し出した。
「失礼します」
ヘイムダムはクロークの脚を優しく洗う。
クロークは貴婦人になったような気恥ずかしい気分になる。
「いつも思うのだが」
「なにをでございますか」
ヘイムダムは顔を上げず脚を洗いながら問い返す。優しい目で洗うなとクロークは前髪の間から見える目を見ていた。
「貴婦人でもないのに脚をこのように洗うのはおかしくはないか」
「おかしくなどありません」
「しかしだな…近衛副隊長がわざわざ」
ここでヘイムダムは顔を上げた。
「譲る気は毛頭ありません。それに隊長にも閣下のお世話を仰せつかっておりますから」
ーたしかに譲る気のない顔だ
「そうか」
ヘイムダムは諦めてくれたかと安心した。クロークが宰相になったばかりの頃、自分で脚を洗いほぐしているところに隊長がたまたま訪れたことがある。
そのときに隊長が膝をついて脚を洗って差し上げたことから始まっている。
そもそも近衛隊長が上司とはいえ国王でもないものの脚を洗うのはおかしいことであるが、これには隊長が恩義と尊敬の念をクロークに抱いたからに他ならない。
だからクロークからしたらヘイルダムまでこういうことをするのはと思わずにはいられない。
「反対を」
隊長だけでなくヘイムダムや兵たちにとってクロークはかけがえのない存在になっている。国王に対するものとはまた違う。
初めは国王を守ったことから登用され、宰相にまでなったクロークをやかっむ者も多くいた。
しかしクロークが宰相になったことによってよい変化が起き意識が変革していった。
それにやっかんでいた者たちは大概が命を全うしてこの世にはいない。
クロークは竜人種の中でも竜の血が濃い特異種寿命も長くヘイルダムが幼い頃から国を・・・
国王を支えてきた素晴らしい人である。
まるで過去のバルドス宰相、エドウィン宰相の再来とまで言われている。
「夕食をお持ちします」
「一緒に食そうではないか」
「はい!」
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グランディア王国では
国王執務室でグウェンシークと近衛隊長ヴァルツが右の壁にかけてある地図を眺めていた。
「クロークはどのあたりだろうか」
「そうですね…ニブル山脈筋かと」
北東に位置する山をヴァルツはさした。定期的にはいる連絡から察する場所である。
「そうか…帰って来たクロークが慌てないように政務を進めねばな」
グウェンシークは気が遠くなるような書類の山に手を伸ばした。
ヴァルツはヘイルダムにお守りしろよと心の中で言いながら己も国王の近衛の任を全うするようにそばに控えた。




