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終焉の竜と王国  作者: 白山 銀四郎
2章 竜は求愛されました
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13話 全筋野郎

だらだらと進んでおります

春もうらうら

暖かく眠気を誘う光が美しく透明な窓から差し込んでいる。しかしそんな眠気など関係なく今日も執務に終われていた。

「ロナルド、これを戦闘部隊長に届けてくれ」

「かしこまりました」


あの事件から半年が経過し護衛兵は執務の手伝いまで行うようになった。クロークを出歩かせるより誰かが届けて残りのメンバーでお守りした方がいいとなったのである。

ヘイルダムはもともと室内のみで手伝いをしていたので苦労もせずついていけたが

ヤルバ、キヌエ、ロナルド、ティーズはそんな仕事には不慣れでわたわたしていたが最近ではお使い程度のことはこなせるようになっていた。


ー意外だったのはティーズだな。見た目賢そうなのに魔術と戦闘以外はポンコツだったということだな…


ロナルドがすぐに戻ってきた。なにもなく渡せたようである。

一度ヤルバを使いにやった時に戻ってこず、気になったクロークが様子を見に行くことになったのである。見に行くと戦闘部隊長を腰に着けて戻らせてくださいというヤルバがいた。クロークはすぐに事情を察した。

「ゼンベル、私にヤルバを返してくれ」

「閣下!?」

クロークの登場に腰から手をはなし、姿勢を正したゼンベルは久しぶりにみるクロークに嬉しくなった。

クロークはゼンベルにゆっくり近づくと下から顔を覗きこんだ。


「強そうなものをみるとすぐに戦闘したがるのはお前の悪い癖だな。なぁゼンベル」

「……」

「なぁゼンベル」

「申し訳ありません!」

ゼンベルは顔を青くし頭をものすごい勢いで下げた。クロークは謝るゼンベルににこりと笑いかけると肩をぽんと叩いた。

ゼンベルはびくっとなった。ちぢこまるゼンベルにこれくらいにしておくかと力を抜いた。


「次からは事前にいってくれ。そうすれば模擬くらい手配する」

クロークの言葉を聞いたゼンベルはキラキラと嬉しそうな顔をした。

「ありがとうございます!では今度お願いします!引き留めて悪かったな、ヤルバ」

「…いえ」

ヤルバは今度があるのと微妙な気持ちでこたえた。

ーこの脳能筋…

クロークはころっと変わってしまったゼンベルにあきれた。よこでボソッと

「全筋野郎」

ティーズの声が聞こえた。

クロークはつい小さく笑ってしまった。笑ったクロークにティーズ以外がどうしたのか様子を伺った。


「なんでもない。では」

頭を下げゼンベルは見送った。来る模擬が楽しみだとワクワクしながら

「ティーズは意外と口も悪いんだな」

「申し訳ありません…聞こえてしまったとは」

「わたしだから聞き取れたようなものだ」


ばつが悪そうにうつむくティーズにそういった。

ヘイルダムはティーズに呆れていた。

さりげなくばかにしておりますよね、閣下とクロークをみた。

さきほどクロークは口もといった、つまりほかにも悪いところあるといわれたようなものである。


クロークはヘイルダムの視線に気がつくと片目をぱちっと閉じていたずら子のような表情を送った。

ヘイルダムもその顔にくすっと笑ってしまった。

よってこの一件でヤルバやキヌエを戦闘部隊長に送ること、ティーズはポンコツであることがクロークだけでなくヘイルダムにも知られた。


ロナルドが無事に戻ってきたタイミングでちょうどクロークの執務も切りがついたところであった。

「休憩にしようか」

「かしこまりました」

執務机から離れソファーに座ると横からカップが差し出された。

「ありがとう」

それを受け取り、口を近づけるとさっぱりとした果物の香りがほのかにただよった。

口に含むとなおのこと香りは広がりほっと一息つける気がした。

「相変わらず美味しいな」

「ありがとうございます」

「まさかキヌエにこのような特技があるとは」

がたいのわりに繊細なキヌエはお茶をいれるのが得意であった。

こだわりもあるようでいつも厨房でなにかをもらってきては今のようにアレンジを加える。


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