1話 月夜から降り立った竜人
深い漆黒を纏う竜は不浄を纏う化け物に襲われる王国に降り立ち一息でそれを葬り去った。
残ったのは星々を写し出す夜空のごとき竜とそれを見つめる王国だけであった。
一方的な戦いに、目を奪われた人々は文字で、絵で口でそれを伝えていく。
1300年が経つ今でも、伝説は語り継がれている。
われらグランディア王国の守りし、竜に一生の感謝と信仰を捧げるのだと
「失礼します」
「はいれ」
「陛下がお呼びです」
「わかった。すぐにむかう」
机を軽く整理すると部屋の鍵はきちんとかけ、入り口を見張る兵士の横を通り過ぎる。
すこし部屋を離れるときでも鍵は必須である。この部屋にあるのは国家機密も含まれているからである。
部屋の持ち主はクローク・ディメントはグランディア王国 宰相である。国王の覚えめでたく、その容姿から絶大なる人気をほこっている。
国民は揃って”月夜から降り立った竜人”とほめる。深い紺色の艶やかな長い髪、涼やかなシルバーグレーの瞳どれをとっても美しいに限る人物である。
「クロークです。失礼いたします」
「呼びつけて悪いな。お前が視察に行く前に確認したいことがあってな」
「陛下からの呼び出しなら喜んで。確認したいこととは」
厳かな雰囲気を放つ執務机な向こうに鎮座する白髪の厳つい顔の男はグランディア王国国王グウェンシーク・フォン・グランディアである。
いくつかの法律に関する議論を終えるとあたりはうす赤色に染まっていた。
「このような時間か…思いの外時間がかかってしまった。すまない」
「お気になさらず。とてもためになる時間でございました」
「気をつけて視察にいって参れ」
「はい」
クロークは議論をメモした紙を手に部屋を退室した。
ー明日までに残りの仕事終わるだろうか…
クロークは早く執務を終わらせるために無礼にならない程度の速度で執務室に足を進めた。
かきだしたのですが女性の登場人物少なくなりそうと
後悔している現状
どこかで女性を増やしたい・・・