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あやかし喫茶にようこそ  作者: 雪野夕弦
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あやかしが淹れたハーブティーはいかがですか?

僕、水無月(みなづき)(あおい)はよく見る夢がある。

その夢の中で僕は、海中に立っている。不思議と息は苦しくない。むしろ心地良ささえ感じる。


刹那、背後に誰かがいる気配がした。ゆっくりと背後を振り向くと其処には僕と同じ水色の長い髪に灰色の瞳をした女の人がいた。上半身は女物の着物のような物を着ているが下半身は人間では無かった。下半身は魚のような尾鰭(おびれ)がありその姿はまさに日本昔話にも出てくるような人魚だった。


「人魚……?」


僕は小さく呟いた。口を動かすと口から気泡が出てきて上に上がっていった。

僕の呟いた台詞が聞こえたのか女の人はにこりと微笑んだ。そして、口をパクパクと動かして何かを喋った。だが声は聞こえず女の人が口を動かしているだけに見えた。


「何?」


女の人をじっと見つめて僕は問い掛けた。女の人は少し悲しそうな表情をして涙を流した。海中にいるのに何故涙を流したのが分かったかなんて分からない。

しばらく女の人が涙を流しているのを見ていると女の人は僕にふわりと近付いてきた。

驚いた僕は避ける事も出来ずにいた。

女の人は僕に抱き着くと耳元で凛とした声が聞こえてきた。


『助け、て……』

「えっ?」


何を、助ければ?

そう問い掛けようとすると女の人は僕から離れて泳いで遠のいていった。


「待って!ねえ、待ってよ!」


何度も何度もそう言ったのに女の人は振り返る事なく何処かへ泳いでいってしまった。

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