アンノウン・イン・ワンダーランド ①
近くの一家が惨殺されたので、私たちは進路希望調査のプリントを片手に下校することになった。
まさか、同じ首都と言えどこんな郊外の中学校を爆破するなんて考えないだろうに。私の見解とはすっかり逆らしいクラスメイトたちが驚き喜ぶ中、誰に何を言われることなく帰路に着く。
幽霊。
それが私のあだ名だった。もちろん、直接そう呼ぶ人は殆どいない。人間が身内でもなんでもない幽霊に語りかけるのは、興味本位か何か特別な事情がある時だけだ。つまり誰も、それぞれの日常の中で私に話しかけようとしない。そもそも選択肢として存在しない。
それは私も変わらない。一昨日からずっと私の肩にのしかかっている男の姿が見えている私でさえも。幽霊には話しかけない。そうすれば、こちらに敵意が無い限り、しばらくしたらいなくなる。
何年か前までは「幽霊の子」だった。
首都から少し離れた県の山中で、近くの村に住む男が女の幽霊に会った。その幽霊が指さした方向にいたのが私という事で、それから七つになるまでを過ごした見世物小屋で、そういう風に謳われていた。
幽霊が産み落とした子だからか、私にはそれっぽいものが見えた。まるで私をそちらに呼び戻すかのように、彼らは私に寄ってくる。
ベッドの下から足を掴まれるとか、寝ている間に上に乗られるとか、部屋の隅からじっと見られるとか、そういうのは日常茶飯事。それで騒いだことは無かった。小さい頃は、ほら、腕が四本あるお兄さんとか、火を吹くお兄さんとかが実際にいたから。たまに結構グロめなのが出てくると息を飲んだりするけれど、大体は何とも思わなくなっていた。
見えない振りは、するのもされるのも慣れている。
される方は、まぁ偶に下手な人もいたけど、大体は波風経たぬ方向でやってくれる。配布物を渡さないとかは後から面倒になるので、そういうのは目を合わさずに済ましてくれる。下手に避ければ余計に関わらないといけなくなる。私の周りにいる人たちは、その辺りをよく理解していた。
実を言うと便利な事もある。例えば、施設に帰って、割れた窓の傍で青くなっている同級生を見かけた時など。やって来た職員さんに「私がうっかり割りました」と一言で、しっかり掃除するようにと言われるだけで丸く収まる。本当に割ってしまった彼女が受けるはずだった罰はどこへやら。誰かを庇っているんじゃないかとか、そういう追及すら嫌がられる立場だからできる事だった。
ガラスを割った彼女はというと、さすがに良心が痛むのか、掃除を手伝ってくれる。同じ施設で何年か暮らして、クラスも同じだったけれど、それ以外に知っているのは名前くらい。彼女は私と違って、何の曰くも無いただの孤児だ。それ以外は知らない。時々何かの罰則で外に立たされているのを見かけたりするけれど、施設で暮らしているなら珍しい事じゃない。むしろ私の方が異質な存在だった。
ガラス片を集め終わるとゴミ置き場へ持って行く。多分薄々気付かれているだろうけど、私はガラスを割っただの椅子を壊しただの、そういうのをよく引き受けていた。だから後始末にも慣れてる。何ならその後の処理を全く知らない人だっているだろう。
でも、別にそれで大丈夫。私は誰かと約束したりとか、そういう事は何も無いから。時間は人よりある。だからこの程度の事、何のロスにもならない。宿題は片付けられるし、明日の準備だって万全にできる。残った時間で本を読んで、消灯時間には全部終わり。偽物の幽霊はそんな日々を送っている。
だから。
「やーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっほーーーーーーーーーーーーーー!」
という遠くからの声が自分に向いているとは思わなかった。そして自分に向いている物ではないので少し驚きながらもスルーした。
「こーーーーーんちはーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
ら。第二段が来た。今度はもっと近くで、私の真正面から。ゴミ置き場の周囲には誰もいないから、そこでようやく対象が私なのだと気付いた。
「ねね、ここにシルシって名前の子いる? そっかいるのは確かか。今いる? ついでに言うといるんならどこ? あ、俺ナサケっての。トキワって家の、シンタローって人の付き人やってんの」
ナサケ、と名乗った少年は、一言で纏めると元気と無邪気が具現化したような人だった。もちろん施設で暮らしている子供ではないし、どこかで見かけた事も無い。多分、私がどう扱われているかも知らない。新年度とか学校行事の時に間違えて話しかけてくる人はいた。けれど――
「――私が、シルシ、です」
わざわざ私を探しに来る、なんて。最後にあったのは何年前だろう。そして何の用だろう。それを考察する間も与えぬまま、ナサケは風のように走り去って行った。
「しんたろーがここの一番偉い奴に話があるって言ってたからさー! 呼んどいてくれよー! 俺はしんたろー呼んでくるからさーーーーー!! じゃーまた後でなーー!! 十分後くらいーーーー!!」
「え、ちょっと」
私より、ここで一番偉い奴の方がいるか分からないと思うのだけど。
そんな事も伝える暇を与えず、少年は見えなくなっていた。
▼
なんとか「ここで一番偉い奴」を見つけてやってきた応接室。
ナサケが呼んできたトキワシンタローという人は、まさかとは思ったけれどニュース番組とかで見かけた事のある 常盤心太郎 だった。
王宮行事の映像が流れたりする時に、何かお祈りだか何だかをしているあの――というボンヤリとした知識しかないけど結構すごい人だ。あとはそう…社会科の現代史で貴族家の当主を五名答えよ、という問題が出た時に名字を常磐と書いて減点された人が結構いたとか。そのくらい。私まだ中学生なので。
「ふむ…最近の私は教科書に載っていると聞いたが。『どーせ盤だの磐だの書き間違えて減点されて嫌われてるか積極的に避けられてんだから気にすんな』と言われてしまったしな…私は通った事が無いので知らんが学校とはそんなものじゃと。うん、だから私を知らない前提で自己紹介でもしようか」
常盤心太郎は、見た目に合わない口調で…というか、話すうちにどんどん、ござるとか麻呂とかソレガシとか小生とかOJARUとか言いだして滅茶苦茶になっていた。まだ三十いくつで当主をやっていて、王宮行事の厳粛な雰囲気の姿しか見た事がなかったけれど、なんだろう、ほんの少し話しただけなんだけど、言う事の九割くらいが冗談で構成されている人だった。
…試験では名前書きませんでした。ごめんなさい。結構、他に間違えにくい名前の人がいたので。というか誰なんだろう、そんな的確な意見したの。
九割くらいの冗談を除去すると、常盤家は帝国貴族の中で代々同じ役割を担っている御家で、王宮行事の他に悪霊祓いだとかを任されている由緒正しき家系。最近はまぁ、当主争いのゴタゴタで術師の人数がゴリッと減ったり、ちょっと前は分家が別のおうちと揉めちゃってほぼ完全に滅んだけど? それでもまだまだちゃんと権力と由緒のある家なんだとか。そんな家の一番偉い人がどうして私なんぞに会いに来たのかと言うと――
「このナサケのように我が家で働く子が欲しくてな。常盤家は太古の時代より、術師一人に付き人を一人付けるという慣習があり。更に言ってしまえば諸事情あって単品の術師が一人余っており。更に更に言ってしまえば付き人というのは出生が特別な者という縛りがあり――」
「俺、何か詳しくは不明だけどネコっぽい動物から生まれた子供! がおー」
「がおがおー。という訳で、このような身分をもってしても非常に失礼極まりない言い分にはなりまするが、シルシ殿の持つ逸話が、我らには大変都合が良いという話。高校への進学やそれ以降の進学もしっかりと保証するし三食おやつ付き体罰や重労働など一切無しをこの命に誓いますので、この心太郎めの養子に入って家事手伝いなどしてはもらえぬだろうか、ということです」
「俺と、もう一人トモって奴と、三人で掃除したり料理したり風呂沸かしたりするんだぜ。しんたろーも美紀子も善助も良い奴だし、重い物とかは俺とトモで運ぶし、トモは料理上手いし、それからその――」
「やめた方が良いよ」
ずん、と肩に重みが増える。一昨日からずっと付き纏っている男の幽霊だった。
「嘘に決まってる。孤児の扱いなんて分かってるだろ。ここと同じさ。何かあればすぐに殴られたりするんだ。そうだろう」
返事はしない。幽霊なのだから。そういうものなのだから。
「何が術師だ。俺の姿だって見えてないじゃないか。さっきからこっちに見向きもしないぞ。ペテン師一家じゃないか。どうせ今の話も嘘に決まってる」
返事はしない…の、だけど。いや、駄目だ。聞いてはいけない。聞いてしまえば、返事をしたのと同じだ。
「本当の事を言っているのはどちらだ。俺は死んでいるけどそれだけだ。こいつらは幽霊すら見えないのに術師なんて言ってる」
「…でも、あと数ヶ月もしたら卒業で、働き口もそれまでに見つけなければいけない」
それで、見つかったとしても、高校には通えない。確実に。そしてそれなりに重労働は覚悟しなければいれない。根拠のない希望だけど、常盤さんの話が、もし本当なのだとしたら――
「ついでに言うと、えぇと…なんと言うのだったか。賄い…社員割り…福利厚生…まぁどれもピンと来るようで来ない言葉ではあるものの、大体そんなもの。我が家に勤めて下さるならば独自の特典というものがあって、つまり」
常盤さんが立ち上がる。
あれ、と思った次の瞬間、私のすぐ目の前に、常盤さんの顔があった。雛人形が着ているような綺麗な生地の和服を着て、凛と立つ姿がそこに。あぁ本当にテレビで見た事があるあの人だ…そう考えていると、私の顔のすぐ横に、持っていた扇子を突き出した。
「いや先刻から随分な物言いであったなぁ。乙女の身に気安く触れるでないよ下郎。冗談にしてもつまらぬ事この上なし、冗談でないなら…そうだなぁー、うん、これだ、胸糞が悪い。まぁ死んだから云々が大して意味を成さないという点には同意であるがな? その他全てがこの心太郎どんの広い広ぉい心の器から飛び出したのがいけない…良い事を教えてやろう。常盤の術師とその付き人はな、見えない振りが上手い。お前のように油断した者を、こうして消し去るためにだ。姿かたちを認めていたとしても、本性が見えていたとしても。見えぬ振り騙された振りをしてお前たちの喉笛を狙っている…ははは、まぁ良い、あまり怒るのは好きでなくてな」
すぅっ、と。常盤さんが扇子を上にやるのと同時に、私の肩は軽くなった。見ると男の姿は消えていて、前を向き直すと、そこには九割冗談の常盤さんが戻っていた。
「なーんて、我が子となる君に近寄る悪ーい虫は、生きていようがいまいが人間だろうがそうでなかろうが斬り捨て御免。そういう特典付きですので、どうか御一考を」
「じゃーなーシルシ、また会おうぜ。がおがおがおー」
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その日の授業が終わったので、私たちは進路希望調査のプリントを片手に下校することになった。
まだ入学して一月だというのに、卒業後に何をするかなんて思い浮かばないだろうに。私が思ったのと同じ事を言うクラスメイトと少し話をして、帰路に着く。呼び名は「常磐さん」か「シルシちゃん」になっていた。
見えない振りは、するだけになった。常盤家の本家屋敷があるのは施設とは違う街だったので、私が何と呼ばれているか知っている人は誰もいなかった。最初の頃はそれだけでこうも違うのかと驚いたけれど、少しずつ慣れていっている。クラスの何人かは事あるごとに話しかけてくれるし、話さない人も、別に意識してそうしているわけじゃない。なるほど、これが普通なのかと納得して、用があれば話をする。
変わった事は多々ある…というか、変わってない事の方が少ないんだけど、その中で一番すごいと思うのはやっぱり、帰る場所が「家」になった事だ。街から少し離れた山の中腹にある日本家屋の門を潜って、早ければそこで、私の帰宅に気付いたナサケが駆け寄って来る。おかえり、と声を掛けられるのも、まだ新鮮味があった。
「今日さ、晩御飯はカレーにしようって! トモと野菜とか買いに街まで行ってたんだ」
「荷物持ちとか手伝ったのに。次からは学校に行く前に打ち合わせしよう。私も帰りに合流するから」
本家と言っても、暮らしているのは三人の術師と三人の付き人だけ。そのせいか、家の広さに反して生活は質素なものだった。作る献立もカレーとか肉じゃがとか簡単なものばかりで、台所の棚にはカップ麺のストックだってある。家具とか、日用品が所々高級品なのを除けば、ごく一般的な暮らしに見えた。
「しーるしーーーー!! 帰ったか? 帰ったのか? 帰ったんだなぁー!!」
廊下を歩いていると、私の帰宅に気付いた美紀子さんが部屋を飛び出してくる。美紀子さんは私より一つ年上で、ナサケやトモくんと同じ十七歳。小さい頃からずっと家にいたり修行に出たりするだけだったから、同性の友達が欲しかったんだとか。それで随分と私を可愛がってくれる。今だってほら、すごい勢いで抱き付いて頬擦りしたり。
「ただいま、美紀子さん、トモくん…夕飯の準備するよね。ちょっと善助さんと心太郎さんに話があるから、それが終わってから行く」
私の言葉を聞いて、トモくんは頷いて美紀子さんを引き剥がした。付き人と言っても同い年だし、本家の人は誰も上下関係とかに拘らないから、この二人の間にはそんなに遠慮がない。山奥に咲く怪花から生まれたというトモくんは喋る事ができなかったけれど、美紀子さんだけは筆談も手話も使わずに意思疎通ができた。
ナサケは生まれてすぐに常盤家に引き取られて、ちょうど私くらいの歳だった心太郎さんに育てられたらしい。親子のようで兄弟のようで、心太郎さんが彼の事を溺愛している事は、一緒に暮らしていてすぐに分かった。何か特別与えたりするわけではないけれど、この二人にも言葉にせずとも伝わる物がある。そんな感じがする。
そして、私は。
付き人歴三か月の新米で、正直、善助さんが普段何をしているのかもよく分かっていない。結構な頻度で家事を手伝いに来てくれたり、かと思えば何日か家を出たり。それについて詳しく知ろうとするには、その他の変化が多すぎて意識を向けられていない。とはいえ名目上は私の保護者で、三人の術師の中で唯一高校まで通っていた人なので、進路相談はこの人にしなければならない。
善助さんが丁度、廊下の左手にあるいつも鍵のかかった部屋から出てきた。目は合わない。顔の右半分が包帯で覆われているから、横顔からは表情も読み取れなかった。
声を掛けると私の方に向き直る。
「えー、それでこの目付きと人相の悪~い若者が善助ぽん。言葉遣いだとか脚癖だとかも悪いけれど、中身は名前の通りの男であるから、どうか仲良くしてあげてくださいませ。ちなみに手癖は悪くないので安心なされよ」
この家に来た日に、心太郎さんからそう紹介されたのが善助さんだ。三人の術師はそれぞれ従兄妹らしい。私にはそれがどういうものかは分からないけど、一緒に暮らすくらいだからお互いに遠慮のない物言いができるらしい…少なくとも、顔の半分が火傷で包帯巻きの相手に人相が悪いとかは普通言えない。
「進路希望なぁ…入学して一月で何を決めるってんだか。俺はテキトーに進学って書いたな。家業が忙しいってんで結局しなかったが」
どうやら約十年前も生徒たちは同じように考えていたらしい…というか、部屋、開けっ放しで良いんだろうか。てっきり私とかには見せられないものでも置いてるのかと思っていたんだけど。
「まぁアレだな、心太郎どんは自分が通ってないんでよく分からんっていうのもあるが、学を付けるのは奨励してるからな。ナサケだって小学校は入ってすぐに辞めたが古典漢文数学は高校以上のレベルだし、トモだってコツコツと勉学に励んでる。通うか通わないかは向き不向きにしか考えてないからな、本人も言ってるが進学したいなら応援するだろうさ。お前はもう就職してるって事にはなるが、忙しさを理由に諦めるほど働かせるつもりもねぇよ」
「でも、私、まだ付き人らしい仕事してないような気がするんですけど」
「そもそもいなくて成り立ってたんだからな…おいお前、さては俺が心太郎どんの脛齧ってると思ってんな」
「いやそこまでは」
「ちょっと思ってんじゃねぇかコンニャロウ…まぁ良い、俺も説明してなかったしな。ついて来い。中の物には触るなよ」
善助さんはそう言うと部屋の中に入って行った。中は二階の床を抜いたような縦長の部屋で、壁は全て本棚で埋まっている。並んでいる本はみんな、凝った装丁のものばかり。同じ形のものは見た事無かったけれど、似たようなものを三冊、私は知っていた。
常盤の術師が持つという、生命の本。術師として見込みのある者が生まれると、彼らは一冊の真っ新な本を与えられる。術師はその本に自らの思想感情を書き記していき、それが術式のエネルギー源となる。けれどもその内容が知られれば致命的な弱点すら知られかねない、という事で本には強力な守りが付いている。術師以外が触れれば無条件に発動してしまうので、私たち付き人は、決して術師の本に触ってはいけないと言われていた。
「で、その本についての続きだ。術師と言えど人間、いつかは必ず死ぬ。しかし本は残る。本に宿った術式と共に…ここにあるのは常盤の術師たちが残した本だ。代々の当主と管理を任された者にしか伝授されない対抗術式をもって扱わなければ、簡単に異界送りだの五体バラバラだのになってしまう仕掛けが付いた爆弾みてーなもんだな。それが、今地震が起きて降ってきた本がお前に当たっただけでも発動するんだ…厄介かつ理不尽この上ないだろ? それがだな、常盤の家は面倒な輩が多くて、勝手に出て行ったまま行方不明の奴が結構いる。今の世になっても当主争いで一家皆殺しなんぞを企てる家系だからな、並大抵の数じゃない。悪霊祓いに失敗して魔境と化した地域のど真ん中にいるから回収不可能…とかもな。まぁそんな調子で所在不明の本が何冊もあるわけだ。性質は術師の特性によるが、どれもさっき言ったように導火線が短い爆弾みたいなもんで、それが山奥に落ちてたり民家の屋根裏に置き忘れられてたりする…と、ここまで話せば分かるだろ。俺の仕事はその本の探索と回収。と言っても、そんな本の情報なんて滅多に出ないから、普段はここにある本の解析と出張調査、あとは家事手伝いなんだけどな」
なるほど、そして私が常盤家に来てからは本についての情報が無かったので家事手伝いばかりになっていたと。…でも、進学を諦めるくらいなら付き人だってそのくらい忙しくなるんじゃ――
「さっきも言ったが、これまで付き人がいなくても成り立ってたんだから大した仕事はねぇよ。別に特別何か――いや、まぁ良い。今日は心太郎の帰りが遅いって聞いてるからな、提出期限が先なら明日以降に三者面談でもするか」
…いま、何かを言い淀んだ気がするけど。
そろそろ夕食の準備に参加しないといけなかったので、そのまま部屋を後にした。
みんな学校でチョコいっぱい交換したんだねぇ。
高校生じゃなくなった私はバレンタインが終わってチョコが安くなるのを楽しみにしているよ。
いつも高くて買わないやつを買うのさ。