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無能天使  作者: 汝 恵美
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はずれ者

まばゆい光に包まれたと思った次の瞬間、俺は森の中にいた。

見た感じ地球とそんなに変わらないように見えるが本当に転生したのだろうか・・・


(ちゃんとしてますよ。ここからちょっと行ったところに町があるのでとりあえずそちらへ移動しましょう。町中に転生するとパニックになりますからちょっと離れたところに転生させました。)


おっさんの声が聞こえる。


「ちゃんと考えてるんだな。」


ちょっと感心しながら歩き始める。


(なんたって転生させるのはこれで3回目ですからね。もうベテランですよ。)


得意気におっさんが答える。


「それ3回は誤死させてるってことじゃねぇか!」


(いやだなぁ・・100年に1回くらいなんでレアケースですよ)


「レアケース?」


(だいたいひとつの惑星にエーテル量ってのが決まってまして、これが飽和状態になると生態系のバランスが崩れるので間引く必要があるわけです。基本的に間引く必要はないんですが地球のようになかなか死者が出なかったりするとこっちから間引いて調整するわけですね。)


「で・・・ほとんど行わない間引く作業の対象を間違える事によって転生ってもんが発生するんだな」


(まぁそうなりますね。だいたい蘇生させて事なきを得るんですが御手洗さんみたいに我侭・・・いや納得されない方がたまにいまして・・・)


「生き返るの選択肢潰してたじゃねぇか!!」


(そんな怒らないでくださいよぉ。あなたの代わりに死んだ彼の為にも頑張ってこの世界で生きていきましょう。)


・・・・ん?俺の代わりに死んだ・・・?


「俺の代わりに誰か死んだの・・・?」


(転生先に同じくらいのエーテル量の方がですね、まぁ交渉大変だったんですが転生するための枠を空ける為にちょっと早めに死んでもらったんですよ。獣人族の方だったんですが、ちょっと難しい病気を患ってまして。辛い思いをしつづけるならと納得していただきました。)


「転生ってそういうシステムなの!?ちょっと重いんだけど・・・」


(あ、安心してください。来年あたりに特効薬が完成することとか伏せてましたんで完全に納得されてましたから)


「最悪じゃねぇか!」


人間と天使で倫理観にだいぶ差がある気がする・・・いやコイツが特殊なのか・・・

何だろう・・・何かが引っかかるが具体的に何がとは言えないこのもどかしさ・・・


「ところで何で来年あたりに特効薬が完成するってわかるんだ?そういうのも決まってるの?」


(あー・・・それはですね。あんまり詳しい事は言えないんですが神様が天啓という形で全人類にこの世のことわりを定期的に発信するんですね。で、興味のない方や学がなくそれが何なのかわからない方はそのまま記憶から消えちゃうんですが・・・)


「1%の閃きってやつか・・・まぁなんとなくわかった。特効薬のことわりが発信されてておそらく完成までに1年くらいって事ね。」


(察しがよくて助かります。まぁ御手洗さんの場合はもう天啓を受ける事がないんであまり関係ないですかね。)


「俺が馬鹿ってことか?」


(いや、そうではなくてですね。転生するということは輪廻の輪から外れるという事なのでことわりの外の人間になってしまうわけですね。ことわりの外にいるので天啓は受けません。ついでに老化したり死んだりすることはありません。)


「不老不死ってこと?すげぇじゃねえか!」


(死なないっていうより死ねないって感じですかね。腕とかちぎれても生えてきませんし、病気や毒にかかっても苦しいのが延々と続くだけで死にはしません。完全に塵になって無になるくらいしか死ぬ方法はない感じですかね。無から先はありませんが・・・)


「最悪じゃねぇか!!」


(最悪最悪うるさいですね。ちゃんとパンフレットにも・・・あ・・これ私たち用で教えないやつだった。今のなしの方向でお願いします。)


「・・・・・・・・。」


知りたくもないことを知ってしまった・・・いやこれは知っておいたほうがいいんじゃないか?

とりあえず怪我と病気には気をつけよう。

そう心に誓った時に町に到着した。


町は燃え、瓦礫の山がそこにあった。





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