4−4 ダイジョブたい!ボク戦えるよ〜!
おそくなりましたぁぁぁ!!ごめんなさい、短めです!
俺たちは第一試合と同じ出入り口から闘技場に入った。相変わらず観客の声は全く聞こえない。まぁ、そもそも、広い闘技場で観客の声なんて混ざってよく聴こえないと思うんだけどな。
俺はそんなことを考えつつ、ステージを観察する。ふむ、条件としては朝、小雨、岩の森って感じか。インディカ米のような細長い岩がたくさん乱立している。小雨か!俺に有利に働いてくれるか、はたまた、敵に有利か・・・。とにかく挨拶だ。
「両チーム、挨拶!」
場内にアナウンスが響く。一回戦とは違う声だな。
「優姫さん大丈夫ですか?」
「ダイジョブたい!ボク戦えるよ〜!」
涼香の声と優姫の声。いや、優姫はふにゃふにゃになってる。何してんだ。
「おいおい、ふざけてる場合じゃないだろ。試合だ試合」
俺たちは闘技場の真ん中まで進む。エルフ四人衆が俺たちと対峙する。俺は敵の表情を伺う。どうやら四人共、敗北するとは微塵も思ってないらしいな。
「フィリップだ。短い時間だがよろしく」
優姫が答える。
「はひ、よろひくおねがいひます・・・!」
優姫はフィリップの握手に力なく答えるとよたよたと後ろに戻る。・・・何やってんだあいつ。そんな弱体アピールなんてする必要ないだろうに。
「では両チーム旗を立てろ!」
「優姫さん、ふざけてないで行きますよ」
涼香が優姫を引っ張っていく。だが、優姫はそんな涼香にされるがままに引っ張られている。
俺たちは旗を立てる。今度はできる限り遠距離の射線が通らないように岩が密集した地帯に旗を立てた。これで、開始早々、旗周辺を一網打尽にされることはなくなるはずだ。
「よし、試合は始まってる。いくぞ」
俺がそう言った時だった。ドサリという音がして俺が振り返ると優姫が倒れていた。
「おい、優姫!いくぞ、今更やる気がなくなったって言っても聞かないからな!」
だが、優姫の返事はない。やれやれ、いい加減にしてくれよ。俺は優姫の頬を叩く。
「いくぞ!おら!」
それでも返事はない。まて、早速敵の攻撃を食らったのだろうか?死んだか??俺は念のため優姫の脈をみた。
「いや、脈はある」
俺は優姫の口元に耳を当てる。スースーと言う音。・・・これは、寝てるじゃねーか!
「優姫!なんでこんな時に寝てるんだ!」
「優姫さん寝てるんですか!?」
「おーおー、たいへんだな?悪いが俺はもう一眠りさせてもらうぜ」
アクセルはそう言って寝始めた。くっそ、報告どうもありがとう!
「やばい、もうエルフチームは動き出してる。涼香、一応優姫を治療して見てくれ!」
「はい!治療!」
涼香の手に現れた光が優姫の胸に吸い込まれていく。だが、優姫は起きなかった。
「ダメみたいだな」
「すみません、とても強力な何かで眠らされているようです!」
「それって!睡眠薬ってことか!・・・そうか、あの水!」
クソっ!食堂で出された水を飲んだのは優姫だけじゃないか!あの水には睡眠薬が入っていたんだ。どうする!もうエルフはそこまで来てる!優姫を起こすには・・・!
「優姫を起こす!どうすべきだ・・・?」
「どうやって起こしますか?また、水で濡らしますか・・・?」
「それはダメだ。またうるさくなる。まだ、居場所をバラしたくない。まて、どんな方法で起こしてもうるさくなるんじゃないか・・・?」
ダメだ。手詰まりだ。せっかく考えたプランは全て台無しだ。俺は顔を上げる。その先にエルフがいた。うっかり目があってしまった。にんまり笑っているような気がする。
「バレた!クソ、仕方ないアドリブだ!治療によって睡眠薬の効果って切れるのか?」
「切れているはずですよ。まだ寝てるのは優姫さんの特性だと思います!」
「なら、やりようはあるか。涼香、手伝って!」
「はい?」
俺たちは優姫を気をつけの大勢で地面に横たえた。
「涼香が跳躍で少し優姫を浮かせてくれ。俺が洪水の魔法で優姫を飛ばす。さしずめ人間大砲だ」
「ええ!?」
「おそらく相手の先鋒はルイザだ。あいつにぶち当てる!」
俺がそう言い切ると、エルフの一人が俺たちの旗のテリトリーに突っ込んでくる。ルイザは両方の手にかぎつめをつけている。彼女が握った岩には深々とかぎつめの跡がついている。
「見つけたぜ!人間!あたしに殺されな!」
「跳躍!」
優姫の体が少し浮く。
「洪水!いけっ優姫!君に決めた!」
くぅー!一回言って見たかったぜ!召喚するのは優姫以外がよかったが。
「なんだい!?」
ルイザは驚きながらも優姫を片手で吹き飛ばす。
ボゴォォ!!!
という音がして岩の柱が一個倒れる。
「いったいな!!!なにすんの!」
優姫お目覚め!
「お前の相手はあいつだ!さっさと戦え!」
「はっ!ボクなんで寝てたんだ!?速度強化!」
優姫はベルトにある本にさっと手を添えると呪文を唱える。優姫の体が赤い光に包まれる。ドンっと踏み切るとルイザの正面に現れる。ルイザは自分の攻撃を人間が耐え抜いていることに驚いて動きが止まっていた。
「何っ!」
ルイザの驚きにさらなる驚きが加わった表情!
「喰らえ!ちょっと突撃殴打!」
「ぐっ!!!」
ルイザは優姫の攻撃を受けて吹っ飛んだ。優姫は俺たちの方を向く。
「こっちはボクに任せて!あとは頼んだよ!」
「はいはい。言われなくてもな!」
「まかせてください!」
そして、優姫はルイザの吹き飛んだ方へ走る。スピードを強化しているから俺たちの目にはほとんど見えなかったが。
さて、優姫は寝起きだ。無理やり覚醒させた状況じゃ、100%の力は出ないだろう。こちらを早めに片付けたいんだが。俺はアレンとクラレンスを見る。
「うわ、岩が浮かんでるな」
「はい、そして、その岩が電撃を帯びています」
「なるほど・・・。あれじゃ、電撃を水で受け止めてどこかに流してしまうことができないわけだ?」
「そうなりますね・・・。水でいなすようなことをすれば岩の攻撃が。岩を受け止めようとすれば電撃が。私たちに届いてしまいますね」
「どうしたものかな・・・」
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