43話
「では……ルキア王女の病が治ったならば、その時は私の申し出を受けるというんだな」
「……ええ。その時はあなたの妻になるわ。ただ……いつになるかわからないわ。もし……あなたの気が変わってもあたしは」
フィンソスはカルの唇に人差し指を当てると、首を横に振った。
「それ以上言うのは許さないよ。私の気持ちはずっと変わらない。君以外の誰かを妻にするなんて、考えるにも値しない。だから待つよ。いつまでも」
「フィンソス……」
涙ぐむカルを、フィンソスは子供をあやすように抱きしめる。
「だが、もう待ち続けるのに飽きたから、私も協力するよ。その方が早く解決するかもしれないしね」
びっくりした顔で、カルはフィンソスの顔を見上げた。
「あなたが?」
フィンソスはくすりと笑うと、片眼を閉じる。
「もちろん私の場合は、陛下だけどね」
カルも緊張がほぐれたような笑みを浮べたが、すぐに苦笑めいた口調で呟く。
「あなたが手助けしてくれるのは嬉しいけど、そう簡単に病が治るとは思えないわ」
「わかってる。だが一人より二人の方が、心強いだろ」
自信ありげな表情で微笑むフィンソスに、カルは少しだけ不安がとれたような笑みを浮べた。
「そうね……」