表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/28

(07)2050年の世界の2日目~その2~

 紳士服店でのスーツ類の買い物を終えた2人は「せっかく外へ出たのだからほかにもいろいろと歩き回ってこの辺の土地柄を知りたい」ということで、買ったものを宅配便でマンションの自分の部屋へ送ってもらい、紳士服店を出たらまずはこの星浜ほしのはま市を南北に貫くようにして通っているLRT通りを南に向かって歩いてみた。さらに北のほうへ向かってしまうとマンションへ戻る時がややこしくなるからだ。歩道から見ると片側3車線の車道を挟んで一番真ん中のグリーンベルトにLRTの線路があり、流線型で真っ赤な車体のLRTが頻繁ひんぱんに行き交う姿が見られる。LRTの車体色が真っ赤なのでLRTはとても素敵な印象を与えてくれる乗り物だ。2人がいるこの付近は星浜市の南部でこのエリアはどちらかといえば通りの左右に高層マンションの立ち並ぶ住宅地域ベッドタウンとなり、似たような形をした高層マンションが多数建ち並んでいる。こうしたマンションの建ち並ぶ街並みでもLRTは架線のない地表集電方式のほうが景観性に合っている。2人の歩いているLRT通りは車道数が3車線で広く交通渋滞もほとんど見られないくらいで歩道もかなり広めにとられている。都市環境としては最高の創りである。


豊田「わ~、本当に未来の住宅都市ですよね~?」

山崎「はい。そうですよね」

「タイのバンコクとかシンガポールとかでも未来的な住宅都市の写真をネットで見たことがありますよ。その住宅都市には高架鉄道が通ってるシーンはもう未来の住宅都市そのものですよ」

「ライトレールでも十分に未来感は抜群ですが?」

豊田「ライトレールは電車の上にあるはずの電線がなくてすっきりとした街並みですよね?」

山崎「すっきりとした街並みは私も大好きですよ。そのすっきり感こそが未来の街の風景だと思いますよ」


しばらく歩いていて

豊田「山崎さん、ちょっとするのが恥ずかしいかもしれないけど、もう、そろそろ『あれ』していいかな~?『あれ』?」

山崎「『あれ』って?何でしょうか?」

豊田「ほら、山崎さんも街中を歩いてたらわかることでしょうけども、仲がいい男女が2人で歩いてる時、手をつないだり腕を組んだりして楽しそうに歩いてるでしょ?私も男の人と2人で歩いてる時、手をつないだり腕を組んだりして仲良く楽しそうに歩いてるシーンをあこがれてたの?」

山崎「私も同感ですよ。私も仲の良い男女が手をつなぎながら歩いてるところは『あ~あ、あの2人本当に楽しそうにして歩いてるな』ってあこがれてましたんで」

豊田「私、山崎さんと手を一度つないでみたかったの?手つないでいい?」

山崎「はい。どうぞつないでくださいね。大歓迎ですよww手つないで2人で楽しい思いをしましょうね」

豊田「出会えてからたった3日目で山崎さんと手をつなげるなんて私とっても嬉しいわ~」

山崎「豊田さん、私と手をつないでみてどう感じてきますでしょうか?」

豊田「二晩前のパーティーの終わりのほうで初めて出会えた山崎さんがこんなに温かく私と手をつないでくれるところまで来るとはまさか思いもよらなかったです」

「私の家の両親やかつて、結婚生活してた旦那さんがあまりにも厳しく、これまで私は周りに冷たい人ばかりに囲まれた嫌な毎日だったんです。こんなに温かい男性と出会えたなんて私はもう感動泣きしたいくらい嬉しいです」

山崎「こちらこそ出会えてから早くも豊田さんと手をつないでくれるなんてとても嬉しいですよ。私はこれから豊田さんのことを温かくそして優しく可愛がってあげますよ。これからも私のことをよろしくお願いしますね」

豊田「山崎さんって何て優しくて温かい人なの・・・私感動してきて目から涙が出てきちゃったよ」

山崎「豊田さん・・・目大丈夫・・・これで涙ふいてください。私はこれからはいつも通りを挟んだ斜め向かいに住むことになるからお互いに会いたくなったらすぐに会いに行けるから・・・私はいつも豊田さんのちかくにいるんですよww」

山崎は感動泣きして目から涙が出てきた豊田にハンカチを手渡した。


2人が手をつなぎ始めてから再び歩き始めると

山崎「ここに神社らしきものがありますね?入ってみましょうか?」

豊田「はい」

山崎「この神社、周りの街の雰囲気から取り残された感じの昔ながらの風格でいいですよね~?」

豊田「はい。ですよね」


と、このように2人は入った神社で「この神社は周りが都市開発されていく中でこの神社のみ都市開発の対象からは外されて昔のままの姿で2050年にまでここに鎮座している」と勘違かんちがいしているようだが、実は星浜市はかつてはただだだっ広い上に何もないとんでもない荒野だったところを開発した都市であり、この神社も荒野だった時代には当然のことながら存在せず、この都市が開発された際にわざと作られた神社の模造建築物だったのである。この星浜市内にはここ以外にも合わせて10数件ほどの模造神社や模造寺が存在しているのだ。


2人はこの神社が模造神社とは知らずに

豊田「山崎さん、この神社鳥居とかお参りしてお賽銭さいせんを投げ入れるところがとっても素敵だわ~」

山崎「そうですよね~。本当に周りが未来的な街並みになってる中、ここだけなぜか昔ながらの雰囲気が取り残されてるのかが不思議なところですよね?」

豊田「はい。私もそう思うよ」

「山崎さん、神社に入ったんだから何か願い事を込めてお参りしたら?」

山崎「はい、そうですね。じゃあ、私も何か願い事を込めてお参りしましょうか?ところで、豊田さんは何を願い事にするんでしょうか?」

豊田「それは・・・山崎さん・・・大好きww」

山崎「つまり『私と末永く付き合ってられるように』ということでしょうか?」

豊田「山崎さん、大正解!!ww」

「ところで山崎さんの願い事は?何でしょうか?」

山崎「私の願い事は『大好きになってもらえた豊田さんとこれからも長く付き合っていけるようにするとともにこの星浜まちにずっと住んでいられるように』とお願いします」


2人はそれぞれの願い事を込めてお参りし、賽銭さいせん箱に5円玉を投げ入れた。5円玉を賽銭にしたのは「ご縁(ごえん~5円)があるように」との思いからだ。


山崎が偶然見つけた模造神社でのお参りをした2人はちょうどお昼時に差し掛かっていることもあり昼食を食べるお店を探し始めた。

山崎「豊田さん、そろそろお昼になりますね?どこかおいしそうなお店ないでしょうかね~?」

豊田「こういう時もスマホで音声検索すればいいと思うよ」

山崎「はい、そうですね。でも今日はまだこの街に来てすぐだからもうちょっとお店を探しながら歩いてもいいかもしれませんね?」

豊田「それもいいですよね~。賛成」

山崎「じゃあ、おいしいお店を探しながら一歩きしましょうか?」

豊田「そうですね。では行きましょう」


2人は手をつなぎLRT通りの歩道をしばらく歩いていた。すると、歩道から右手に見えるLRTの線路が2階建てになっていることに気付いた。行きしにLRTに乗っている時には2人はまだLRTの線路がこの付近で2階建てになっていることにはまだ気が付いていない。LRTの線路は2階建てになったところで停留所も2階建てになった状態になっていた。LRTの線路の2階部分は2階建てになっている停留所の先で南に向かって左のほうへ分岐していた。2人は気になりその分岐しているLRTの線路を追いかけていく感じで分岐してからLRTの通りとなる通りを左折してみた。2人が左折した交差点のすぐ先でLRTの線路はまた地上に降り左折した通りの中央部を通っている。ちょうどLRTの線路が高架からまた地上へ降りてきたあたりにこの日の昼食に使えそうな店を見つけ、2人は入ってみた。この店は比較的規模が小さめのマンションの2階部分にテナントで入っている創作料理の店でユニークな料理が多数メニューにラインナップされている。地元でも「面白い料理が食べられておいしい」と評判の店である。


創作料理の店に入り

店員「お客様、お2人様ですね。今の時間帯、お昼時で混んでましてお客様をご案内できるまで20分くらいかかりますがよろしいでしょうか?」


2人は相談した

山崎「豊田さん、今、このお店混んでて店員さんに案内してもらえるまで20分くらいかかると言ってるんですが、どうしましょうかね~?」

豊田「ここのお店なんだか面白そうだから20分くらい待ってでもここでご飯が食べたいですよ」

山崎「そうですか~」


相談結果

山崎「すみません、お2人ですが20分間待ってでもお願いいたします」

店員「混んでまして、すぐにご案内することができなく、申し訳ありません」


ちなみにこの創作料理の店は終日にわたり全席が禁煙である。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ