(29)メガエアポート探索~その2~
山崎と豊田の2人は星浜国際空港に来ている。6月とはいえ晴れていて暑さを感じる。中央ターミナルから空港内移動用のAGTを使い北ターミナルにやって来た。
豊田「わぁ~ここもすっごい広いわね~」
山崎「はい。星浜エリアでは最大級の空港ですからね~ww」
豊田「飛行機がいっぱい見える展望スペースってないかな~?」
山崎「案内表示を見ながら進んでいきましょうか」
豊田「はい」
星浜国際空港は星浜地域では最大級の空港だけに航空機の発着回数も非常に多く搭乗口も1ヶ所では捌ききれないから南、中央、北の3つのターミナルがある。JRの空港駅はちょうど南ターミナルと中央ターミナルの中間付近に設けられているがあまりにも地下深い位置に駅があるために長いエスカレーターによって改札口が中央ターミナルの目の前に来てしまっている。高速バスの乗り場は3つのターミナルそれぞれに設けられているのでバスなどの道路交通はまさしく小回りが利く乗り物だ。空港内は3ターミナルともにひっきりなく発着している航空機の搭乗客や空港見学客などで平日の昼間の時間帯と言えども休日のテーマパーク並みの人だかりとなっている。2人が来ている北ターミナルは主に日本国内や中国、韓国といったアジア諸国方面への航空路線の発着ターミナルとなっている。北ターミナル内にはあちらこちらで中国語や韓国語でしゃべっている航空利用客が多い。特に中国人の人前でもうるさいことを気にせずに堂々とおしゃべりしているやかましさには定評があり日本人もうんざりしている。
山崎「このエレベーターに乗れば展望デッキへ行けますよ。じゃあ、行きましょうか?」
豊田「はい。行こう!」
展望デッキからは世界の航空会社の飛行機や目の前に広がる海の景色が見える。展望デッキには屋根のない屋外スペースと屋内スペースがあり晴れた日には屋外スペースで海風を浴びると最高。
豊田「屋根のないところはちょっと今日は暑いけども海からの風が吹いてきて気持ちいいわ~ww」
山崎「はい。海の風には潮の成分が含まれてるので普段には味わえない独特な感じがするんですよ~」
豊田「山崎さん、あの飛行機は何処の国からやって来たんでしょうかね~?」
山崎「さぁ~?何処でしょうかね~」
豊田「どこからやって来たか聞いてるんだよ!もうww」
山崎「これ、ハングルが書いてあるから韓国の航空会社の飛行機ですよ」
豊田「ほんとだ。ハングルが書いてあるわ。韓国の飛行機だwww」
山崎「もう一つ、中国からやって来た飛行機もいますね?」
豊田「どこ?どこ?」
「あ、ほんとだ。中国の航空会社の飛行機だ!」
2人は梅雨の中休みの暑さを感じつつも飛び交う航空機や海の景色を楽しんでいた。
そこへ、山崎と同じマンションに住んでいて転勤で大阪に将来は結婚も予定している彼氏が行ってしまった31歳の女性、石村がやってた。石村はちょっと泣き顔だった。
石村「あの・・・貴方は先日、私も住んでるマンションのフリースペースでお会いした山崎さんですよね?・・・」
山崎「はい」
「あれ?どうして石村さんがここに?」
豊田「山崎さんに声をかけてきた女性の方、ちょっと悲しそうな泣き顔をしてるよ?」
石村「・・・実は、今日・・・」
「大阪から彼氏がやって来るんで飛行場へ彼氏を迎えに来たんです・・・」
豊田「私、『豊田 忍』っていうものです。山崎さんの彼女なんですよ。私は山崎さんの住んでるマンションの斜め向かいのマンションに住んでるの」
石村「山崎さんと一緒にいる女性は豊田さんっていうんですか・・・」
豊田「石村さん、今日は大阪から彼氏がやって来るということなんだけども、その彼氏、何時ごろにこの空港に着く予定なんでしょうか?」
石村「・・・実は彼氏の乗った飛行機は時間的にはもうとっくにここに着いているはずなの・・・私はここで彼氏の乗った飛行機を出迎えたく、2時間くらい前からここに来ていたの・・・」
山崎「石村さん、彼氏から遅れるとか急に行けなくなってしまったことを知らせるメールとか来てませんでしょうか?」
石村「それが・・・私のスマホに彼氏からのメールが全く来てないの?来てるメールは変な出会い系やアダルト系のメールばっかりなの・・・」
石村はあまりの待ちくたびれにとうとう小泣きし始めた。
豊田「石村さん、元気出して!」
山崎「石村さん大丈夫・・・?」
石村「・・・どうしちゃったんだろう?まさか今日、急に都合が悪くなって来られなくなった?か、私のことを忘れちゃってドタキャン?」
「・・・いえいえ、そんなことはないはず?彼氏は私のことを非常に好きに思ってるから」
豊田「大丈夫?石村さん。これ食べて元気出して!ほら」
豊田は石村にポケットサイズのクッキーを手渡した。そこへ石村のスマホに彼氏からのメールが来た。メールの内容はこうであった。
石村の彼氏からのメール「件名:石村ちゃん大変申し訳ありません」
「本文:この間約束してた俺が石村ちゃんのところ行くの、実は急に俺、大阪で大変なことがあって、今日の約束を止めにしなければならなくなったんです。これは本当に大事なことなんでこればかりは石村ちゃんとの約束を止めてまで俺もその大変なことを片付けなければ俺の勤めてる会社が危ない状況なんです。本当に申し訳ありません」
石村「今、彼氏からメールが来て『彼氏が大阪で大変なことになってるから今日は止めになった』と書いてありました・・・」
「何でも彼氏の会社が大変な状況になっててその片付けをこなさないと会社が危ない状態なのよ・・・」
「でも、こればかりは彼氏の仕事が関わってくるところだから私のことを優先し会社の大変な状況をそっちのけで私に合いに来てたら彼氏は会社を首になってしまうことを考えたら、今回のキャンセルは私も納得するよ・・・」
「彼氏が会社を首になってしまったらお金が無くなり本当に私と将来結婚するという夢は立ち消えてしまう・・・彼氏の稼ぎのことを考えたら私のことよりも会社の事情のほうへおとなしく従ってほしい!」
2人は石村の彼氏が急に来られなくなった事情を聞き入れ石村のことを励ました。
山崎「なるほどね。そういうことだったんですか」
豊田「石村さんの彼氏も会社で大変なことが起きてしまって大変ですね・・・?」
「じゃあ、今日は石村さんを元気にさせるためにどこかおいしいところでご飯食べましょうか?」
石村「・・・そうですね・・・じゃあ、ご一緒していいでしょうか?」
山崎「そうですね。じゃあ、今日は3人でこれからおいしいところへ行きましょうか?」
山崎、豊田、石村の3人は北ターミナル内の飲食店街にやってきた。
山崎「今日は石村さんを元気付けるために石村さんにお店を選んでもらうことにしましょうか?」
豊田「そうですね。そうしましょう」
石村「そうですね~じゃあ、私がおいしそ~って思うお店に連れてってあげるよ」
「私、この空港来るの初めてなので、どんなお店があるのか楽しみですね~」
山崎「はい、そうですね~」
豊田「ですよね~」
3人は飲食店街を歩き始めた。すると石村が指さして
石村「あそこのお店、何だか面白そうですね~?行ってみません?」
山崎「はい、そうですね。行きましょうか」
豊田「はい」
山崎「今日のお昼は私がすべてお代を払いますので石村さん、今度こそは彼氏と絶対に会えることを期待して楽しくお昼を食べましょうね」
石村「はい、そうですね。今回は急用が出来ちゃって彼氏には会えなかったけど、山崎さんたちのおかげでつらい気分が楽しくなっちゃったよ」
3人は一見、回転ベルトの上にお皿が流されている回転寿司店のように見えるが実はお皿に乗っているものは肉や魚介類、それに野菜やデザート類でテーブルにある焼き網でベルトに流されてきたお皿に乗っているものを焼いて食べる回転焼肉店「BBQ処NORTH-AIRPORT」に入った。この店は入店したら1人分の代金をまず支払い、あとは2時間食べ放題になる店で代金もほかの焼肉食べ放題の店とは比べ物にならないほど安く1人1,000円+消費税21%と非常にお得感がある。これも空港内にある飲食店街の中の店だからだろう。会計カウンターの店員も若い世代で非常に雰囲気は良好である。山崎がこの日の昼食の幹事役となって会計カウンターに向かった。
会計カウンターの店員「いらっしゃいませ。このお店は食べる前にあらかじめ代金をお支払いしていただき、店員さんに案内されたテーブルにある焼き網の上で回転寿司店にあるようなベルトの上を流れてるお皿に乗ってるものを取ってそれを焼いて食べるシステムとなっております。空港内にあるという特性上、効率よいお店とするために完全な2時間制限付きの食べ放題でテーブルの上にメニューは置いておりません。飲み物は+税込み242円でドリンクバーを利用できます」
「このお店の説明が長くなってしまいましたが3名様ですね?お一人様税込みで1,210円でドリンクバーをご利用でしたら合わせまして1,452円になります」
山崎「わぁ~、面白いお店ですねww」
「それでは3人分でドリンクバー付きでお願いします」
会計カウンターの店員「3名様でドリンクバー付きですと1,452円×3名様分で4,356円になります。お支払いはスマホでもできますよ」
山崎「それでは、お願いします」
会計カウンターの店員「それでは、制限時間2時間をごゆっくりお楽しみくださいませ」
事前会計を済ませた山崎が戻り3人は店員にテーブル席へ案内された。山崎はこの店が焼肉店であることを聞いたのでテーブル上に焼き網があることを知っていたが、豊田と石村は初めて知りテーブル上の焼き網に驚いていた。さらに焼き網の熱源には本物の炭が使われ「空港でバーベキューが出来る店」が世の中あったものか3人とも不思議に思った。案内されたテーブル席に座り
山崎「さぁ~、これから2時間いっぱい回転寿司店のようなベルトから流れてくるものを取って焼いて食べてきましょうね~」
豊田「はい。面白いね~?焼くのもが回転寿司店みたいにベルトで回ってるなんてww」
石村「回転焼肉は世の中余りないからね~?ww」
「www」
山崎「石村さんが楽しい気分に戻れてよかったですね?」
豊田「じゃあ、回って来るお皿に乗ってるお肉とかお野菜いっぱい焼いて食べよう!」
山崎「みんな、飲みたいものある?私が持ってきますよ」
石村「じゃあ、私メロンソーダを」
豊田「私はアイスコーヒーをお願いするわ」
山崎「では、持ってきますね」
山崎はドリンクバーコーナーへ豊田、石村から頼まれた飲み物と山崎が飲みたいものをコップに注ぎ、3人分のコップをトレーに乗せてテーブルに戻った。
3人はベルト上を流れているお皿に乗ったものを取って焼き網で焼いて食べ始めた。
山崎「今日、私たち2人はちょっとした思い付きでこの空港に来てみたんです。そして面白い乗り物を見つけてそれに乗ったらさっき石村さんが彼氏のことを待ってた北ターミナルにやって来たんです」
「北ターミナルの展望デッキからは海をバックにいろんな国からやって来る飛行機が見られて飛行機ファンにはたまらないスポットかと思われますよ」
石村「そう、思えば去年の年末に彼氏が大阪へ転勤になってしまい、大阪へ行くために彼氏が乗った飛行機を見送ったのもこの空港の北ターミナルでしたよ」
「それで、今日、山崎さんたちがこの空港に来る2時間も前から展望デッキで彼氏が星浜に帰って来るのを心待ちにしてたの。でも山崎さんたちも知られちゃった通り彼氏は大阪での仕事で急に大変なことが起きちゃったから今回は止めになっちゃって。でも山崎さんと一緒にいた豊田さんのおかげで私は元気を取り戻し、今、3人で楽しくお昼やってるの」
豊田「ところで石村さんの彼氏と会う約束を立てたのはいつ頃だったのでしょうか?」
石村「今回の彼氏との約束は4月の中旬にしたんです。彼氏が元気にお仕事頑張ってるか心配になり彼氏にメールしたの」
豊田「最初はもっと早い時期に彼氏と会う予定があったのでしょうか?」
石村「はい。この時のメールでは5月のゴールデンウィークに会いたかったけども、この時、あいにく彼氏のほうの予定が詰まってて会う約束ができなかったの。それで彼氏も『このあたりだったら予定にも余裕があって私と会えるかもしれない?』ということで6月の今の時期に会う約束したの」
山崎「そういうことだったんですか~」
「豊田さん、石村さんの許に彼氏がいない時の話し相手役にもなっていただけませんでしょうか?女性同士だったら気持ちに不安があった時とかにもお互いにお話ししやすくて気持ちが安心してくると思いますんで?」
豊田「そうですね。気持ちが不安な時、女性とお話すれば気持ちが安定してきますよね。女同士でおしゃべりもきっと石村さんの気持ちが安心してくると思うわ?」
石村「そうなんですか~。豊田さん、私の話し相手になってくれるんですか?女性同士でおしゃべりとか歩いたりお茶したりするの楽しそ~?」
ベルトの上を面白いものが乗ったお皿が流れてきた。山崎はその面白いネタが乗ったお皿をベルトから取った。
山崎「あ、これ面白そうなネタですね?豊田さんか石村さん、これ食べません?」
石村「じゃあ、私これ食べたい!」
山崎がベルトから取ったお皿には鶏手羽元肉をチューリップ状に成型したものが乗っていた。よく総菜もの店で見かけるチューリップの唐揚げとはこの鶏手羽元肉をチューリップ状に形を整えて揚げたものである。
石村「本物の炭でチューリップみたいな形した鶏肉焼いたらおいしそ~?」
山崎「網で肉を焼くと家庭のフライパンではできない独特の香ばしさがあっておいしいですよね~?」
豊田「今度はベルトに生で食べてもおいしいマグロのトロが流れてきたわww」
「取っちゃえwww」
山崎「豊田さんの取ったマグロのトロもおいしそうですね~?」
豊田「これをちょこっと網で焼いてwwwわぁ~おいしおそ~」




