取り残されてしまった僕だけにみえた君
今日は雨が降っている。そんな理由で運動部は休暇を取るらしい。野球もサッカーもグラウンドが濡れたら活動しようもないからだ。そう、こんな土砂降りの雨だろうと僕らの美術部は活動することとなってる。しかし、他の2年の部員が時間が経ってもなかなか現れない。どうしたんだろう、と一人作成中の作品を描いてくと、1年生の女子部員が僕の所に駆け寄ってきた。「今成先輩とさっきあって三橋先輩に伝言があります。皆用事があるので帰るとの事です。」皆同時に用が入った。そんなことあるはずがない。僕一人を置きっぱなしにして皆で誰かん家で遊ぶつもりなんだろう。その女子部員も用事があるみたいで帰るという。美術室の外では友達らしき女子生徒が2人待っていた。美術部に僕一人が置いてきぼりだ。なんて孤独なんだろうか。一人陰で頑張る人間の方が馬鹿みたいじゃないか。僕も帰ってしまおうか、いや、でもそんなことしたら僕も今成達とおんなじになってしまうじゃないか。それだけはほんとに嫌だ。いつもどうり部活動をして帰ろう。一人広い美術室で寂しいけれど。雨でなんか外も暗いけれど。そんな後ろ向きな気持ちのまま一人創作に打ち込んでいた時「こんな日にも君は一人頑張るんだね」ふりかえると、美術部員でもない少年が座っていた。今まで見たこともない生徒だった。下級生かと思った。急に声をかけられて驚いたが、前から「大雨だから今日の部活は中止だ。帰れ三橋」と顧問の教諭の声がした。「はい」後ろの少年にもかたずけるように伝えようとしたがそこには誰の姿もなかった。これが僕と彼の悲劇の始まりでもあったのだ。