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第三話 まだ、終わらない

  

  もしも、この現実が虚像であっても


       そこに生きる私たちにとっては


          それこそが偽りの無い、世界の全てだ





「あっ。おはようございます!ソフィ!」


教室に入るなり、元気のいい挨拶をしてきたのはアニエス・ラ・ローランだ。

ウェーブのかかった、太陽のようなブロンドの髪に、エメラルドの瞳の彼女は、人懐っこい笑顔が印象的でかわいらしい。


「おはよう。アニエス、ジュリア」

私は、アニエスとその隣にいるジュリア・ド・レオモンドに挨拶をかえす。


まっすぐな栗色の髪に、深い海を思わせる瞳の彼女は、落ち着きがあってすごく大人っぽい。


この二人とは、入学当初なかなか学院に馴染めないでいた私に声をかけてくれて以来、

なにかと一緒に行動するようになった。

二人とも、平民である私に偏見など持たず接してくれる、いい友達だ。


授業が始まるまでの他愛の無い会話のなかで、ふとジュリアが訊ねてきた。

「そういえば、ソフィはもうこの間の試験の順位は見ました?」

「ううん。まだ見てないよ。」

そう返すと、今度はアニエスが笑顔で言った。

「さっきジュリアと見てきたのだけれど、ソフィ二位だったのよ。すごいじゃない。」

「ええ。ソフィは実技はだめなのに、ペーパーテストは得意ですものね。」

「そうですわ。ソフィは魔力は人一倍ですのに、コントロールはすさまじいもの。」

褒めてるのかと思いきや、なんだかジュリアもまじって私のことを馬鹿にし始めたようだ。


ひど〜い!!人のことばかにして!!


「そんなこと言わないでよ。悩んでるんだから!!ホント、誰か私にコントロール力を分けてほしい。」

なんて、無理な願いを口走ってみる。



それにしても、私が二位ってことは、


「一位って、もしかして・・・」

「そうそう。一位はまたエルセイム様ですのよ。相変わらずすごいですわね〜。」

アニエスが心底感心したように言う。

「これでソフィはエルセイム様に二連敗ですわね。」

そう、ジュリアに痛いとこをつかれて少しむっとする。


確かに前回の試験でも私が二位でエルセイムが一位だった。

なんかすごい悔しい。


そう思っていると、教室の前のほうで他の男子としゃべっていた彼と目が合った。


なに、あいつ。絶対私のこと鼻で笑ってるでしょ?


「次は絶対負けないっ!」


そう言って、彼のことを睨んだ。









「エル、お前こないだの試験の順位見た?また一位だったぞ。」

朝教室に入るとすぐ、ゲイル・ファン・ローリーに声をかけられた。

こいつは、一年の頃からいつもつるんでる俺の親友だ。

赤い髪に緑の目で、一見ちゃらついたように見えるが、いいやつだ。


「まじ??へーすげーじゃん俺。」

俺は人事のように言う。

「うわっ。その言い方嫌味かよ。てかエルこれでソフィア・ドレッセルに二連勝だろ。」

ゲイルに言われてそうだった、と思い出し教室の後ろで他の女子と雑談しているあいつの方を見た。

一瞬、目が合った。


うわっ。なんか睨んでるよ。こえー。


「にしても、お前実際のところソフィア・ドレッセルのことどう思ってんの。」

唐突に聞かれて少しびっくりした。


どうって、別に・・・

「どうとも思ってない。それがどうかしたのか。」

そう、驚きを隠して答えた。

「ふ〜ん。まあ、エルはしらないかもしれないけどあの子最近人気あるんだぜ。」

「ほんとかよ。あんなのの何処がいいんだよ。」

ゲイルの言葉に対して、今度は思ったことを素直に言った。


冷静に考えれば、あいつを狙ってるやつらの大半は一族繁栄のためにより強い魔力が欲しい、とか

そういう目的だろう。

平民なら、正妻は無理だが側室には簡単に出来るというのが、貴族たちの考えだ。




・・・にしても、俺なら絶対あんな女お断りだ。









シルフィード魔術学院院長、シュライデン・ド・シルフィードは院長室の窓の外を眺めながら

一人ため息をもらした。


今年七十歳を迎えた彼は、若い頃には最強の魔術師としてその名を戦場に轟かせていた。

現在は代々のシルフィード家の者がそうであったように魔術学院の院長をしているが、その実力や名声は

今も衰えてはいない。



今年もまた、新入生が入学し生徒たちは日々学問に取り組んでいる。

そして、あの黒髪の少女が”こちら”へ来てもう六年にもなる。

月日が経つのははやいものだ、と思い知らされる。


・・・これは、何の変哲も無い普通のこと。日常である。

けれど・・・・。



この世界は今、著しく不安定な状態にある。数年前からその兆しはあったが、ここへ来てさらに不安定になってきた。

これまで何千、何万年と存在していた世界はそう急に安定を失ったりしない。

だが、世界は今穏やかにゆっくりと、けれど着実に、”終わり”へ向かっている。


そのことに気づいているものがはたして何人いようか。


偽りの平和はいつか終わりを告げる。

諸外国が異常気象や凶作、災害によって多大な被害をうけている中、この国だけが平和だ。


それはただ、今はまだ、このやさしい夢が

「終わらないでいるだけ・・・か・・・。」


今我々にできるのは、この国の平和が、嵐の前の静けさでないことを祈ることだけだ。

この学院の生徒の、いや、世界中の人々の未来のために。


なんだか、長々と書いたわりに、主人公二人のからみがない!!第三話でこの調子じゃ、この先どうなるか不安ですUUUU><;  反省!!


この世界はこれからどうなっていくのでしょうか。

そして二人の関係は・・・?

ソフィアはいったい何処から来たのか・・・?

          楽しみにしていてください☆☆



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