第二話 俺があいつを嫌いな理由
風に吹かれて舞う花びらの中
俺たちは今日も
変わらぬ日常を生きていく
ここ、王立シルフィード魔術学院では、昨日から新学期が始まった。
この学院は全寮制で、生徒たちは皆親元を離れて生活している。
なんでも、親元を離れることで階級意識をなくし、皆平等に仲良く学ぼう、という、学院の
方針があるらしい。
そんなわけで、王族であるこの俺、エルセイム・ウィル・セーヌ・シルヴィアスも例外なく寮生活を送っている。
小鳥のさえずりの中、今日もまた一日が始まった。
教室に入ると、窓際の後ろから二番目の席に座る。
本当は一番後ろがいいが、そこはいつもあいつに先取られる。
あいつ・・・・ソフィア・ドレッセル
彼女はこの学院にはめずらしい平民の出だ。
だが、珍しいのはそれだけじゃない。
彼女の容姿は、この辺りではかなり珍しいものだと思う。
夜の闇を思わせる漆黒の髪に、黒曜石の様な瞳。
黒目・黒髪のどちらか一方を持つ者は、何人か見たことはあるが、その両方を兼ね備えたものは、
彼女以外に見たことが無い。
それに加え淡黄白色の肌に、俺たちとは違う顔立ち。
入学当初、彼女は俺以上に目立った存在だったように思う。
彼女は随分田舎から来たらしく、珍しい容姿の上、字が読めなかった。
この国の識字率は、近隣諸国に比べ比較的高く、平民でもほとんどのものが読み書きはできる。
それなのに読み書きのできなっかた彼女は、よほど教育の行き届いていない田舎からなのだろう。
なぜ彼女に魔力が、それもかなり強大なもの、があるのか疑問ではあるが、
俺にとってそんなことは全くどうでもいいことだ。
ただ、ひとつ宣言しよう。
俺は、ソフィア・ドレッセルのことが、大嫌いだ。
なぜ嫌いかって??
それは、彼女が俺のことを嫌っているからだ。
別にあいつに好かれたいと思っているわけじゃない。
でも、面と向かって
『あんたなんか、大嫌いっ!!』
なんて言われたら、普通腹立つだろ??
あれは確か、入学して半年ほどたった、初めての野外授業のときだったと思う。
生徒の一人が術に失敗して、魔力のコントロールができなくなった。
このままでは爆発を起こす可能性があって危ないからと、教官が俺たちに出来るだけ遠くまで
逃げるようにいった。
あわてて逃げる生徒達の中、俺はあいつが逃げずにしゃがみ込んでいるのに気がついた。
「おい、何やってんだよ。爆発に巻き込まれるぞ。」
俺は戻ってあいつに言った。
あいつは一瞬びっくりしたような顔をして
「ごめん。ネックレス落としちゃって。大事なものなの。」
と言った。
こいつ馬鹿か!!もういつ爆発がおきてもおかしくないのに。
そう思った瞬間、俺は、背後で魔力のすさまじい膨張を感じた。
やばい!!爆発だ!!
とっさにあいつを突き飛ばして、俺自身も後ろへ飛び退いた。
「・・・っ痛・・。」
起き上がったあいつを見て、怪我はないようだと安心したのも束の間、あいつは急に
さっきまでいた場所に走りよった。
「どうしたんだよ。また爆発が起こるかも「何てことすんのよっ!!」
俺の言葉をさえぎってあいつは怒鳴った。
彼女の足元には、もとが何だったのか分からない、恐らくネックレスの残骸と思われるものがあった。
「悪ぃ。でも怪我無くてよかったじゃ
「バカ!!あんたなんか大嫌い!!」
再び俺の言葉をさえぎったあいつは、泣きそうな怒った顔で叫んだ。
その言葉が癪だった俺も、
「それが助けてくれたやつに言うせりふかよ!!だいたい、ネックレスを落としたお前が悪いんだろこのドジ!」
売り言葉に買い言葉でとっさに言い返してしまった。
ちょっと言い過ぎた、とも思ったがあいつは負けじと言い返してきた。
「ドジとは何よ!このバカ王子!!」
「ドジにバカって言われる筋合いはねぇよ!!」
「なんですって〜〜!!」
その後、教官が止めに入るまであいつと言い合っていた。
それ以来、俺とあいつは、何かにつけていがみ合う仲になった。
こんにちわ^^れみです。。
第二話はエル視点ですが、なんだかエルセイム君の性格が、微妙な気が・・・。
これから、主人公ふたりのいいところもちゃんと書いていきたいとおもいます。
でわ☆☆