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世界を変える方法  作者: 朔月悠
‐1章‐ 崖下の街
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‐1章‐ 崖下の街 11

瓦礫が砂煙の中に入り、ただ地面に刺さった音とは違う鈍い音が響いた。

とたん前より、蛇の胴体が激しく暴れる。

どう動くか予測がつかない蛇の胴体にシオンも地面に着地するなり、蛇から距離をとった。

シオンはそのまま、始めリオルドがいた場所に向かう。

もともと蛇から距離を取った場所にいたため、シオンが向かったあたりの瓦礫は崩れていないうえ、道もきれいなものだった。

おかげで、シオンもリオルドが隠れている場所まで容易くたどることができた。

「大丈夫か?」

「…こっちのセリフ。」

シオンは瓦礫と瓦礫の間に隠れていたリオルドを見つけると、声をかけながらリオルドを引きずり出す。

リオルドはぺたぺたと本当に怪我をしていないか、シオンの肩、腹と触っていく。

されるがまま、じっとしているシオンの表情は変わらない。

それでも、蛇に突き飛ばされて無傷のはずがないと、リオルドは慎重に確かめていく。

2人がそうしている間に、蛇の胴体の動きがゆっくりとなり、やがて完全に動かなくなっていった。

本当に力尽きたのかどうかは、舞い上がった砂煙が晴れてから確認するしかないが、恐らくもう暴れることはない。

それを遠目にシオンが判断すると同時にリオルドの検診が終わった。

「背中をラウ爺に見せろよ。骨は大丈夫そうだけどきっと真っ青だから。」

「わかった。」

リオルドの言葉に素直にシオンは頷く。

ラウ爺とは、2人がよく世話になっている藪医者だ。

藪医者といっても、腕は確かで、崖下でもまともな治療ができる数少ない人だ。

「ところで、アリアさんから頼まれたのは蛇退治?」

リオルドが未だ砂煙で覆われている蛇を指す。すると、シオンは首を横に振る。

「本当は単なる荷物の交換だけだ。ただ、相手が

瓦礫が砂煙の中に入り、ただ地面に刺さった音とは違う鈍い音が響いた。

とたん前より、蛇の胴体が激しく暴れる。

どう動くか予測がつかない蛇の胴体にシオンも地面に着地するなり、蛇から距離をとった。

シオンはそのまま、始めリオルドがいた場所に向かう。

もともと蛇から距離を取った場所にいたため、シオンが向かったあたりの瓦礫は崩れていないうえ、道もきれいなものだった。

おかげで、シオンもリオルドが隠れている場所まで容易くたどることができた。

「大丈夫か?」

「…こっちのセリフ。」

シオンは瓦礫と瓦礫の間に隠れていたリオルドを見つけると、声をかけながらリオルドを引きずり出す。

リオルドはぺたぺたと本当に怪我をしていないか、シオンの肩、腹と触っていく。

されるがまま、じっとしているシオンの表情は変わらない。

それでも、蛇に突き飛ばされて無傷のはずがないと、リオルドは慎重に確かめていく。

2人がそうしている間に、蛇の胴体の動きがゆっくりとなり、やがて完全に動かなくなっていった。

本当に力尽きたのかどうかは、舞い上がった砂煙が晴れてから確認するしかないが、恐らくもう暴れることはない。

それを遠目にシオンが判断すると同時にリオルドの検診が終わった。

「背中をラウ爺に見せろよ。骨は大丈夫そうだけどきっと真っ青だから。」

「わかった。」

リオルドの言葉に素直にシオンは頷く。

ラウ爺とは、2人がよく世話になっている藪医者だ。

藪医者といっても、腕は確かで、崖下でもまともな治療ができる数少ない人だ。

「ところで、アリアさんから頼まれたのは蛇退治?」

リオルドが未だ砂煙で覆われている蛇を指す。すると、シオンは首を横に振る。

「本当は単なる荷物の交換だけだ。ただ、相手が"交換"ではなく、"強奪"に走ったら遠慮なくぶちのめして荷物を奪ってこい、という話だった。」

「荷物?」

リオルドは、交換するという荷物をシオンが持っていないことに疑問の声がでる。

シオンは懐から小さな包みを取り出す。

その包みを広げると中には卵ぐらいの大きさの鉱石。

水晶の原石か硝子の塊か、透明感のある部分がところどころにある。


こういうものが時折、無人地帯から出てくることがあるのは聞いていたが、場所が場所のだけに希少価値がある。

アリアがシオンに荷物受取を頼んだのも頷けた。

確かにこれは強奪されてもおかしくない品物だ。

シオンはその鉱石を元通り布にくるむとリオルドに渡した。

「オレが持ってていいの?」

まさかこの辺りに人がいるとは思えないが、これだけ価値のあるものを持っていていいのかリオルドは不安げな声を上げる。

すると、シオンは

「問題ない。ここには俺達以外に人はいないし、荷物を取らないといけないからしばらく持っててくれ。」

「荷物?」

先ほどとは意味合いが異なるが同じ言葉をリオルドは繰り返す。

だが、シオンはそれに答えることなく、ほとんど晴れた蛇の頭部に向かった。

蛇の胴体が動かなくなってからそれなりに時間がたったが、あれ以降動く気配はない。

また頭部を覆っていた砂煙もだいぶ薄れ、遠目には見えずらくとも近づけば視界は問題なかった。

シオンが投げた瓦礫は、みごとに瓦礫が突き刺さっていた。

その前に口に押し込んだ瓦礫はうまい具合に牙に突き刺さったらしく、蛇は牙が瓦礫から抜けなくなり、また重さで持ち上げることもできなかったようだ。

そのせいで、牙は瓦礫に突き刺さったまま、さらに上からの杭で頭部がいびつな形をしている。

シオンは頭部に上り杭となっている瓦礫を掴む。

おもいっきり投げつけただけあって、杭は地面まで刺さっており、シオンでもゆっくり少しずつしか抜けない。

その間に、蛇が再び動き出すということもなく、杭は抜けた。

そして、シオンはその杭だった瓦礫を捨てず、牙が突き刺さった瓦礫の舌に押し込んだ。

こうして蛇の口が限界まで開かれる。

元々の大きさが大きさなだけに、開いた口は洞窟のようだ。

シオンはなんの戸惑いもなく、その口の中に足を踏み入れる。

勿論シオンの手にはナイフはあれど、明りの類はない。

体制を低くし、手を壁につけて進む。

すり足で進むのは足元に何かないか探るためだ。

真っ暗ななか、どんどん奥に入っていく。

正直なところ、シオン本人も自分が今蛇のどのあたりなのかはまったく見当がつかない。

どんどん狭くなる洞窟をただ進む。

それからもうしばらく歩いたところで、足に何か当たる。

手探りでそれを拾いあげる。

仮にも蛇の腹の中。

ぬるぬるとあまり気分がいいものではないが、四角い何かであるようだ。

(あった。)

取ってのような作りの部分を見つけるとそれをもって、シオンは踵を返して戻り始めた。


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