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世界を変える方法  作者: 朔月悠
‐1章‐ 崖下の街
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‐1章‐ 崖下の街 07

東の顔役のアリアの店は、ママさんの店と比べてさほど広くはない。

その代わり店舗数は多い。

店舗が多いだけにアリアがどの店にいるのかはランダムだ。

ただ、ママさんの様子だと、酒を飲みつつ・・・というなさそうだ。

(そうなれば、アリアさんがいるのは・・・)

リオルドは薄暗いなか、壁に手をついて進む。

方角的にアリアの事務所に続いているようだ。

大した明りもなく、頭をぶつけることで通路を渡り切ったと判断したリオルドは手探りで梯子を見つける。

勿論、この梯子がどのくらいの長さなのか見えないため、一歩進んでは頭上に手を伸ばして出口を探る。

数回のぼっては手をのばしてを繰り返して、手が天井に触れた。

ギリギリまで梯子を登り、下から押しあけようとする。

だが、ママさんのところと同様、上にカーペットか何かひかれているのか、物が置いてあるのかなかなか開かない。

リオルドは一度、梯子を一段降り、ノックしてみる。

狭い通路にコン、コンと音が響く。

ノックをやってみたはいい東の顔役のアリアの店は、ママさんの店と比べてさほど広くはない。

その代わり店舗数は多い。

店舗が多いだけにアリアがどの店にいるのかはランダムだ。

ただ、ママさんの様子だと、酒を飲みつつ・・・というなさそうだ。

(そうなれば、アリアさんがいるのは・・・)

リオルドは薄暗いなか、壁に手をついて進む。

方角的にアリアの事務所に続いているようだ。

大した明りもなく、頭をぶつけることで通路を渡り切ったと判断したリオルドは手探りで梯子を見つける。

勿論、この梯子がどのくらいの長さなのか見えないため、一歩進んでは頭上に手を伸ばして出口を探る。

数回のぼっては手をのばしてを繰り返して、手が天井に触れた。

ギリギリまで梯子を登り、下から押しあけようとする。

だが、ママさんのところと同様、上にカーペットか何かひかれているのか、物が置いてあるのかなかなか開かない。

リオルドは一度、梯子を一段降り、ノックしてみる。

狭い通路にコン、コンと音が響く。

ノックをやってみたはいいが、リオルドはこれで上にいる人間に届くかどうかあやしいと思った。

案の定、しばらく待ってみても天井が開く様子はない。

もう一度、今度は強めに天井を叩いてみるが、反応はない。

(どうするか・・・)

できれば、来た道を戻ることはしたくない。

ここを教えてくれたママさんにも悪いし、地上でアリアの事務所に行くにはぐるりと迂回することになり遠くなってしまう。

三度目の正直、と再びリオルドが手を引いたところで。

「驚いた、あんただったの。」

ゆっくりと扉が開かれ、あまりのまぶしさにリオルドは目をつぶる。

その間に、おそらく声の主のものだろう腕がリオルドを引きあげた。

リオルドが引き上げられると同時に、隠し扉が閉じられ、その上にサイドテーブルが置かれる。

「通路から来るからてっきりあのオカマだと思ったじゃない。」

「その店から来たから・・・」

リオルドが呟くように言いながら、瞬きを繰り返す。

ようやく部屋の明るさに慣れると、目に付いたのはいかにも染めたピンクの巻き毛。

「それで何しに来たの?」

腰に手をやったメアリーが言った。

この地域には珍しい白い肌と露出度が高い衣装を着ている。

だが、その見た目に反して、アリアの側近の1人だ。

「シオンに渡すものがあってきたんだけど・・・」

「シオンならまだ姉さまと話している。」

姉さまとは、アリアのことだ。

メアリーとアリアは姉妹ではないが、そう呼んでいる。

「それなら、さっき終わったよ。」

その時、部屋の扉から入ってきた黒髪の女が言った。

「用事があるなら、早く行ったほうがいいわ。」

とにこりと微笑む。

メアリーと同様白い肌をしているが、服装は対照的に黒いゴテゴテしたドレスを身につけている。

リオルドは、一体崖下のどこからそんな服を見つけてくるのかと不思議だと思うのだが、彼女は「秘密」と言うだけで答えてくれたことはない。

ともあれ、急いでシオンと合流した方が良さそうだ。

「シオンはどこに行った?」

「まだ外には行っていないはずよ。」

黒髪の女、アリスが道を開ける。

その横を通り、案外しっかりした廊下を走る。

リオルドが出てきた部屋は建物の奥にあったらしく、廊下が長い。

一本道のような廊下なので迷うことはなさそうだ。

そこからリオルドは、数回角を曲がって、やっと見慣れたところに出る。

だが、シオンの姿はない。

ひと足遅かったか、と足を早める。

アリアがシオンに何を頼んだのかはリオルドは何となくでしかわからない。

以前、アリアにはそれぞれに適した仕事があると言われてから、リオルドとシオンが同じ仕事に着くことはない。

仕事があるときはそれぞれアリアに呼ばれるか言伝が入るために、お互いにどんな仕事を請け負っているのか知ることもなかった。

リオルドが外に出る。

正直なところ、シオンの移動は屋根を飛び移ったりするのでリオルドが追いつける可能性はあまりない。

なんとか影だけでも、と通りを見渡す。

すると、見慣れたベージュのコートが目についた。

フードをすっぽり被っているが、背丈からして間違いない。

「シオン!」

リオルドが大声で呼ぶと、フードを被った人が振り返った。

が、リオルドはこれで上にいる人間に届くかどうかあやしいと思った。

案の定、しばらく待ってみても天井が開く様子はない。

もう一度、今度は強めに天井を叩いてみるが、反応はない。

(どうするか・・・)

できれば、来た道を戻ることはしたくない。

ここを教えてくれたママさんにも悪いし、地上でアリアの事務所に行くにはぐるりと迂回することになり遠くなってしまう。

三度目の正直、と再びリオルドが手を引いたところで。

「驚いた、あんただったの。」

ゆっくりと扉が開かれ、あまりのまぶしさにリオルドは目をつぶる。

その間に、おそらく声の主のものだろう腕がリオルドを引きあげた。

リオルドが引き上げられると同時に、隠し扉が閉じられ、その上にサイドテーブルが置かれる。

「通路から来るからてっきりあのオカマだと思ったじゃない。」

「その店から来たから・・・」

リオルドが呟くように言いながら、瞬きを繰り返す。

ようやく部屋の明るさに慣れると、目に付いたのはいかにも染めたピンクの巻き毛。

「それで何しに来たの?」

腰に手をやったメアリーが言った。

この地域には珍しい白い肌と露出度が高い衣装を着ている。

だが、その見た目に反して、アリアの側近の1人だ。

「シオンに渡すものがあってきたんだけど・・・」

「シオンならまだ姉さまと話している。」

姉さまとは、アリアのことだ。

メアリーとアリアは姉妹ではないが、そう呼んでいる。

「それなら、さっき終わったよ。」

その時、部屋の扉から入ってきた黒髪の女が言った。

「用事があるなら、早く行ったほうがいいわ。」

とにこりと微笑む。

メアリーと同様白い肌をしているが、服装は対照的に黒いゴテゴテしたドレスを身につけている。

リオルドは、一体崖下のどこからそんな服を見つけてくるのかと不思議だと思うのだが、彼女は「秘密」と言うだけで答えてくれたことはない。

ともあれ、急いでシオンと合流した方が良さそうだ。

「シオンはどこに行った?」

「まだ外には行っていないはずよ。」

黒髪の女、アリスが道を開ける。

その横を通り、案外しっかりした廊下を走る。

リオルドが出てきた部屋は建物の奥にあったらしく、廊下が長い。

一本道のような廊下なので迷うことはなさそうだ。

そこからリオルドは、数回角を曲がって、やっと見慣れたところに出る。

だが、シオンの姿はない。

ひと足遅かったか、と足を早める。

アリアがシオンに何を頼んだのかはリオルドは何となくでしかわからない。

以前、アリアにはそれぞれに適した仕事があると言われてから、リオルドとシオンが同じ仕事に着くことはない。

仕事があるときはそれぞれアリアに呼ばれるか言伝が入るために、お互いにどんな仕事を請け負っているのか知ることもなかった。

リオルドが外に出る。

正直なところ、シオンの移動は屋根を飛び移ったりするのでリオルドが追いつける可能性はあまりない。

なんとか影だけでも、と通りを見渡す。

すると、見慣れたベージュのコートが目についた。

フードをすっぽり被っているが、背丈からして間違いない。

「シオン!」

リオルドが大声で呼ぶと、フードを被った人が振り返った。


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