表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺の同居人は神様  作者: ケン
第一章 サバイバル
62/122

第六十二話 思い出す神夜

「…………」

目が覚め、重たくなっている瞼を開けるとまず一番に部屋の白い天井が、

視界に映った。

俺……今まで寝てたのか……。

まだ眠気が残っている影響でポーっとしている頭を必死に動かしながら、

今までのことを振り返っていく。

「……何してたんだっけ?」

何故か、今までのことが全く思いだせなくなっていた。

必死に思いだそうとしても何かモヤモヤしたものが視界を遮っているような感じでハッキリとは思い出せない。

「……とりあえず、なんか飲も」

少し、喉が渇いていることもあったので俺はベッドから起き上がってノソノソと、

足を引きずりながらリビングまで歩いていく。

その最中にも頭の中に景色が浮かんでいるんだけど靄がかかったみたいに、

ハッキリとはその景色が見えず、

どこか違和感を感じている自分がいた。

リビングに続くドアを開き、今に入った瞬間―――――――。

「お、やっと起きたか~。お前、起きるの遅すぎちゃん?

うちでも、朝の八時には起きるで~」

……なんで、目の前に銀色の髪を持ち、露出度が高めの服を着ていて九つの尾を、

持っている女性がのうのうとイスに座って酒を昼間っからグビグビ飲んでんだ。

それとなんで、その後ろにチャイナドレスを黒色に染めた服を着た男が、

立ってんだ。

「何してんすか? 九尾(ここのお)さん」

……なんで俺、この人のこと九尾って言ったんだ……会ったことないはずだろ……なのになんで……俺はこの人の名前を知ってんだ。

「ん~? あ? もしかしてこれ言ったあかんかったんかいな」

「九尾様。もう遅いです」

誰だこいつら……いや、知ってるんだ! 俺はこいつらに会ったことがある!

九尾で……それでその後ろにいる男は……タケミナカタだ! ……それで、

誰かの旦那さんだ! 誰だっけ! えっと……あと少しで思い出せそうなんだ!

「おい、紅神夜。タケミカヅチはどこだ?」

タケミナカタが言った名称が俺の耳に入ってきた瞬間、

頭の中で大爆発が起きた……気がした。

「そうだ! タケミカヅチだ! 完全に思いだした! アマテラス!」

「なんや? なんかあったんかいな」

「……どうやらそのようですね。アメノトリフネが出ている時点で、

何かあったんでしょうけど」

とりあえず、俺はその場はいったん落ち着き、今この街で起きていることを九尾とタケミナカタに詳しく話した。

大国主がアメノトリフネを使って人間を支配しようとしていること。

アマテラス達が俺の家から出ていったこと。

「成程な。妙に人間が居らんと思とったらそういうことかいな」

「サクヤコノハナヒメ……確か桜を武器として使う神だったはず……そうか、

桜を何かしらの方法でこの街の人間に見せ、記憶に自らの力の一部を埋め込み、

その記憶の一部を使って神力を集めたのか」

タケミナカタが言っているのは少し、理解できなかったけどこの二人のおかげで、俺はアマテラス達のことを思い出す事が出来た。

今は、何故俺が記憶を失っていたのかを九尾さんに探ってもらっている。

「ふんふん」

九尾さんは尻尾を俺の頭に乗せて何やら納得したようだった。

「わかりましたか?」

「おう、分かったで。ウズメがお前の記憶に緩い拘束をかけたみたいやなぁ。

まあ、緩すぎたんやけど」

仮にがちがちの拘束をかけられていたら……たぶん、俺は九尾さんと、

タケミナカタに会っても思い出さなかっただろうな。

アマテラス達がどこに行ったかは大体、見当がつくけど俺がそこに、

突撃していってもたぶん、あいつらは俺を追い返すはず……だったら。

「なあ、タケミナカタ」

「なんだ」

「……神解っていうのは神獣を宿していたら誰でも到達できるのか?」

「誰でもという訳ではないが……宿しているならば少なからずは神解に、

至れる可能性はあるはずだ」

そっか……これで可能性はゼロだって言われたら、

どうしようもなかったけど……あいつらと一緒に戦うことができる可能性はある!

「タケミナカタ……俺を」

「やめといた方がいいで~」

俺の話にほろ酔い状態の九尾さんが割り込んできた。

「なぜですか」

「神解を会得したい……会得すれば大国主と戦えるって思ってるんやろうけど、

そんな一週間や二週間で会得できるもんやないんや」

確かに九尾さんの言っていることは正しい……トラロックとの戦いで神解を初めて見たときのあの力はハッキリ覚えてる。

「それでも欲しいんです……アマテラスの隣で戦える力が」

ジッと九尾さんを見ながらそう言った。

九尾さんは酒が入っているであろうコップを一度、グビっと飲み干し、

俺の方を見てきた。

「タケミナカタ。神社に戻ってこいつ、鍛えたり」

タケミナカタは一瞬、驚いたような表情を浮かべたがすぐに呆れたように一つ、

ため息をついた。

「分かりました。紅神夜、こい。俺が鍛えてやる」

「感謝する」

いつ、アマテラス達が動き出すかについてなどの情報は九尾さんが、

収集してくれるというので、俺はタケミナカタとともに、

九尾さんの本拠地である神社へと向かった。











「という訳で鍛錬をするが……お前、神獣と会ったことは?」

「ない」

キッパリと切り捨てるとタケミナカタは今日、一番深いため息をつき、

憐れみがこもった眼で俺を見てきた。

「それでよく神解を会得したいとほざくな。呆れを通り越して、

尊敬する……とりあえず、座禅を組め」

タケミナカタに言われるがままに座禅を組むと、俺の頭の上に手を置いて、

神力を徐々に集め始めた。

「神解を得るにはまず、神獣と意思疎通をしなければならないと聞く」

タケミナカタの神力に反応したかは分からないがバチッ! という電気が、

迸る音が聞こえ、目の前に三人の先代が現れた。

「なんか、現実に来るのは久しいな」

「ちゃおちゃお♪」

「なんで、貴方達がここに」

俺がそう聞くと三人ともお互いに顔を見合せて不思議そうな顔を浮かべた。

「え? だって、貴方は神解を得るために私達を、

現実へ具現化したんじゃないの?」

ていうことはこの人たちが神獣なのか? ……でも、

この人たちは過去の歴代所有者たちであって神獣じゃないよな……。

「ま、あいつが嫌がって無理やり俺達を外に出したんだけどな」

その“あいつ”とやらが俺に宿っている神獣らしい。

なのに嫌がって外に出てこないんじゃ神解は会得できないんじゃないのか? 

まあ、強くはなれるだろうけど……俺は神解を会得したいんだけどな。

「どうも、あいつは今の力の行使者……つまり、お前が神を殺さないから、

お前に力を貸したくはないらしい」

俺に宿っている神獣は相当、神に憎しみがあるらしい。

まあ、今までの話を聞いていればこれまでの所有者たちは祟り神という、

神の敵だったみたいだし、殺すことに快感でも感じてんだろう。

でも、今はそんなんじゃ困る。

神解を会得しないと確実にアマテラスの邪魔にもなるし、

大国主にだって対抗できずに一瞬で殺されるのが目に見えている。

「じゃあ、どうするんですか?」

「そこで、そこの神様の少年にも手伝ってもらうわけ」

俺に弓の力を与えてくれた女性がタケミナカタを指さしながらそう言った。

「別に一対一で大国主を倒すわけじゃないんでしょ?」

「まあ、そうですけど……」

「貴方が神の全力と同じくらいの強さを持てば、大国主との戦いのときに、

足手纏いにもならない。なんたって、タケミカヅチ、アメノウズメ、アマテラスがいるんだから貴方が神解を会得しなくても十分に倒せるメンツよ」

……確かに、俺が大国主を一対一で倒すわけじゃないしな……足手纏いに、

ならないくらいの強さを持てばそれでいいか。

「という訳でそこの少年。押さえている神力を開放して、

紅の坊やを殺す勢いで戦って頂戴」

押さえている? ……まさか、神はこの世界にいる間はかなり神力を、

押さえているのか? 神力の量が多い=その神の戦闘力は強い……まあ、

大国主みたいな例外もあるみたいだけど。

「わかった。こいつを殺す勢いでやってやろう」

そう言って、タケミナカタは手元の空間を歪ませて、長い棒の両端に大きな刃が、

ついた得物を取り出し、地面を軽くたたくとうすい青色をした陣が、

タケミナカタを中心にして展開された。

それとともに徐々にタケミナカタの神力が大幅に上がっていく。

な、なんて量だ……神は今まで力を押さえていた……イザナギやへースパイトス、トラロックも全力じゃなかった……つまり俺が勝てたのは本当に偶然だったのか。

全ての神力を開放し終えたのか、タケミナカタは得物を軽く振るうと、

俺のすぐそばの地面に亀裂が入った。

「っっっ!」

「殺されないようにな」

その一言ともに反射的に刀を現出しようとした瞬間―――――――。

「………………ぁ…………」

全身に凄まじい激痛が伝わり、視界いっぱいに見覚えのある大量の赤色の液体が

広がった。

現出しようとしていた刀は無残にもその一瞬で、砕け散っていた。

「……ぁ」

視界が横になった……そうか……倒れたのか。

「だから―――――――――――だ。何故、―――――――――だ?」

意識が混濁し、タケミナカタと三人の会話が途切れ途切れに聞こえてくる。

やっぱり……俺なんかが……アマテラスを………………護るなんて……………

……………おかしなこと……だったのか…………。

いまにも意識が飛びそうな時、彼女の――――――俺の大好きな人の顔が、

思い浮かんできた。

……なに寝転がってんだよ。

「……バカな」

「そんな……驚いた顔すんなよ」

ここで……寝てても強くはなれない……起き上がらないと……いけないんだよ。

「あいつの……アマテラスの傍に居たいんだよ……そのため……なら……

なんだってしてやる……こんなもんで……たお……れねぇ…………」

流石に一度に血を流し過ぎたのか、俺は気を失った。

こんにちわ……一時間あたりの読んでくれる人数は

順調なんですが……なんで九時から十一時までの人数が

毎回ゼロなんですかー!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ