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俺の同居人は神様  作者: ケン
第一章 サバイバル
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第六神  一瞬の解放

「燃え尽きろ!」

「斬り裂け! 布都御魂剣(ふつみたまのつるぎ)!」

タケミカヅチがそう叫んで剣を振り下ろした瞬間、

切っ先から衝撃波のようなものが放たれ地面を抉りながら、

アマテラスに向かっていった。

しかし、アマテラスのその衝撃波のようなものが到達しようとした瞬間、

アマテラスを守るかのように炎が壁のように展開され衝撃波を打ち消した。

「なんじゃ? 葦原の中国を平定した剣の威力はそんなものか?」

「はっ! あたしが本気でこれを扱えばこの星を滅ぼして、

しまうかもしれないから全力で使っていないだけだ!」

そう叫びながらタケミカヅチは剣を空に向けると、空が割れ、

割れた個所から地面に向かっていくつもの落雷が降り注いだ。

「雷神と言われたあたしの雷を受けて滅べ!」

「わらわを滅ぼそうなど数万年早いわ!」

雷と炎がぶつかり合い、辺りに凄まじい衝撃波が放出されて俺はその衝撃波で、

吹き飛ばないように遊具の足に捕まりながら二人の戦いを見ていた。

なんで……なんで同じ神の二人が戦わなくちゃならないんだよ! これじゃあ、

人間を護るどころか滅ぼしかねないじゃねぇか!

この辺りを神の力か何かで覆っているのか二人が大暴れしても誰かが、

大騒ぎをするということはなかった。

「おい、お前らもう止めろ!」

俺は腹の底から声を出して二人に叫ぶが二人は俺の叫びなど、

耳にも入れずにひたすら戦いあっていた。

辺りを雷が地面を割り、炎が辺りの温度を上げていく。

これじゃあ、まるで災害じゃねえか!

「アマテラス! タケミカヅチ! もうやめろ! 

お前らのやらなきゃならないことは殺しあうことじゃねえだろ!」

二人は俺の叫びが耳に届いているが無視しているのか、

それとも爆音で俺の声がかき消されてあいつらの耳に届いていないのか――――。

それは分からないけど二人は俺を無視して戦い続ける。

それが義務であるかのように。

「いい加減に……いい加減にしろぉぉぉぉぉぉ!」

俺が叫んだ瞬間、体の奥底から何か感じたことのないようなものが、

込みあがってくるのを感じた。俺は走り出し、二人の間に入った。

「バ、バカか! 退け!」

「神夜! 退くのじゃ!」

アマテラスの巨大な火球とタケミカヅチの剣から放たれた雷が俺に向かってくる。

「いい加減にやめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

俺の叫びと同時に全身から感じたことのない何かが辺りに一気に放出され、

二人の攻撃を無理やりかき消し、二人を吹き飛ばした。

「ぬわっ!」

「うごっ!」

「ハァ……ハァ……お前達がしなくちゃいけないことは殺しあうことなのかよ!」

俺の質問にアマテラスもタケミカヅチも、

バツが悪そうな顔をして何も答えなかった。

こいつらは分かっていながら今の今まで殺しあっていたっていうのかよ!

「違うだろ! 神のお前達がしなくちゃならないのは少なくとも人間を、

滅ぼすようなことじゃないだろ! お前達が戦えばこの星なんか一瞬で、

滅んじまう! なんでそれが分からねえんだよ!」

二人は俺の言ったことに一定の理解を示してくれたのか、

アマテラスは辺りに漂わせていた炎を消し、

タケミカヅチは握っていた剣を降ろしてくれた。

「ハァ……ハァ……タケミカヅチ。お前、根城はあるのか?」

「い、いや。今のところは路上生活だ」

「そうか……だったら俺の家に来い」

「な、何を言っておるのだ神夜!」

俺の発言にタケミカヅチは驚いたような顔を浮かべるが一番、

驚いているのはアマテラスだった。

いつもの余裕のある表情が消え、焦りが見て取れた。

「……いいのか?」

「……ギリギリっぽいけどなんとかやりくりする」

実際、一人分の食費は俺を含めてこいつらの食費を賄えるかは、

分からないけどなんとかやりくりすればいいだろ……それに最近、

金遣いも荒かったし質素な生活っていうのもやらねえとな。

となると、ゲーム類も売るか。

「じゃあ、世話になる」

こうして俺の家に二人目の居候が出来てしまった。







「むっ! タケミカヅチ! そこはわらわの特等席のソファじゃ!」

「知るか。先に座ったのはあたしだ」

タケミカヅチが俺の家に来てまだ三時間も経ってないのに、

二人は喧嘩を始めてしまった。

幸いなことに部屋は父さんのが空いているから部屋については問題ないんだが、

さっきから二人の大声でのケンカがとどまることを知らずに勃発している。

その理由も幼稚なものでソファに座る権利はお前にはないだとか、

先に座った方に権利は与えられるだとか……見ていてため息しかつかない。

飯に関しては……買いだめしていた食材をフルに使い、

何とか今日の晩飯に関しては乗り切った。

だけど……明日から生活していけるのか?

まあ、タケミカヅチは俺のことを気遣ってくれて、

自分は少食でいいと言ってくれさらにはアルバイトも、

やるらしい……まあ、本当にやるかは不明だけど、問題はアマテラスだ。

遠慮というものを知らないのか御代りはするし、テレビは見るし。

「これから俺、バイト行ってくるけど何も起こすなよ」

「おぉ! 行って来い! アマテラス! ここはあたしの」

俺が玄関から出るまで二人のケンカの声は聞こえていた。







「お疲れした!」

俺が家から出て数時間後、バイトを終えて俺は自宅へと向かった。

でも、まさかここにきて居候を二人も抱えるとは思わなかった……マジで、

高一からバイトしてて良かった~。してなかったら家計は火の車どころか、

溶岩の車……ってあれはアマテラスか?

帰り道の途中で何故か、オロオロした様子のアマテラスがいた。

「何してんすか」

「し、神夜! お、驚かすな!」

いやいや、俺、あんたの目の前から来たんだけども……。

「で? なんでここに?」

「いやな…………タケミカヅチが迎えに行けとうるさくてな」

タケミカヅチ……あんたはいい人だ! 将来、あんたと結婚する男は、

きっと幸せに生きること間違いないぞ!

「ま、帰りましょう」

「う、うむ」

俺たちは歩き始めるが会話は一切なく、車の走る音などがひどくよく聞こえた。

「し、神夜。食費についてじゃが……神界に申請したところ、

わらわとタケミカヅチの分は送られてくることになった」

俺はその報告を聞いて飛びあがりたくなるほどの嬉しさを感じた!

いやっほぅ! バイトを増やすことにならずに済むみたいだな!

「それは良かった! よかったよかった」

「ふ、ふん! もっとこき使ってやろうかとも思ったのにな。残念じゃ」

そう言ってアマテラスは顔を少し、赤くしてソッポを向いた。

「こき使いたかったら神界とやらに申請しない方が良かったのでは?」

「う、うるさいうるさい! さっさと帰るぞ! わらわは腹が減ったのじゃ!」

「へいへい」

なんとか俺は過労死する可能性は減ったって

わけだ……まあ、ゼロになったわけじゃないからな。

俺たちは仲良く(?)一緒に歩いて帰った。

こんばんわ~。お気に入りが二件になりました~。

この調子で増やしていくぞ~

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