表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺の同居人は神様  作者: ケン
第一章 サバイバル
31/122

第三十一話 美女の隣で寝る

「はぁ!」

「ちっ!」

相手の矛が俺の服を掠るようになってきやがった!

やっぱり、刀と矛ではリーチの差があり過ぎる! 

俺の攻撃が届くよりも先にあいつの攻撃が俺に届くからまともに反撃もできねぇ!

俺はいったん、男から距離を取り刀を振り、雷の衝撃波を放つが男は矛の刃を、

衝撃波に軽く当てるとあっさりと軌道を変え、軌道を変えられた衝撃波は、

意味のない場所へと飛んで行った。

まただ……ウズメさんとの鍛錬でもあれをやられた!

「ふん!」

「うおっ!」

突きさしてくる矛の刃をスレスレでかわし、隙だらけの男めがけて刀を振るう。

「ごっ!」

しかし、男は避けられた槍をバットを振るうかのようにスイングをして、

俺にぶつけてきやがった!

こいつ! 完全に俺の攻撃を読んでやがるのか!?

俺は痛む横腹を押えながら男からいったん距離をとった。

直後、刀から電流が迸る。

まただ。こいつと戦い始めてからずっと、刀から電流が迸る。

それになんか、いつもよりも使いにくいというか……。

「アマテラス達が来る前に貴様を殺しておこう」

「あたしが来たぞ」

突然、男の後ろからタケミカヅチが現れ剣を振り下ろすが声にすぐに反応した男は槍を上に上げてタケミカヅチが振り下ろした剣を防いだ。

「タケミカヅチっ!」

「よう、久しぶりだな。イザナギ」

どうやら二人は顔なじみらしくタケミカヅチは不法侵入者をイザナギと呼んだ。

イザナギは矛でタケミカヅチを押し返すと、いったん俺たちから距離をとった。

「懐かしいな。いつ以来だ、貴様と一戦交えるのは」

「二百年ぶりだな!」

そう言って、タケミカヅチはただの刀でイザナギに斬りかかるがイザナギは刀を、

矛では受け止めず、その場から離れて攻撃を避けた。

「なんだ? 神夜とは戦うのにあたしとは戦わないのか?」

「お前が来たとなるとアマテラスもアメノウズメも来るんだろう。

流石に俺とてその三人を同時に相手して生きて帰れる気はしない」

そう言ってイザナギは矛を一度、大きく横に振るうと空間が割れて人一人が、

入れるほどの穴となった。

うぉぉ! 空間に穴が開いた!

「悪いが貴様との戦い、あとに持ち越しだ」

「逃がすか! 第14番、雷光弾!」

タケミカヅチがそう叫び、手を翳すと彼女の周りに雷で出来た弾が三つほど、

浮かびあがり、それらがいっせいにイザナギへと放たれ、大爆発を起こすと、

同時に落雷が落ちた時のような爆音が三回、鳴り響いた。

「うおぉ! スゲェ音!」

俺はあまりの爆音に耳をふさぐがタケミカヅチは慣れているらしく耳を、

ふさぐこともなく、何食わぬ顔で立っていた。

「……逃げられたか」

爆煙が風によって消えるとそこにはもう、何も残っていなかった。

空間にあいていた穴も綺麗さっぱり消えており、イザナギの姿もなかった。

「ちっ! 毎度毎度、空間に逃げやがって。逃げ腰野郎が」

タケミカヅチは相当、イラついているのか顔が凄まじいことになっていた。

なんか……今話しかけたら刀で首をスパンとぶった切られそうだ。

「とにかく帰るぞ」

「お、おう」

俺は終始、イライラしているタケミカヅチにびくびくしながら家へと帰還した。









俺が家に帰ってくると既に連絡を受けたアマテラスがリビングにいた。

「遅かったの」

「まあな……で? これからどうするんだよ」

「そうじゃな……イザナギの狙いはサバイバルに邪魔なお主を消すことじゃ。

戦い好きのあやつがしそうなことじゃわい」

アマテラスの話によると、イザナギという男は戦いがある所には必ず、

いると言われているらしい。

そいつは戦いができればどっちにも就くらしく、敵にもなれば味方にもなる。

三度の飯よりも戦いの方が好きという度を越した戦闘狂だが戦い好きと、

言う性格に相応しい強さを持っているらしく、その強さはアマテラスと互角に、

戦えるほどらしい。

「今回ばかりは神夜には任せられんの」

まあな……アマテラスと互角に戦える奴と俺なんかが戦ったら速攻で、

心臓に槍を突き刺されてお終いだ。

さっきの戦いだってあいつは本気を出していないみたいだし……今回は、

俺の出番はないみたいだな。

『それは困るわねぃ』

「……?」

突然の声に俺は後ろを振り返るが誰もいなかった。

さっきの声はアマテラスのでもないし、

タケミカヅチのでもない……誰だったんだ。

「どうかしたか?」

「いや……なんでもない」

俺はさっきの声が気になったが、今はそれどころの話ではないのでひとまず、

聞き覚えのない声に関しては頭の片隅に押しやって、

アマテラスとの会議に集中した。






その日の晩、俺は部屋でアマテラスとともに待機していた。

俺が狙われているということもあり、穢れを払うのはタケミカヅチに任せて

アマテラスは俺の護衛ということになった。

そんなわけで久しぶりに夜に時間が余ったので、俺はもう直行われるであろう

小テストのために必死に勉強をしていた。

定期テストがない分、小テストが行われるんだがそれがいつ行われるかは

先生の気分次第なので明日行われるかもしれないし、明後日かもしれないし

今週はないのかもしれない。だから、今勉強しておかないと突然のことに

対応できなくなり、補習という名の地獄に引っ張られてしまう。

アマテラスはというと俺のベッドに横になって雑誌を読んでいた。

なんか、自分のベッドに女の子が横になってるのって……ちょっと変な気分だな。

「のぅ、神夜」

「なんだよ」

「最近の若者は皆、露出癖でもあるのか?」

俺は何も言えなかった。

恐らくアマテラスの中では人間の恰好は一昔前どころか数百年前の服装を、

しているもんだと思っているんだろう。

「いや。今の若い女の子はみんなそんな恰好してんだろ。

ミニスカート、ハイソックス、みんな昔にはなかったもんだ」

「うむ。つまり、今の常識はわらわにとっては非常識という訳か」

「そんなところだろ」

俺は簡単にアマテラスに返答し、再びペンをノートに走らせる。

ていうかなんで二年の十月の初めで行列なんかしなきゃいけないんだよ!

行列なんか数ⅢCの内容だぞ!

「……のぅ、神夜」

「なんだよ」

「お主には……こ、恋人はいるのか?」

……突然、こいつは何を聞いてんだ。

「いいや、生まれてこの方彼女なんてものは出来たことはない」

まあ、中学の頃は恋愛とか青春を謳歌するどころの話じゃなかったからな。

毎日、電話越しで父さんと壮絶な口喧嘩をし、毎日イライラしながら学校に、

行ってたのが懐かしいな。

「そうか……そうか」

何をこいつは嬉しそうに言ってんだ……まさか、こいつ、俺のこと……ないない。こいつに限って俺を好きになることはないな。

でも、まあ……心の中でそう思うのは良いよな。

部屋に妙な空気が流れ始め、勉強どころではなくなったので俺は、

キリのいいところで切り上げて向こうへ行こうとするとアマテラスに、

呼び止められた。

「どこへ行くんじゃ?」

「どこって、ソファで寝るんだけど」

そう言うと、アマテラスは何やら顔を赤くしながらブツブツと何かを呟き始めた。

あ? なんなんだ? できればもう寝たいんだけど……。

「し、神夜! わ、わらわの隣で寝るがいい!」

俺はそれを聞いた時、一瞬、自分の頭がおかしくなってしまったのかと思った。

だってそうだろ? 女の子がいきなり隣で一緒に寝よ? って言ったら

今までモテたことのない男ならばそう思ってしまうだろ? 

「……え、えっとアマテラスさん? いきなり何を仰って」

「だ、だからわらわの隣で寝ろと言っておるのじゃ! 

ソ、ソファでわらわもすぐに助けることは出来ぬ!」

むむ、確かにアマテラスの言っていることは一理ある。

無効に俺一人でいたらイザナギにブッスリと刺されてしまうかもしれないしな。

だ、だがよ……ア、アマテラスの隣って……。

「い、良いからはよう来い!」

「お、おう」

俺はアマテラスに言われるがままに彼女の隣に潜り込むと隣りから、

良い匂いがフワッと俺の鼻孔を擽ってきた。

良い匂いだな……。

「し、神夜。何故、そっちを向いておるのじゃ」

「い、いやだって……普通はこうするだろ」

「……こ、こっちを向けい」

とは言われてもだな……まあ、当人が向けって言ってんだから良いだろ。

俺は意を決して彼女の方を向くと、鼻頭が当たるくらいの距離に、

アマテラスの真っ赤な顔がドアップで写り込んだ。

「……初めてあった時もこうやって、近くにお前がいたな」

「あ、ああ……し、神夜」

「なんだ?」

俺は問い返すが彼女は顔を赤くしたまま動かなくなってしまった。

「い、いや……何もない」

そう言って、アマテラスは俺の胸板に頭をコテッと乗せてきた。

――――――っっっっっっっ! うぅ……こ、こいつこんなに可愛かったか?

俺は終始、興奮しつつも眠りについた。

こんばんわ~……あと、二十日もすれば自分は

高校卒業ですわ。長いようで短かった三年間でした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ