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俺の同居人は神様  作者: ケン
第一章 サバイバル
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第十四神  家族が居れば辛いことを乗り越えられる

「お姉さまを斬らないで!」

妹ちゃんは体をガタガタ震わせ、目で涙を溜めながらも両手を広げ、

姉であるトラロックの防御壁となっていた。

「何をしてんのよ! そこを退きなさいよ!」

トラロックは妹ちゃんを突き飛ばして、俺に殴りかかってくるが、

妹ちゃんはそれでもなお姉の脚に抱きついて邪魔をした。

「もうやめてお姉様!」

「うるさい! 私は! 私はこいつを殺してアマテラスと戦って倒すのよ!

そうしないと! そうしないともっと序列が下がって」

「そんなのどうでも良い!」

妹ちゃんの叫びを聞いて、トラロックは驚いたような表情を浮かべて、

妹ちゃんの方を向いた。

「序列なんてどうでも良い! どんなに貧乏な生活でも構わない!

皆からどんなに罵られても! どんなに辛くてもお姉様が傍に、

いたから私は我慢できた! それなのに……それなのにお姉様が私の隣から、

いなくなったら私は生きていけない!」

妹ちゃんは両方の眼から大粒の涙を流しながら、

トラロックに必死に懇願し続ける。

「だから! だから、私の傍にいて! お姉さま!」

妹ちゃん……泣けるぜ

俺は思わず、眼から涙が零してしまった。

俺が刀を降ろすと、トラロックは鬼のような形相を浮かべて俺を睨みつけてくる。

「なんで……なんで刀を下ろす!」

「確かに……序列が必要かもしれない……地位なんか高いに越したことは無いし。でも、妹ちゃんからすれば序列なんて……地位なんていらない……。

傍にお前が……大好きな姉がいるだけでこの子は幸せになれるんだ。

金や地位じゃない。この子を幸せにできるのはお前しかいないんだ」

トラロックは俺の話を聞き、しゃがみ込んで妹ちゃんの顔をジッと見つめた。

「ミズノ……」

「お姉様……私の傍にいて」

「ミズノォ!」

「お姉さま!」

何かに気づいたのか、トラロックは両目から大粒の涙を流しながら

妹ちゃんを抱きしめ、妹ちゃんも大きな声で鳴き叫びながら、

トラロックに抱きしめられた。













「みっともないところを見せたわねぇ」

それから約十五分、二人は俺の目の前でひたすら泣き続けた。

妹ちゃんは泣きつかれたらしく、

トラロックに抱っこされてスヤスヤと眠っていた。

「まったくじゃ。人間に諭されて泣くなど神がすることではないぞ」

「うるさいわねぇ……人間の意識を改めさせられたから良いのよ」

たっく……こんな時くらい傲慢な性格を潜めたらどうですか?

「これから……どうするんじゃ?」

アマテラスの質問にトラロックは薄らと笑みを浮かべた。

「別に……この子と一緒に暮らしていくわ。この子には数年間、

寂しい思いをさせちゃったし……当分の間は序列のことなんか忘れて、

この子と一緒に生きていくわ」

そう言うとトラロックは宙に手のひらを上にして翳すと、

そこに水が溜まっていき絵馬のような形をしたものがどこからともなく現れた。

その絵馬のような形をしたものを彼女は俺に放ってきた。

「これは?」

受け取ったものを見てみるとそれは何やら中央に文字が書いてあったが、

何が書いてあるのか俺には理解不能だった。

「サバイバルに参加する際に配られるもので倒した相手の神力を自動的に吸収し、記憶するものだ。言うならば受験票みたいなもんだ」

タケミカヅチが俺の疑問に答えてくれた。

ふむふむ、つまりこれは倒した相手の名前なんかを記憶させておく機械だな。

「それをあんたに預けるわぁ」

それを聞いた二人は何やら驚いた表情をしているが俺には、

何のことかさっぱり分からない。

すると、俺が握っていた絵馬が一瞬、光ったような気がした。

「今のでそれの所有者はあんたの物になったわぁ」

「なんで、俺なんかにこれを」

「…………あんたにはこのサバイバルをグチャグチャに、

かき混ぜてほしいのよ……それと、私が出来なかったことを、

あんたにはして欲しい。そして、このサバイバルの行く末を見届けてほしい」

そう言った直後、トラロックと妹ちゃんの身体が突然、

光の粒子となって消え始めた。

え、えぇ!? な、何が起きてんの!?

「今、お主が持っておるものがサバイバルへの参加証みたいなものだ。

それの所有権を失ったんじゃ。強制的に神界への転送が始まったんじゃ」

「……ありがと……あんたのおかげで失くしかけた物をまた掴みなおせたわ」

その言葉を最後に、トラロックと妹ちゃんは完全に光の粒子と化して消え去った。

「…………うぅ」

「「神夜!」」

先ほどの戦いでのダメージが限界に達したらしく、俺は気を失った。









『ま、及第点はくれてやるよ』

……確か……あなたは……。

『己の確固たる目的を見つけ、その刀の真の力を手にした……が、

完全に力を開放したとはいえねぇな。なんだよ、あの様は。

あの程度の神なら俺が使っていたころなら一撃で首を刎ねてたぞ』

んな無茶なこと言わんで下さい……俺は人間なんですよ?

『無茶もへったくれもあるか……ま、修行なりなんなりして、

全ての力を開放しろや。そうしたら俺以外の奴らにも出会える』













「それってどういう……あれ?」

俺はイケメンさんに質問しようとした直後、意識を覚ましたらしく視界に、

タケミカヅチとアマテラスが大層、驚いたような表情を浮かべて、

こっちの方を見ていた。

「目が覚めたか……ちっ!」

こらこら、そこのもえるように赤い髪をしているアマテラス様や。

なんで俺が目覚めたのに忌々しそうに舌打ちしたのかな?

「よく目覚めたぞ!」

そうそう、こんな感じで俺が目覚めたことをうれしく思ってくれれば俺も嬉し

「一週間ソファに座り放題だぁぁぁぁぁ!」

……とにかく、お前ら死ね。とにかく、いっぺん死んでこい。

人がいつ目覚めるのかを賭けの対象にしやがって……。

「まあ良い。神夜、どこか調子が悪いところはないか?」

「まあ……無いですけど」

すると、急にアマテラスはバツが悪そうな顔をした。

「あ~やはり、敬語はよい」

「なんでまた?」

「…………わらわが見下しているようであろうが」

今更そんなことを言うなよ……そう思ってるならその性格を直してください。

「とにかくじゃ! 貴様もサバイバルに参加したのじゃからこれからは、

今まで以上にビシバシ鍛えていくからな!」

「おう! これからびしばし……ちょっと、待った。今、なんつった」

一瞬、聞き流してはいけない内容があったような気がしたんだが。

「じゃから、びしばし」

「その前!」

「サバイバルに参加したのじゃから」

「誰が?」

「お主が」

…………wait wait……とりあえず、落ち着くんだ俺よ。

今、アマテラスが言ったことをもう一回、繰り返してみよう。

敬語じゃなくてもいい……そして、俺もサバイバルに参加したのだから、

これからびしばし鍛えていく……参加する?

「お、俺って人間だから」

「バカか。お前がトラロックから貰った時点でサバイバルへの参加は確定だ」

タケミカヅチが呆れたような声音で俺にそう言ってくる。

そんなバカなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!

「トラロックぅぅぅぅ! トラロックぅぅぅぅ! come back!

これやっぱりお前に返したいからcome back! 

カムバァァァァァァック!」

「頭でも狂ったのか?」

「もともとじゃ、気にすることはない」

俺は二人から冷ややかな視線をぶつけられながらもひたすら空に向かって叫んだ。








「カムバァァァァァァァァァァァァァック!」

こんばんわ~ケンです。


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