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俺の同居人は神様  作者: ケン
第一章 サバイバル
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第十一神 神解

それから二日後、戦いの当日の夜、十一時。

俺は晩飯も食い終わり、風呂も入り終わっていた。

普段ならこの時間帯に穢れを払いに行くとか言って時間無制限の、

無限マラソンに駆り出されるんだが今日は違った。

雨の神―――――トラロックとの戦いの当日だ。

この二日間、呪いの鍛錬は一切せずにほとんどの時間を、

タケミカヅチとの鍛錬に費やした。

真剣を使った戦い――――すなわち、それは殺しあいだ。

剣で斬られれば血は出るし痛みもある……それでも、

この戦いには勝たなくちゃならないんだ。

「神夜」

そんなことを考えていると後ろから声をかけられ、

ソファに座りながら振り返ってみるとそこにはアマテラスが立っていた。

「隣……よいか?」

俺は何も言わずアマテラスが座れる空間を作ると彼女はそこに座ってきた。

「…………」

俺達の間に、妙な空気と沈黙が流れた。

……何か話すか? ……でも、何を話す? ……アマテラスに、

叩かれてから碌な会話もしなかったからな。

久しぶりにまともに話すからな…………あれを話そう。

「アマテラス様」

「な、なんじゃ」

「あの時はあんなことを言って悪かった」

俺が頭を下げるとアマテラスは一瞬、驚いたようで体がビクッと震えた。

「せっかく助けてもらったのに……俺のために呪いを教えてくれたのに、

その恩を仇で返すようなことをして済みませんでした」

「ふ、ふん! わ、分かればいいんじゃ!」

そう言って、アマテラスはどこか別の方向に向いた。

それからまた、俺達の間に沈黙が流れ始めたが突然、

アマテラスが俺の手を優しく握ってきた。

「怖いか?」

「……怖いですよ」

怖くないはずがない……相手は神だ。

下手すればこっちが死ぬかもしれない……こっちが死ぬ確率の方が圧倒的に高い。トラロックに勝てたらそれはもう、奇跡だ。

だって、人間が神様に勝つんだぜ? そんなのテーブルに、

触れたら自分の腕がすり抜けるくらいの確率かもしれない。

「神夜……わらわ達がお主の傍で見守ってやる。殺されそうになれば、

わらわがお主を助けにいく……お主を殺させやしない」

「……そのことなんだけどさ」

俺はあることをアマテラスに伝えると

彼女は驚きのあまり、目を見開いて俺の方を見てきた。

それから、何回か会話をして時間が来たので俺はタケミカヅチと

アマテラスと一緒にトラロックが待っている場所へと向かった。






「待ってたわよぉ」

学校に入るとグラウンドの中央にトラロックが寒気がするほどの、

不敵な笑みを浮かべて待っていた。

そして、その隣には……ってあれ? トラロックの隣にいる子、

この前タコの穢使に襲われた時に一緒にいたこじゃねえか。

「あ、お兄ちゃん!」

そう言って、この前に出会った女の子は笑みを浮かべて俺の方に手を振ってきた。

「な~にぃ? 知り合いぃ?」

「ああ、まあな。知り合いというか顔を知ってるだけだ……妹か?」

「そうよぉ」

神様にも妹とか言う、概念が存在するんだな。

「そろそろ、始めちゃいましょうかぁ。あんたをパパッと殺してぇ」

トラロックの周りに何処からともなく、水で出来た球体がいくつも現れた。

「アマテラスと戦うわぁ」

そう言った直後、俺に向かってその水で出来た球体が放たれた。

「やらせねぇよ」

俺はタケミカヅチから借りた剣を振るい、向かってきた水の球体を斬り裂いた。

それを見たトラロックはこれで決めるつもりだったらしく俺が剣をふるって、

水の球体を斬り裂いたことに驚いていた。

「へぇ。今のでケリをつけようと思ってたんだけどぉ……面白いわねぇ。

下がっていなさい。ミズノ」

「は、はい」

トラロックは妹のミズノちゃんを下がらせ、先ほどよりも倍以上の水の球体を、

辺りに生成し、浮かばせた。

「水をものすごい速度で叩きつけたらどうなるでしょうかぁ!」

そう言って、トラロックが腕を振り下ろすと一つの水の球体が、

ものすごい速度で俺に向かってきた!

「うおぉぉ!」

俺は慌てて、その場から離れると俺が先ほどまでいた場所に、

水の球体がものすごい速度でたたきつけられ、

グラウンドの土が舞い上がり大きな穴が開いた。

こ、こんなもの喰らったら確実に骨は逝くな。

「ボサッとするな! 次が来るぞ!」

「――――っっ!」

タケミカヅチの怒鳴り声を聞いて意識をトラロックの方に向けると、

二つほどの水の球体が俺に向かってきていた。

「どりゃぁ!」

俺はタケミカヅチから借りた剣を振るうが、一つしか

切り裂くことができずに残ったもう一つが俺の腹に直撃した。

「ぐばっ!」

腹に当たった瞬間、痛みとともにボキン! という何かが折れる音がして、

腹の底から何かが上にあがってきた。

「うっ! おえぇ! ごぼっ!」

吐瀉物を吐くようにして口から吐き出したのは血だった。

「アハッ♪ほんと、人間って脆いわねぇ!」

痛い……こんな痛み経験したことねぇ……。

俺はあまりの痛みに腹を押さえて蹲ってしまった。

「アマテラスとの戦いのウォーミングアップには

なると思ったんだけどぉ……これじゃ、アップにもならないじゃないぃ」

そう言って、トラロックはさらに水の球体を俺に向けて、放ってきた。

「げほっ!」

痛みのせいで碌に動けない俺は剣を無茶苦茶にふるってなんとか水の球体を、

斬り裂こうとするが無茶苦茶に振るった剣が当たることなどなく、

五発位の水の球体がものすごい速度で俺の全身にぶつかってきた。

「ぎゃっ!」

凄まじい激痛に一瞬、気を失いかけた。

「えぇ? これでお終いなのぉ?」

呆れたように言いながらトラロックは俺に近づいてきて頭を踏んできた。

「ほらほらぁ。私がここまで近づいて、

あげてるんだからさぁ。一回でも斬ってみなさいよぉ」

こいつ……完全に俺を見下して……いや、普通はそうするか。

アマテラス達がしないだけであって普通の神様は、

俺たち人間のことを……見下してるのかもな。

「あぁ?」

俺は痛みを我慢してトラロックの足を掴んだ。

「だ……い……一……番!」

「アツ!」

俺はトラロックの足を掴んだ状態で手のひらに火の粉を出すと、

トラロックは突然の痛みと熱で思わず、俺から離れて水で冷やし始めた。

「アツッ! な、なんなのよこれはぁ!」

「第一番の……出来そこないの……火の粉だよ……結構、熱いだろ?」

俺の手のひらにはいくつもの火の粉があった。

火の粉も重ねて直に肌につけてやったら火傷くらいするかなって、

思ってたんだけど……成功したみたいだな。

「…………が」

突然、トラロックはブツブツと何かを呟き始めた。

な、なんだ? ……もしかしてブチ切れたか?

「……間が……人間がぁ! 人間がこの私の肌に、

やけどを負わせやがってぇぇぇぇぇ!」

「ごばっ!」

な、なん……何が起こって……。

気がつくと俺は腹部の激痛とともに地面に横たわっていた。

「許さん! 許さん許さん許さん許さん! 下等な人間がぁ!」

その瞬間、地面に染み込んでいたと思われる大量の水が噴き出して、

トラロックの周りをものすごい速度で回転し始めた。

「待つのじゃトラロック! 相手は人間じゃ!」

「黙れ黙れ黙れ! ぶっ殺す! あんたは私の最強の姿で殺す!」

ア、アマテラスが動揺するほどの力なのか? ……な、何が起こるってんだよ!

神解(しんかい)!」

その言葉と同時に辺りに凄まじい強さの風が吹き荒れた。

こんばんわ~……とりあえず、目指せユニーク数三桁!

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