用語集
〈厭輝〉Mephistopheles
試作初号機。派手な子。
対ミーティアタイプ戦闘を視野に航空能力の研究が進められていたが、既に知られ始めていた非人間形態のガンスレイヴに発生する幻肢痛問題が危惧され頓挫。凍結されたプロジェクトは有翼種専用機である後の「二式」に引き継がれることとなる。
〈転鱗〉Abraxas
試作二号機。地味な子。
ティマイオスという存在の可能性を追求したコンセプトモデルである〈厭輝〉に対し、こちらはガンスレイヴのコンセプトに即した「人体の延長」としての追及がなされ、開発ノウハウは実際に後続の機体へ継承されている。
〈撃震〉Thor
第二世代。後衛、重砲撃型。ドリルも装備。
前へ出たがっては走り回る搭乗者のせいで足回りの関節は日々悲鳴を上げている。
両肩に装備された砲口は、実験的に装備されている召喚兵装の一種により、光線の収束/拡散が可能。
〈永姫〉Artemis
第二世代。中衛、高機動型。
航空能力そのものがオミットされている反面、全身いたるところに瞬発力のある推進機関を搭載しており、立体的な空中機動が可能。
〈非天〉Asura
第二世代。前衛、格闘型。
装甲を限界まで切り詰め、機動性と反応速度を追求した結果、冗談のような柔軟性が実現した。近接戦闘用兵装を内蔵している反面、中距離以上の戦闘能力は外部兵装に依存する。
〈厭輝二式〉Mephistopheles Ⅱ
試作機〈厭輝〉の正統後継機。
本来あり得ない、航空能力を有する「有翼種」専用機。四肢と翼を用いる搭乗者の戦闘スタイルに準じた格闘戦仕様のため、外部兵装はなく、下腕部及び脚部に装甲が集中している。
〈アリス〉シリーズ
真行寺重工製、軍用ガンスレイヴ。
現在第三世代まで存在し≪XENON≫にも配備されている。
非常に汎用性が高く「名機」と称されるが、あくまで純粋な人類技術の産物なので、どうあがいてもティマイオスとの間には戦闘が成立しない。
〈エレイユヴァイン〉
オリジナル。オールラウンダー。
複座式で、航空戦闘形態への変形機構を有する。
通常の物理兵器が通用しない領域【租界】を他の味方機とは桁違いの強度で発生させるが、本来それは対人類用の防御手段ではないらしい。
〈ザルゥスモルティア〉
オリジナル。拠点防衛用の重量級。
〈クラウフェルン〉
オリジナル。妖精の時代における最強最悪の機体の一つ。外見上は軽量級。
〈ミーティア〉タイプ
所属不明、有翼の量産型ティマイオス。
数年前から世界各地に出現しては無軌道な破壊活動を行っている、前代未聞の脅威。
出現する地域の言語を発することもあり、何らかの理由で現地人が搭乗しているものと推測されるが、機能停止と共に炎上するため、未だ詳細な情報は得られていない。
単独で出現することが多い。
〈サテライト〉タイプ
所属不明、有翼の量産型ティマイオス。
前述の〈ミーティア〉タイプに酷似しているが、反応速度や特に空中での機動性で上回っている他、搭乗者が意思表示を行うことはなく、攻撃対象に対して捨て身で突撃する。
集団で出現することが多く、その際にはオリジナルのティマイオスが指揮を行っている。
【アルベドモード】
特務機関≪XENON≫所属の第二世代型以降のティマイオスが搭載している出力増幅機構。
人類技術製ティマイオス零号機〈アリエル〉のデータと〈エレイユヴァイン〉の解析データを基に作成された。
意識を持つ存在に呼応し、組み込まれた構造体の力を増幅する性質を持つ。本来は自分の意思を自分自身の強化へ向けるものではなく、他者から向けられる意識を己が力とする、言わば「妖怪見上げ入道」システム。
第一期『羽撃のアークエネミー』決戦時に神器〈パルガクルス〉並びに神器〈エレイユヴァイン〉が本来の形で発動させた。
【オリハルコン】
不思議鉱物。高硬度の精密な結晶構造体で、精霊の伝導/エネルギー変換効率が極めて高い。
ティマイオスのインターフェイス中枢を構成する物質で、他の材質では代替が利かない。
これを弾頭とする火器は、ティマイオスが発射したときに限り対ティマイオス用の攻撃手段となる。ガンスレイヴ(≒通常の人類)が使用した場合オリハルコンは精霊触媒として機能しないため単なる「高性能徹甲弾」でしかない。
【ガンスレイヴ】
汎用人型作業機械の総称。その名は「人の意思に追従する機械の体」から。
ケルト神話の王権にまつわる逸話にちなむ「アガートラーム」という義肢技術の結晶で、その起源から操縦は非常に容易。しかも操縦者自身の体の衰えは操縦に反映されないので、作業そのものに熟練した老人であれば正確かつ緻密な動作を続けることができるようになる。
反応速度の高さによる瞬発力や汎用性から、兵器として転用された軍用機体は現在「最強の陸戦兵器」に位置づけられている。
脳の運動野と直結する仕様のため、機体は人型でなければならないが、それを無視して車輪や多脚タイプの機体も建造された結果、そのパイロットの脳は「自分は二足歩行する体ではない」と勘違いしてしまうようになり、本来の足を動かせなくなったり、機体にはあるが本来の体にはないはずのパーツが痛んだりといった一種の「幻肢痛」が報告されるようになってしまっている。
余談だが、作中で登場した「現代最強の航空戦闘機」ラヴァーダはパイロットの思考と機体の反応とのタイムラグを極小とするインターフェイスとしてアガートラームを簡略化したものなので、前述の幻肢痛は発生しない。
その性質上、パイロットの精神が機体を覆っていることになり、この機体による体当たりは【租界】を貫通することだけはできる。
ティマイオスとの関連は深いが、ティマイオスはガンスレイヴの発展形ではない。
【空間転移】
召喚兵装の一種。ある属性を有する機体に使用可能。
【金華猫】
詳細不明。黒猫ブルーが該当するとされる。
【高速紋章】
オリジナルのティマイオスが搭載している召喚兵装運用補助システム。
任意の空間座標に精霊駆動回路を擬似的に形成、予めプログラムされたいわゆる「魔法」「術式」を起動するもので、これにより柔軟性こそないものの大規模なものであっても発動プロセスが大幅に短縮されている。
これ自体が召喚兵装を「兵装」たらしめている代名詞といってもいい。
【召喚形質】
妖精及びチェンジリングが発現する特殊能力。
個々の「属性」に沿った現象を発生させるいわゆる魔法的な力で、無限大ではないが無尽蔵。規模こそ大したことはないものの、本来それを実現するのに必要なはずのエネルギー等物理的な制約を無視して発現する。
これの慣熟に伴いティマイオスと搭乗者の同調率及び出力規模は向上していくことになる。
【召喚係数】
機体が有する、搭乗者の精霊指数(後述)に乗算される数値。機体への精霊の同調具合、言わばレンズの屈曲率。
ただし機体の許容量を超える膨大な精霊指数の持ち主の搭乗によって機体内部で精霊が高密度の圧縮エネルギーとなりこの数値が無理矢理跳ね上がることもある。
【召喚兵装】
オリジナルのティマイオスに搭載されている魔術的な要素。
前述の高速紋章とセットで運用される。
【影妖精】
後世への復活を期した妖精の計画のほころびから生まれた存在。
【精霊】
妖精及びチェンジリングを介して世界へと流入する不思議エネルギー。擬人化されそうな名称ではあるが便宜上そう呼ばれているだけで自我はない。
これを利用し駆動する構造体及び技術体系をオリハルコンテクノロジー、これらの発する波動を精霊反応と呼ぶ。
妖精やチェンジリングはこれを扱う生命であるため、単独でも精霊に対する感受性を持ち、オリハルコンテクノロジーの産物の感知や、接触した人間が通常の人類か否かの判別もある程度可能。
【精霊指数】
妖精及びチェンジリングの出力規模。パイロット適性と言い換えても基本的には問題ない。
≪XENON≫設立当初から確認されていたチェンジリングである一条トーヴァ・シュトロハイムを基準として設定されている。つまりトーヴァの精霊指数は100。
【精霊石】
ティマイオスに搭載されているオリハルコンフレーム中枢機構。
動力伝達とマンマシンインターフェイスを兼ねているが、完全にブラックボックス化されているため人類の技術では新造が不可能。
この数が限られているため≪XENON≫は機体を増産することができない。
実質的にエンジンとして機能するが、完全な閉鎖系であり、どのようにエネルギーを発しているのか、現時点の人類の技術では解析が出来ない状態にある。
【租界】
ティマイオスの基本にして絶対的な通常兵器との差異。これのため、ティマイオスにはティマイオスしか対抗できない。
機体周辺の空間を変質させ物理法則も歪める特殊な力場。
精神に反応する特性を持ち、意識を持つ存在の出入りには何の障害にもならない反面、それ以外、銃弾や爆薬といった、人の意思の通わない近代兵器に対しては絶対的な障壁となる。よって基本的に租界外から租界内への物理干渉は成立しない。
租界同士が反発し合うことはないが、第二段階の特性によってはティマイオス同士の戦闘においても防御手段になりうる。
ちなみにトーヴァが搭乗していた〈厭輝〉が砲弾を不完全ながらも防御しきれたのは、距離が開いていて租界の相互干渉がなかったことに加え、撃ち込まれたのが租界内では威力の減衰する物理兵器(非オリハルコン弾頭弾)だったため。このとき〈オルトロス〉にはガンスレイヴ用の武装しかなく、対ティマイオス(自分と同格相手の)戦闘においては丸腰同然だった。同じ条件下、天城青邪の搭乗により桁の違う出力で発生した【租界】は砲弾を弾き飛ばしたわけである。
【チェンジリング】
オリハルコンテクノロジーの使用資格者。妖精に酷似して非なるもの。
人類から稀に生まれ、召喚形質と称される特殊能力を行使できる他、能力の高い者は『完全体』と呼ばれ、人種とは無関係に頭髪や虹彩等外見上の色も変化する。
その能力は先天性のものだが『完全体』はある日突然発現するケースが見られる。
あくまでも「資格者」であって、チェンジリングであること自体はティマイオスの優れた乗り手であることを意味しない。
【ティマイオス】
通常兵器の通用しない巨大ロボット。
その起源は超古代文明の遺産にあり、ブラックボックス部分以外を現行人類の技術で建造されたものが≪XENON≫所属の機体である。
実は動力機関が存在しない。ブラックボックス自体も「何かの伝導回路」でしかなく、それにもかかわらず、搭乗者を得たとき人類史上最大クラスのエネルギーを発する構造体と化す。
本来、人類には使えない。
現在、主人公側勢力である≪XENON≫には真のティマイオスを扱える存在が天城青邪一人しかいないが、彼もある偶然によって能力が頭一つ抜き出ているだけに過ぎず、作中での決戦で正統な機体に勝利を収めることができたのはエレイユヴァインの性能によるところが大きい。
【武装召還】
オリジナルのティマイオスに搭載されている召喚兵装のひとつ。
固有の外部兵装を任意の座標へ呼び出す。
【妖精】
超古代に存在した人型生物に対する、便宜上の呼称。
詳細は不明ながら、巨大な人型構造体「ティマイオス」を建造していた他、有翼の生命種を創造し使役していたらしい。
その技術体系は、意識に反応する結晶体「オリハルコン」を主軸としたもので、それにちなみ「オリハルコンテクノロジー」と称される。ソフトウェアの比重が極めて高かったと考えられ、再現が極めて難しい。ある程度ハードウェアの模造はできても、総体として起動させられないのである。
【白妖精】
前述の影妖精と対になる存在。