表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
我龍転生  作者: キーダの滝
真の戦い
73/82

第70話「革命-中 アガリアレプト・アレク2」

遅くなってしまって申し訳ないです。今回は長くて、戦いもあるので文がおかしい部分も多々あると思いますがご理解いただけますようよろしくお願いします。








アガリアレプトは左手に構えた魔導書のページをめくり始め悠長に読み始めた。


「随分と余裕だな…読書でも始めようってか!」


士助は勢いよく地面を蹴り真正面から突撃する。一見、油断しているようにもアガリアレプトだが士助の突進に合わせてノーモーションで突きを繰り出す!これを読んでいた士助は剣先わずか1cm程度のところでかわしつつ、相手の左側へと回り込む。


(もらった!)


袈裟がけるように斜めに切りつける士助。突きの体制のまま停止するアガリアレプト。しかし、ゆっくりと左人差し指で士助を指し、小さく呟いた。


「炸裂する炎…フレイム!」


同時に指先から現れた火炎弾が士助目がけて飛来する!ほぼゼロともいえる距離で被弾し、爆発。壁まで吹っ飛ばされて背中を打ち付けた。急ぎ体制を立て直そうとするが、高速の突きが追撃する。左に体を反らしてかわすが、再び人差し指が士助に狙いを定める。


「貫く雷…ライトニング!」


今度は雷が一直線に脇腹を貫通し、地面をも貫く。肉だけでなく血も焼く痛みが光の速さで全身を駆け巡る。


「ぐっ…これぐらい!」


しかし、士助が今までに通った道も伊達ではない。痛みに耐え抜き、わざと体を左に傾け右足で魔導書を蹴り飛ばし、左手で全体重を支え倒立の状態で足元を切り裂く!畳み掛ける攻撃に驚きを隠せないがアガリアレプトは余裕の表情で笑っている。


「跳ね上がる大地、グランド!」


城の床が盛り上がり壁を形成して、斬撃を防ぎ魔導書を拾い上げた。この時、士助の中で1つの疑問が生じた。だが、そんなことお構いなしに続けざまに呪文を唱える。


「立ち向かう風…ウインド!」


突如、突風が発生し、士助を強襲する。吹きすさぶ嵐の如く、前進することは勿論、目を開けることもままならない。立っているだけで精一杯だ。


「まだ前座ですよ?押しつぶす水…アクア!」


風が止んだと思えば頭上から球体の水塊が落下し、地面に叩きつけられる。全身を濡らす水が枷になって体が重い。どうやら普通の水ではないようだ。


「くっ……そ…」


立ち上がろうと手に力を入れる。


「おっと、そのまま這いつくばっておいて下さい。拘束する氷、フロスト!」


体表面の水が、服に浸み込んだ水が凝固して氷となり、体が床と離れない。そこへアガリアレプトが歩み寄り、目の前でイス、ポット、ティーカップを出し、イスに腰掛けカップに紅茶を注ぐ。落ち着いた様子に反して奥歯を噛み締め威嚇する獣の如く睨みつける士助。


「まぁまぁ。そう怒らないでゆっくり話でもしましょう」


湯気の立つティーカップを手に変わらず不敵に笑う。優しく静かに音を立てずに紅茶を喉へ通す。


「ところで、あなたは『上級精霊』についてどこまで…いや、何を知っていますか?」


問いかけるが返事の代わりに恐ろしい視線を返す。呆れた顔で顔を横に振って挑発する。


「知らない様ですねぇ…。なら少し話してあげましょう」


紅茶片手に魔導書の中に目を通しながら話し始めた。


「今から何千年…いや、何万年か前でしょうか。種族間での戦争が激しかった頃に、今の地上にいる種族を悪魔が襲いました。その頃は悪魔も地上にいて多種族とは冷戦を続けていましたからね。それが歴史にも残っている大戦争『悪魔大進行』。悪魔からすれば大軍勢を相手にしていましたが、勝手に戦い戦力を削ぎ合っていたので我らにとっては好機でした。そして、その時に地上軍の戦力の9割以上を削いだのが我ら『上級精霊』。当時はルシファー様が参加していなかったので当然ですが…」


再び、紅茶を飲み一段落するアガリアレプト。その瞬間!拘束する氷を力ずくで破壊し、刀で切り上げた!間一髪、かわしてイスが半分に、カーペットに紅茶が広がりカップの破片が散らばった。


(あの氷をどうやって…)


士助を睨みつけると、ポケットから紅い光が漏れているのがわかる。中から取り出したのは家淵にもらった『紅光石』。これから熱い力が湧いてくるのを感じる。


「それは紅光石…!それを見るといつぞやの玄龍族を思い出しますよ。今、思い出しても腹が立つ…」

「どーやらコイツのおかげで氷が脆くなってたみたいだな。助かったぜ兄ちゃん」


士助の周りに昇華された水が漂っている。


「まぁ、戦いながら話の続きでもしましょう」


三度みたび、人差し指が士助の頭を狙う。そうはさせまいと瞬時に、側面へと回り込み横から薙ぎ払う。レイピアの鍔で受け止め、指す。口が動いたのと同時に刀を残したまま体制を下げる。


「フレイム!」


放たれた炎が頭上を奔る。しゃがんだまま、左足を軸足にして回転しながら右かかとで足を払う。小さく跳躍しかわすが士助はそこを狙う!落ちてきた刀を宙で掴み、動けないところを切り裂く!しかし刃の前に隆起した床が立ちはだかり、斬撃を防がれる。戦争で多くの者を倒しただけあって傷一つつけることも容易ではない。


「先ほどの話の続きをしましょう。さっきも言った通りその時の戦争は地上軍が圧倒的不利でした。しかし、見ての通り今も彼らは地上に。我らは魔界にいます。何故でしょうか?」

「んな事知らねぇし興味もねぇよ!」


正面から振り下ろし鍔迫り合いに持ち込む。士助は両手で押すにも関わらずアガリアレプトは片手で応戦している。


「何故かというと、どこかの戦闘狂の種族と『天使』達が我らを一瞬の内に退けたからですよ」


振り払い士助を蹴り飛ばし、今度は斬りかかる!右から左から、上から下から。襲いかかる素早い斬撃をなんとか捌く。


「勿論、その種族は玄龍族。あなた達ですよ。圧倒的な戦力だった『上級精霊』はあなた達に敗れた。1人残らずね」


四方八方からの斬撃を後退しながら捌くも、背中を隔壁で打ち追いつめられる。柄で腹を殴り、もう一発膝蹴りを喰らう。前かがみになったところで後ろ襟を掴まれ反対方向へと投げ飛ばされる。


「玄龍族の優秀な戦士たちが来るのは予想外でした。しかし、それよりも予想外だったのは『天使』でした」


剣先から炎、雷と飛来し横跳びでかわす。


「彼らは魔力を消滅させる力を使い、一瞬の内に悪魔軍を敗北させて我ら『上級精霊』の魂のみを『浄化の柱』という場所に封印しました。気性が荒く暴れた者は封印された後、還る場所を無くす為に体を消しました」


アクア、フロストと唱え、頭上に氷塊が現れそこへライトニングを打ち込み、砕けてつららとなった氷が降り注いだ、


「まぁ、他の野蛮な者とは違って私の体は残っていたのでそこはラッキーでしたね」


氷群を一閃し、全て粉々に切り裂く。凛とした表情の士助を見て記憶の奥底の記憶が少しずつ蘇ってくる。


「あなたを見ていると、あの時戦った『炎』という男を思い出しますよ。炎の力を操るあの男…」


幾万年もの月日を経て消えかけていた戦争の記憶が徐々に形をなし、すぐに鮮明な記憶となって姿を現した。同時に湧き出る憎悪に身を委ねていく。士助の目の前に一瞬で移動し、レイピアを突き出す。刀身を横にして受け止めるが強烈な力の余り、足の裏で地面を滑る。刃紋をなぞる様に切りおろし鍔を強く打つ。刀が前に出て、あらわになった士助の胸にレイピアを突き刺す。血も出ない程、繊細な突きで痛みが遅れてやってくる。


「がっ…!」

「まだ死なないでしょう?もう少し、体を慣らすのに手伝ってもらいますよ」


ゆっくりと痛みを与えながら抜き、最後に蹴り飛ばす。力が抜け、亡者の如く弱々しく倒れて壁にもたれる。傷口を抑えながら右手で刀を構える。ゆっくりと押さえていた手を放すと傷口は塞がりつつあった。そして、両手で構えなおす。


「超速再生…それが戦闘種族と呼ばれる所以の1つでしょうが厄介ですね」

「テメーの魔法の方が厄介だっつーの…」


アガリアレプトが魔導書のページをめくり新たなレイピアに取り換えた。


「さぁ、第一幕は終わり第二幕へと移ります…。今度は少しばかり力を出しますよ」


相手の放つ殺気が一回り大きくなった気がした。今までのが遊びだとわかる程大きい。この殺気に士助の中に眠っていた闘争本能が掻き立てられた。

実のところ、士助には封印していた力がある。死ぬ寸前まで追いつめられることが無かったので使わなかった力だ。しかし、目の前の相手は100%を出さなければ殺される相手だ。追いつめらていなくても、今の自分は一瞬で殺される。それに、キルトとの約束だってある。この国の人々を救うのだ。その誓いが士助の本気を引き出した。


「だったら…!出し惜しみしてる場合じゃねーな…」


刀を両手持ちから片手持ちへと変える。しかし、前に構えず両手をぶらりと下げてリラックスするかの様な見た目からは戦意をまったくと言っていいほど戦意を感じ取れない。一風変わって余裕な士助。剣先を向けても視線を返し一切動こうとしない。


「その余裕…絶望へと変えてあげましょう!襲いかかる炎、スネークフレイム!」


剣先に4つの炎球が現れ、殻を突き破り中から炎の蛇が飛び出した!襲いかかる炎の蛇を右に左に飛んでかわす。敵である士助をどこまでも執拗に追いかけてくる。追い打つように、逃げ回る士助に剣先を向けて呪文を唱える。


「駆ける雷、ブラストライトニング!」


剣先が一瞬光ったかと思うと、光速の轟雷が奔った!炎に背を向け、同時に雷が迫る状況下で自ら右足を蹴り体を倒してかわす。頭上で雷と炎が相殺し、強烈な光と音が全身を震わした。しかし、この程度で怯む士助ではない。すぐさま立ち上がり切りかかる。レイピアで防ぐが斬撃の威力が一変し急激に重くなり、思わず両手を使う。


(両手から片手に変わって何故重くなる…?)


歯を食いしばり押し返そうとする。すると、士助の口元が緩み微笑を見せる。刀身を相手に向けて右手を後ろに引いた。


「行くぜ…!俺だって本気だ!」










こういう戦いだけでなくSSというのも書いてみたいですねー。出来たらいいんですけど…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ