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我龍転生  作者: キーダの滝
真の戦い
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第62話「執事の少年の道」

各々の修行編を書きました。しかし、短めです。活躍は…まだかな、ヒロト。







士助が旅をする中、ヒロト、花、サタナスの3人の修行は既に始まっていた。しかし…


ドサッ

「も、もうダメだ…死ぬ…」


限界が来ていた。







3人は玄龍族の里の裏手にある『龍の前森』。その1つ後ろに位置する『龍の中森』へと連れてこられた。森の中は右も左もわからない樹海の様な場所に3人は放置された。連れてきた張本人である庵次には「奥の遺跡に行け」とだけ告げられて修行が始まり、そして…


「げ、限界だ…何か、食う物を…」


現在に至る。始まってまだ3日しか経っていないのにも関わらず人間のヒロトは生死の境を彷徨っていた。2日目に偶然見つけた泉で水は補給できたものの、肉はおろか木の実すら見つからず餓死寸前。挙句、巨大な爪を持った熊の魔物に追われた。何とか逃げ切ったがもう立つことすらままならなくなった。極度の疲労感と空腹が同時に襲い掛かってくる。

死ぬ…。直感的に理解してしまった。目が霞んで幻聴まで聞こえてきた。体から湧き上がるような声だ。勝手に連れて来られてこんな結末を迎えるなんて思いもしなかった。

まだまだやりたいこともたくさんあったのに。

視界が段々狭まってきて暗闇が世界を染めてゆく。意識がゆっくりと遠ざかって、ゆ、く…。











気を失った後、夢を見た。


それが走馬灯なのか、それとも天国へ行く道で見た映像なのかはわからないがはっきりと鮮明に頭に残る映像だった。

その夢でヒロトは樹海の森を蹴り俊敏に移動していた。眼前の障害物を切り裂き、行く手を阻む魔物を振り払っていた。先程までのヒロトではありえない光景だ。


何故こんなものを見たのだろうか。

脳裏で描いた現実への希望なのか、はたまたただの夢なのか。


夢で疲れたのかヒロトは立ち止まり振り返った。すると、いつの間にか迫っていた例の巨大な爪の熊の魔物が迫っていた。爪を鳴らし、小さく威嚇した後4つの足で地を叩き突進してきた。加速をつけて殺すつもりなのがわかる。しかし、こんなものでやられるほど夢のヒロトは甘くは無かった。軽やかに跳躍し攻撃をかわす。止まれない魔物は大木に頭を打ち、押えながらこちらへ向きなおす。そこへ駆け出し小さく跳ね、両手を交差させる。そのまま十字を描く様に両手を払った!




















気が付けば。

焚火を焚いて焼けた肉を食っていた。目の前には例の巨大な爪の熊の魔物が横たわっていた。腹部には深い十字傷が刻まれていて背中の肉がむき出しになっている。

正直、理解できなかった。


(何があったんだ…これは一体…)


必死に肉を食らいながら頭を働かせ、この夢で見た様な状況を理解しようとする。


まず手に持っている肉。これはあの魔物の肉なのは確実だろう。魔物の肉なんて食っていいのかどうかは後だ。そしてこの魔物。追いかけられている時は気付かなかったがヒロト数倍の大きさはある。

次にこの十字傷。切り裂かれているということは刃物の様に鋭い物でやられたんだろう。つまり、単純に考えれば武器を持たないヒロトには不可能なのだ。周囲にもそういった類の物は見られない。可能性があるとすれば庵次かサタナス。だが、あの2人がわざわざこんな親切をするとは思えない。

だったら誰が…。いや、考えていても仕方ない。体力も回復していることだし今は先へ進もう。


火を消し、目の前の大きく生い茂る草中へと入って行く。木の枝や木の葉が体に当たって痛い。それに耐えながら進むと突然、地面の感触が変わった。下は見えないが土よりも固いことだけはわかった。

間もなく先に光が見えた。出口だと察知したヒロトは走った。茂みを走り抜けると、その先には。












「……遺跡、なのか…?」


目の前には真っ白な建物が厳かにそびえ建っていた。遥か昔からあったのか、今ではもうボロボロになっている。遺跡への道は碁盤の目の様に正方形のブロックが規則正しく詰められている。が、今は所々抜け落ちている。道を挟む柱も崩れて半分から上が地面に転がっている。周囲を確認したがこの遺跡以外は特に無かった。目的地まで来たが庵次もいない。覚悟を決めて中へ進む。






遺跡の中は地下へと続く階段と中央に石像が祀られているだけだ。羽衣を纏った美しい女性の像だ。過去に崇拝されていた者だろうか?中は白一色で外とは違いひび1つ無い。石像には埃もかかっていない。一通り確認したら地下へと続くであろう階段に歩を進めた。








石階段を踏み鳴らし進むと空洞音が聞こえてきた。おそらくこの先には洞窟がある。地下への道は大理石の様な物で出来ており人1人通るだけで精一杯っだ。降りて行くに連れ周りの壁が岩へと変わって行く。かなり進んだところで青い光が足元を照らす。急ぐ必要もなしに、すぐに奥へと辿り着いた。予想通り洞窟だ。それもかなり広い。千里邸大広間程はあるだろう。入り口から真っ直ぐ先の奥には青く光る湖があった。足音を響かせながら歩み寄る。湖を覗き込むと湖底いっぱいに青い石が埋め尽くされている。青い光を放っているのはおそらくこれだろう。

石が気になりつつ、水に触れようと手を伸ばした。


「客人なんて、珍しいですね」


すると、それを遮る様に後ろから声が聞こえた。優しく、それでいて撫でるような声だ。驚いてとっさに振り返る。その声の正体は…。








読んで頂きありがとうございます。今回も活動報告書きました。今回はゲームについてです。長いのでもし、暇だったらで良いと思います。

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