第55話「虹色家淵」
パソコンで見てる人はわかると思いますが話によってナンバリングが半角だったり全角だったりするのは携帯だったりパソコンでだったりするからです。
岩陰から現れた2つの影、それは悪魔だった。感じ取れる力量からランクは『デヴィル』。
「お前達、何をしに来た」
「偵察をしに来たのさ」
「我らはルキフゲ様直属の部下『バエル』!」
「『マルバス』!ルキフゲ様の命令で来た」
息の合った返答。敵だとわかり剣を抜いた。2人も剣を、銃を取り出す。家淵は変わらずあぐらをかいている。
「我らは殺されても何も問題は無い!」
「むしろ、殺される覚悟で来た!」
襲いかかる2人の悪魔。しかし、今の士助にとってはデヴィル2人など相手にならなかった。攻撃を冷静に見極め、華麗な剣捌きで切り裂く。
「ぐっ…」
「はっ…」
地面に落ちて倒れる。2人は傷口を押さえ血を吐く。
「悪いけど急いでるんでな。後処理は兄ちゃんに任せるよ」
剣をしまい、家淵に言い残して去ろうとした。その時!2人の悪魔の背中が魔法陣の紋様に光る。ゆらりと立ち上がり、生気を取り戻した。
「この為だ…この為に死んだ!」
「出でよ!双頭犬『デヴィルハウンド』!」
サタナスの変身や士助の暴走を彷彿とさせる黒煙が渦巻き2人を包む。闇を食い破り、漆黒の双頭が現れた!大きさは士助の数十倍。巨大なモンスターを前に流石の士助も怯む。
「「これぞ、悪魔にのみ許された召喚術『魔召喚』。さあ…ラウンド2だ!」」
巨大な牙と爪を武器に再び襲いかかる。呆気をとられ遅れたが構える。爪と剣がぶつかる寸前!紅い岩石の手がデヴィルハウンドの首を掴んでいた。燃え上がる手の正体は『マグマゴーレム』。デヴィルハウンドを超える巨体だ。
「がぁぁあぁぁああぁ!」
「や、焼けるぅうぁああぁぁあ!」
暴れもがくハウンドに向かって家淵が動く。
「ソイツはこの火山のボス。異常な程腹を空かして食料を探しているみたいだな」
掴む手に力が入る。喜ぶマグマゴーレムの隣で士助は唖然としていた。
「グ、グルルルル…し、しかし我らは所詮捨て駒…」
「こ、このまま殺せ…」
この言葉の真意を語らずに2人は死を覚悟した。マグマゴーレムの手にも力が込められる。しかし、家淵はこの言葉を信じはしなかった。
「……喰え」
家淵の指示に従いゴーレムは口をバキバキと開く。ゴーレムの眼には笑う双頭が見えていた。しかし次の瞬間、一気に豹変した。ゴーレムは火口に近付き、飛び降りた。
「な、何をするつもりだ!」
「やめろ!」
その乞いも虚しくマグマの中に消えた。
「マグマゴーレムの一般的な習性として捕食時にマグマの中へ飛び込む。しかし、腹を空かしても食べることは出来ない。何故ならマグマで溶けるのだからな。とは言っても理解力の無い奴らには何故食べれないかがわからないがな…」
変わらず唖然としている士助に歩み寄り肩を叩かれ我を取り戻した。
「大丈夫か?士助」
「あ、あぁ…ちょっとぼーっとしてたけど」
まだ気が定まらないところに家淵から真紅の宝石を渡された。
「これは?」
「紅光石と言って稀にマグマゴーレムの絶命時に生まれる石だ。使い方はお前が決めろ」
「そんなこと言われたって…」
「急いでいるんだろう?もう行け」
家淵の言う通りだ。使い方は旅の道中考えることにして、家淵に別れを告げて下山することにした。
士助が言った後家淵は呟いた。
「この世界の危機…神は手を差し伸べたりはしない。自らの手で救うと考える士助の様な者はいつの時代もいるのだな…」
結局、帰りもマグマゴーレムの縄張りを踏み荒らしながら下山し、本来の目的地『北の国』に向かった。
マグマゴーレムというワードがゲシュタルト崩壊し、かっこが多過ぎたかな。だめだな。




