第54話「延炎灼熱道中」
セミが怖くて家から出れない(混乱)
例え、朝でも夜でも何故か太陽が真上に見えるここは『ハイドラ砂漠』。地面に広がる砂は見た目は普通の砂だが熱を冷気に変化する特殊な砂。発生する冷気は霧状になっており進めば進むほど濃霧に包まれ方向間隔を失い、数々の冒険者の命を奪ってきた。砂漠の中心部では人骨が発見される。しかし、士助は迷う事なく前に進む。歩幅を計算し、何m進んだら何度右に左に方向を変えるという処理を脳内で自然に行う。これは全て庵次に叩き込まれたものだ。
砂漠を歩くこと2時間、霧も晴れて森が見えてきた。『ハイドラ森林』開発途中で魔物が生息している。しかし、注目すべきは砂漠と森林の境界線。不思議なことに一線を境にして正確に森林と砂漠が区切られている。まるでそれぞれを切って繋げた様に。この先は北の国になっている。
その道中で気づいたことがあった。
「そういえば、しばらく1番上の兄ちゃんに会ってないな…」
実はこの周辺は非常に熱い。それはこの森林の西に位置する『グレイトヴォルケイノ』とたいう大きな活火山があるからだ。透明な火山灰を出す珍しい場所だが、人が一切寄り付かない。何故かと言うと火山には『マグマゴーレム』という魔物が生息しているからだ。マグマゴーレムは溶岩に空気中の微生物が集合してできた人型の魔物。縄張り意識が非常に強く、油断して入って来た冒険者が襲われて命を失うケースが多々あり危険区域指定がされている。その頂上、火口付近で虹色家長男『虹色 家淵』が1人でいる。あまり会ってないので少し寄ってみることにいた。
グレイトヴォルケイノに着いた。空が透明な火山灰に覆われ歪んで見える。火山に足を踏み入れる。麓にはマグマゴーレムはおらず、頂上付近に多く生息する。
ゆっくり歩いて行き中間を越えそうになったところで深呼吸した後、全力で走り始める。一直線に頂上を目指し、頂上に近づいた辺りで縄張りを踏み荒らしいつの間にかマグマゴーレムの行列ができていた。頂上が見えてきてスパートをかける。
頂上に着いた。巨大な火口の近くに1人、筋肉質の大男があぐらをかき腕を組んでいる。気付けばマグマゴーレムも追っていていない。彼こそが虹色家淵だ。歩み寄って行き、隣で立ち止まり声をかける。
「久しぶりだな。家淵兄ちゃん」
………………
5秒遅れて返事が返ってきた。
「士助…か」
そして、会話が途絶える。どうしようもないのでとりあえず座って話をする。
「兄ちゃん。今さ、悪魔達の動きが激しくなってきてるんだ。何でも、この世界を壊すとかなんだって。だからさ、兄ちゃんも力貸してくれない?」
実は家淵、長い話が苦手で今の士助の様に簡潔に言わないと聞いてくれない。再び発言後から5秒後に返事が返ってくる。
「それは無理だ」
「何で?」
再び5秒後。と、埒が空かないので要約する。家淵の役目は本人曰く火山に居続ける事、らしい。なので動いてはいけない。例え、世界が大きな危機に直面していても。
「…そっか。よくわかんねーけどわかった」
じゃあ、行くよ。と、言って下山しようと向かった。その瞬間、黒い気配を感じた。
「誰だ!」
付近の岩陰。そこから現れたのは…。
エクシリア2のボス強いなー




