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我龍転生  作者: キーダの滝
真の戦い
56/82

第53話「出発」

なんとか2話投稿。リアルタイムで見てる人にしか伝わりませんが。






「お前には世界を全てを見てもらう」

「……へ?」


突然すぎて、内容が大きすぎて、言葉を失った。


「理由は、言わない。指示するのはルートのみだ。各自、これから時間を好きに使え。士助は準備に徹しろ。以上」


すぐに庵次は出て行った。皆も続いて出て行った。残った士助も家を出てドアの前で止まる。


「……訳わからん」


そこへ隣の家からミカともう1人、男性が出てきた。


「あ、ミカ。と、ケーロンさん」

「おや、士助くん?随分久しぶりだね」


ミカの隣にいる銀髪のメガネをかけた男性は『ケーロン・ディアルナ』。ミカの父親にして玄龍族の子供達に世界を教える、いわば教師の役割を担っている。昔、士助もミカもケーロンから地理や生活について教えられている。非常に若々しい姿で20歳くらいに見える。(実年齢は人間基準で42歳)


「相変わらず若いなー」

「ハハハ、ありがとう。士助くんも変わらないね」


などと他愛ない話を交わしているとミカが士助に尋ねて来た。


「士助くんはこれからどうするの?」

「あー、実はさ」


先程庵次に言われたことを簡潔に伝えた。


「と、いうワケ。世界を周るなんてなぁ…」

「そっかぁ、大変だけど頑張ってね」

「うん」


2人のそんな姿を見て微笑むケーロン。すると何かを思い出したようで


「そうだ。だったらこれを頼まれてくれないかな?」


懐から白の封筒を取り出し渡した。


「何コレ?」

「実はその手紙を宛先に送ろうとしていたんだけど最近は南の国の事件もあってか警備が厳しくて中々動けないんだよ。玄龍族と知られるのも面倒だしね」

「俺も玄龍族なんだけど」

「士助くんは僕より強いだろ?だから大丈夫」


ハハハと笑って誤魔化されたが結局、頼まれることになった。宛先は東の国在住の『ガブリエル』という医師らしい。


「わかった。任せろ」

「じゃあ、お願いするね」


言い終わると2人は里の1番高い所にある族長の元へ向かって行った。もらった手紙を見ていると向こうから人が歩いて来た。視線をわずかにやると長い黒髪が映る。顔を上げると


「士助」

「ね、姉ちゃん…」


目の前には虹色道空が立っていた。相変わらずクールな態度で士助を少し見下ろし話す。


「久しぶりに里へ戻ってきたんだな」

「庵次の誘いでな。戦いに参加することになった」

「マジか。そりゃ安心だな」


虹色家最強と名高い道空。信頼も厚く実力も示している。士助もそれをよく理解しているため少し希望が出てきた。


「最近会ってなかったが衰えてないだろうな」

「え。いや、まあ、大丈夫です。ハイ」

「怪しいがまあいいだろう。ところで士助、お前時間が空いているな?」

「空いてません」

「空いてるんだな、さあ来い」


腕を掴まれ家の中へ連れ込まれた。ここから何が起こるのか説明。何を隠そう虹色家長女『虹色道空』は血族の中で唯一且つ異常な甘党なのだ。週に3回の頻度で糖分を摂らないとポイズンフォレストの毒の酸濃度が上昇し命知らずの死が早くなる。もはや糖分依存症と言っても過言ではない。ここで何故、士助が関わるのかというと実は士助、虹色家の中でも誰よりも実家にいる時間が多い。そのため、掃除も得意で料理も得意。料理に関しては向上心を持ち色々な物を練習している。それを知った道空は時折、実家に帰っては士助に頼み1ホールケーキを丸ごと作らせて食べるのだ。士助は不憫。



──────────────────────────────────



道空が満足し、解放された。今頃、家で寝ているだろう。本当に女か。することもなくぼーっと突っ立っているとミカが走って来た。


「ねえ士助君。ちょっと時間あるかな?お話したいんだけど…」


庵次に呼ばれるまで暇なので付き合うことに。ミカについて行き玄龍族の里の裏にある森。『龍の前森』へと入って行った。ここは珍しい植物が生えており、凶暴な魔物を撃退する物まである。そのため魔物はほとんどいない。この森を越えると岩場になっておりさらに奥には遺跡がある。入り口から少し入ったところは開けており、ここはミカが度々花を摘んだり、薬草を採りにきたりしている。ミカは中央に座り士助に背中を向ける。士助もミカに背中を合わせて座る。何故この様な話し方なのかと言うとミカは真剣な話をする時、相手が前に居るとうまく話せなくなるので背中合わせで会話する。昔からの付き合いなので士助もなれっこだ。


「改めて聞くけど…士助君は旅に出るんだよね」

「うん。それも世界中」

「そっか…」

「ミカも一緒に来るか?」

「ううん。私は…待ってるから。士助君の家も掃除とかしておくから」

「そか。ありがとな」

「あ、あとね…」


2人は飽きることなく、顔を見ることも無く話し続けた。昔の事、地球のこと、旅の事。日が落ちているのに気づくまで夢中で話した。そろそろ帰ろうか、と言って立ち上がると庵次がやってきた。


「ここにいたのか。もう夕方だぞ」

「あーごめん。全然わかんなかった」

「ハァ、まあいい。出発は明日の早朝だ。準備しとけよ」

「わかった。ミカ帰ろう」

「うん」


ミカの手を引いて里へと帰って行った。



──────────────────────────────────



月が沈んでいく頃、寝つけず起きた士助はジャージの上着を片手にドアを開けた。家の前には先客がいて月光で金色の髪を輝かせていた。


「起きてたんだな。ミカ」

「士助君。何だか眠れなくて」

「俺も同じだ」


ミカの隣に腰を下ろし、月を眺める。きれいに形作られた白玉に目を奪われ口を開けたままぼんやりとしているミカ。隣で同じように月を見る。


「士助君。悪魔達は、世界を滅ぼそうとしているんだよね?」

「そうみたいだな。何でかは知らないけど」

「世界を消すことが悪魔の『正義』なのかなぁ…」

「………」

「正しいと思ったからやってるのかな。それとも悪魔にとっては遊びなのかなぁ…」

「………」

「士助君はどう思うな?」


後ろに倒れて夜空を見上げる。星空がどこまでも広がりただ暗い。


「今、無理に知ろうとしなくてもいいさ。それに、いずれわかるさ、きっと」

「…もし、知ったとして、それが別の方法で解決できたら、理解しあえるのかな?」

「俺は…悪魔じゃないからわかんないよ」

「…そうだよね」


沈黙が続いた。白い光が2人が照らしながら赤い光が背中を照らす。光と闇の境界線を見上げる。


「朝になったな。長くいた気がしなかったのに」


そこに再び庵次がやって来て手に持っていた肩から下げたかばんを士助に放り投げた。


「金『10万ネスト(日本円にして100万円)』食糧、水、救急セット、偽通行証、ナイフ、その他諸々が入っている。持って行け」

「ありがとう」


上からジャージを着て肩からバッグを下げる。上下ジャージに中にTシャツ、サンダルの姿は明らかに一般人だがまあ気にしない。


「ついでにコイツも」


いつもの外出用ローブを手渡され上から羽織る。黒衣に包まれてなんとか、らしく見える。


「士助君、お守りはまだ持ってるかな…?」

「もちろん!ミカからもらったものだからな」


服の中から紐を伝って引っ張り出す。小さな巾着の中に鉱石が入っているらしい。すると、それを見た庵次がはっとしたように袋を手に取って見た。


「わっ!なに!?」

「……いや」


しばらくじっと見ると、残念そうな顔をして手放す。


「何もない」

「…?」


いつもと違う様子でいたが深追いはしなかった。里の入り口まで行って2人に見送ってもらう。


「いってらっしゃい」

「死ぬなよ」


庵次の言葉に顔をひきつらせるが笑いかけて「行ってきます」と返した。門をくぐりぬけようとする、と


「士助ーーーーーーー!」


呼ぶ声に振り返ると飛んできた何かに吹っ飛ばされる。


「ぐはぁ!」


体が『く』の字に曲がりしりもちをつく。


「嫌や~!行かんといて~!」


飛んできたのは花。泣きながら走ってきたせいで顔が涙で濡れていた。後に続いてヒロトとサタナスが歩いてきた。


「行かんといてや…一緒におってや…」


泣き止むことなく涙を流している。花の顔をハンカチでぬぐいながら立ち上がらせる。


「すぐ帰ってくるさ。安心しろ」

「でもぉ…」

「心配すんなって。また会えるんだから」


ふと、頭の中に加奈の言葉がよぎる。花も泣き止み目をこする。頭をなでて2人に目をやる。ヒロトは小さく笑ってサタナスは不愛想に手を小さく振っている。士助も笑い返し、手を振った。


「またな」


門をくぐり里を出る。里の先にはまず砂漠がある。それを越えて、最初の目的地『北の国』へと向かった。








テイルズオブエクシリアも面白い

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