第50話「女王の遊び-下編」
今回長すぎです。飽きる飽きる。
Twitter:kidanotaki_7もしくはキーダの滝で
色々あった昨日も過ぎ去り練習試合当日。結局加奈の言う三人は試合開始までお預けらしい。皆それぞれ用意し一星千里高校へと向かった。
士助達が到着する頃には既に相手チームも到着していた。ここで部長から相手高校の情報を聞く。
相手は聖野高校。プレイヤーはそれぞれ球団のスカウトを受けている優秀な猛者ばかり。今回の試合を受けたのも二軍でテストプレイとして引き受けてくれた。因みに二軍でもスカウトが来ている。一星千里の部員は大丈夫か…とざわつき心配になる。しかし当の本人達は微塵も不安に思っていることは無くむしろさっさと終わらせようとしている。一応ユニフォームに着替えて士助達はベンチで待っていた。すると間も無く加奈と花がやって来た。加奈の方はあまり目立たないので何もしていないようだが髪は後ろでポニーテールにしてまとめている。花はサラシでごまかしているようだ。
「なぁ、加奈。」
「何。」
「あと三人足りないんだけど。」
部員も含め皆疑問に思っていた。結局集めるとか言って来てないしと。そこで士助が尋ねると
「今呼ぶわ。待ってなさい。」
パチン、と指を鳴らすと校舎側から三人の男がやって来た。遠目で見ると身長は同じくらいでかなり良い体格をしている。しかし少しずつ近づいてくるに連れ
「…え。」
徐々に見えてくる全身像に驚きを隠せなかった。熱気漂うグラウンドを歩いて目の前にやって来たのは
「鈴木デス。」
「鈴木デス。」
「ジョ…鈴木デス。」
金髪、身長190cm程、明らかに外国人の見た目をした鈴木三人衆だった。
「チームメイトよ。」
「理解できません。」
即答。おかしい点があるので突っ込んで行くことに。
「この高校の生徒じゃないよね。」
「紛れも無く鈴木三人衆よ。」
「YES。」
「YES。」
「ジョ…YES。」
「外人だよね。」
「紛れも無く日本人よ。」
「YES。」
「YES。」
「ジョ…YES。」
「三人目ジョンだよね。」
「紛れも無く鈴木よ。」
「YES。」
「YES。」
「ジョニーデス。」
「外国人じゃねぇか!」
とうとう士助の怒りのボディーブローがジョニーに襲いかかった!腹を抑えてNOOOOOO!!と叫ぶジョニー改め鈴木。鈴木1と鈴木2が慌ててジョニーに駆け寄る。
「外国人じゃん!どう見てもメジャーリーガーじゃん!」
「黙っときゃバレないわよ。」
「自白した!」
鈴木三人衆を横目に士助は加奈に抗議する。と、そこへ鈴木1がやって来た。
「待って下さい士助サン。これには色々と訳が…。」
何でそんな日本語達者なの?と問い詰めたかったが一応訳を聞くことに
「実は私達…メジャーリーガーなんです。」
「知ってた。」
「なんやかんやあってこうなりました。」
「いや、具体的に話せぇ!」
鈴木1にボディーブローが炸裂。
「待ってや士助サン!」
「今度は関西弁かよ!」
「実は俺たち…メジャーリーガーやねん。」
「知ってた。」
「それで最近親がギャンブルで…。」
突如うっうっと嗚咽をもらしながら顔を押さえ泣き始めた。
「破産したのか。」
「いや、大儲けして知らん親戚とか名乗る奴がようさん来たんやけどどないしたらええの?」
「いや、知らねぇ!」
最後は顔面にストレート。綺麗に入り心なしか頭蓋骨が粉砕した音がした。腹を押さえる二人に顔を押さえ悶える一人が出てしまった因みにまだ試合前である。
「もういいでしょ。試合始めるわよ。」
「えぇ…。」
両チームともアップも終わり向かい合い並ぶ。敵チームキャプテンの前には何故か加奈がいるが気にしない。よろしくお願いします!と礼を済ませ士助陣の守備から始まる。聖野の一番がバッターボックスに入る。
-フッ…よくわからん奴が多いが所詮無名高校。キャラが濃くても強いわけじゃあない。こんな試合一軍が出るまでもないな…。二軍とはいえスカウトが来てんだ。ここは確実をより確実にするために一球目でホームラン決めてやるよ。
マウンドに立っているのは最強のお嬢様加奈。構え…
-さあ、来い!
ズバーン!とミットに収まる音が響く。
-……え?
野球の名門でも見えない程速い豪速球。それもデッドボールで本当にデッドする球。この後圧倒的な制圧力で三振を三回。攻守交代となった。
一番バッターは加奈。先程の豪速球のせいか警戒され敬遠の案も出ている。
-ま、まぁ強いのはピッチャーだけだろ。どうせピッチャー1人野球やりたくて他の奴は立ってるだけでもいいよみたいな…。
チラ、とベンチを覗く。監督のサインは敬遠をしろ、と出ている。
-当たり前か。まあ打たれて一点入れられるよりかはマシだな。
キャッチャーも立ち上がりミット上げる。それに合わせボールを投げるが。
カキーン!と鉄バットの鳴り響く音。そのまま見えなくなった。ホームランということで加奈がゆっくり歩き出した。
「いやまてまてまてまてまて!」
「何。」
「今のボールだろうが!何打ってんの?審判の判定見ろ。」
「目イかれてんじゃないの。よく見な。」
審判方向を見ると何の判定も出してない。多分買収されたでしょう。この結果に聖野全員が立ち上がりグラウンドに入って来た。どういうことだよ!判定おかしいだろ!お前ら何か仕組んでるだろ!と怒号が飛んで来た、なので。加奈は敵キャプテンの胸ぐらを掴み耳元で何か囁く。……………。
「いや、今のは…ギリギリありじゃないかな…。」
脅迫完了。チームメイトの信頼根こそぎ刈られたが試合続行。結果一点を取られた。
-…まあ、一点くらいはくれてやるよ。次の攻撃で二点取り返せばいいんだから。あれ?無理じゃね?
二番は士助。無理です。
投げた!打たれた!ホームラン!
2対0
三番サタナス。
投げた!打たれた!ホームラン!
3対0
四番鈴木1。
投げた!打たれた!ホームラン!
4対0
といった具合で進み結果的には…
一星千里24対0聖野
※一回の裏で勝ちました
と、なり二軍のプライドズタズタに、ピッチャーの心は折れ、唯一アウトを取られ一星のキャプテンの威厳がバニシングとなった。
ありがとうございました…。
最低な結果となり二軍のスカウトは消えた(だろう)。一星千里代理野球部の勝利で終わった。
-帰路にて
ちょうど真上の太陽に照らされながら皆で帰った。鈴木1、2、3は知らぬうちにメジャーへと戻っていた。
「なぁ、加奈。」
「何。」
「今日楽しかったか?」
「さあね。」
素っ気ない返事で納得してしまいそうこうしている内に千里邸に着いた。部屋に戻りたいして無い疲れを癒すためいつも通りベッドの上に寝そべる。
「なぁ士助。」
「何だ。」
花が隣で横になり尋ねてくる。いつもの遊んでくれかと思ったが表情は深刻そうだ。
「明日向こうの世界に行くんやんな?」
「そーみたいだな。」
「1人で戦うんか?」
「もしかしたら兄ちゃんとかが手伝ってくれるかもな。あとサタナスは嫌でも参加するだろ。」
「そっか…。」
寂しい声で返す花に疑問を感じた。そのふとした疑問を問いかけてみた。
「お前は戦わねーのか?」
「…………。」
「ヴァンパイアの一族皆あのベリルって奴に殺されたんだろ。敵討ちとかガラじゃねーのか。」
「うち、士助が思ってるより強くなんかないんやで。だから…。」
話すに連れどんどん声に元気がなくなっていくのがわかる。それだけでベリルと花の間に大きな実力差があるのが見えた。
「じゃあ…庵次兄ちゃんに言って修行でもしてもらうか?」
「…………。」
「ま、いきなり言われても訳わかんねーよな。明日まで時間あるんだ今決めろってことじゃないさ。だけど、決断する時は必ず来る。必ずな。」
余計不安になった顔の花をよしよしと撫でる。すると間も無く眠りについた。寝ている時の表情は安堵に包まれているが心の中ではかなり悩んでいる。何の縁かは知らないが仲間なのだから救ってやらねば。何だか子供を持った気分だ。
今日庵次がやって来て向こうの世界に行く。この世界ともお別れか。いつかは来ることだったがわざと目を背けていた。でも覚悟しなければ。
戦いの時に向けて…!
ジアビスとエクシリアを密林にて購入したので楽しみです。




