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我龍転生  作者: キーダの滝
生き残った狂魔
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第48話「女王の遊び-上編」

またまたギリギリ近くに投稿。忘れてるわけではありません。






あらすじ

加奈が面白そうだったから代理で野球部員をすることになった。



-面白そうだったからやる。


そんな加奈の言葉から時間が経って放課後。今日は金曜日なので強豪校との試合は日曜日。今、野球部グラウンドに来て士助が話を聞いてる。それを遠目にいつものメンバーと藍もいる。


「…まあ、そういうわけでピッチャーをやってもらいたいんだけど一応審査させてもらうよ。」

「審査?」

「うん。急いで募集してるけどそれなりの実力は求めてるんだ。投げたボールがグローブに収まらなかったらそれこそ問題だしね。少しわがままなんだけど理解してほしい。」


わかった、と頷きテストが始まる。ルールは簡単。ボールを投げてコントロール、スピードを審査する。マウンドに立ちボールを少し触って構える。ヒロトの方を見ると「抑えろ」とスケッチブックに書かれている。そっちにも頷いた後


「そらっ!」


投げたボールはミットに収まる。測定器を確認すると160kmと出た。本人は抑えすぎた気もするがまあ良しとしよう。


「速いね!十分すぎるくらいだよ。じゃあ当日の投手を…」

「遅いわ。」


許可が出かけたところで加奈が割り込む。どうやらさっきの結果に納得がいかないようで表情も無表情なのに機嫌が悪そうだ。士助の方へと歩み寄って目の前で立ち止まる。


「何手加減してんのよ。本気で投げなさい、本気で。」

「いやでも、それをしたら大変なことに…。」

「じゃあ勝負をしましょう。」


は?と、突然の提案に驚いて目が丸くなる。


「アンタとアタシ。それぞれ一球ずつ投げて速い方が勝ち。負けた方はピッチャーの権利を獲得する。ついでに帰りにおんぶしていって。」

「二つ目は個人的な意見だよね。」


冷静に突っ込み返したところで考える。加奈の思惑はなんなのか。てか女だから出場できないよね、と。


「そーじゃん。お前出れないから勝負意味ない…。」

「うるさい!」


ドスッ!と重い音が鳴って腹パンされてその場に塞ぎ込む。


「うぐぅぅぅぅ…」

「さぁ勝負よ。」



士助の回復後、勝負が開始された。一星千里の皆さんはそこまで期待してなかったのでベンチで観戦中。ヒロト達も適当に腰掛けて観戦。加奈と士助はマウンドで話している。


「いい?何でもいいから速い球を投げた方が勝ち。シンプルでいいでしょ。」

「はいはい…てかお前なんで勝負挑んできたの?単純な疑問が。」

「まずアンタから投げなさい。」


士助の疑問はなかったことにされ再び投げることに。さっきよりも力を出すのでキャッチャーがおらず壁に向かって投げる。壁にはストライクゾーンが描かれている。あの中に入れて速ければ勝ち。士助が構えて投げる。


「そらっ!」


見事ストライクゾーンに収まり心なしか壁にヒビが入る。測定器が200という数字を指しベンチから歓声が上がると同時に密かに虹色士助非人間説が広まった。


「どうだ!流石にお前にこれ以上は無理だろ。」


士助を無視してボールを拾ってマウンドに立つ。加奈の目は非常に冷たく鋭かった。ベンチもヒロト達も一瞬ぞっとした後構え、投げた。


ヒュン!と風を切る音がして一秒も立たない間に壁をボールが貫通していた。ギャラリーは空いた口が塞がらなかった。


「………………え?」


ベンチでは「監督。測定器が壊れました。」と話し、ヒロトはヒロトでまあ当たり前だよねなんて顔をしている。


「はい、アンタの負けね。」

「いやいやいやいやいや。待ってよ。てか、アンタホントに人間?」

「そんなんどうでもいいから。アタシがピッチャーね。」

「いや、あの…。」

「うるさい。」



そんな訳で

野球部も不本意ながらも代理ピッチャーが加奈に決まってしまった。どうなるんだ…と部員も頭を抱えているがそんなことお構い無しに話を進める。


「というわけでこの千里加奈が代理ピッチャーよ。兼野球部の支配者よ。」

「いやそれは聞いてない!」


野球部総動員で突っ込む。ピッチャーになるだけでも突っ込みたいのに支配までされるとたまったものではない。しかし、帝王『加奈』。一度支配すると決めたからにはこの意思は絶対に曲げない。「いや、曲げて下さい。」と、どこからか突っ込みが飛んできたが気にしない。ということで曲げないので部長を呼び出し校舎裏まで連れて行った。



──────十分後


校舎裏から帰ってきた二人。加奈は何事も無い顔だったが部長は肩を抱きながらカタカタ震えて帰ってきた。士助連中は皆同時に


(あぁ…脅されたんだな…)


と理解した。その後部長の口から加奈の指示に従うことが決定した。部員は文句を言いたかったが怯える部長の姿を見ると行動に移せなかった。


「というわけよ。で、メンバーを発表するわ。」

「はえーよ!」


士助のシャウトも消えて名簿も何も持たずにうーんと悩んで(約2秒)決めた。


「じゃあ発表。まずアタシと士助。」

「おう。」

「それでサタナス花ヒロト部長を添えてあと、ベンチは好きにして。残りの三人は決まってるから。じゃ。」

「いやまてまてまてまて!」


自然な流れで帰ろうとした加奈を引き止める。当の本人は何か問題あった?と不思議そうな顔をしている。


「何よ。問題点なんてないでしょ。」

「あるわ。多数あるわ。まずなんでヒロト達が巻き添え食らってんだよ。」


ギャラリーからそーだそーだと反対意見が飛んできた。しかし加奈の眼光の圧倒的な威圧感に気圧されて静まる。


「べつにいいでしょ。アンタとサタナスなんてホームラン決定なバッターじゃないの。」

「じゃあ花は?」

「おまけ。」

「ひでぇ!」


その後も何度も抗議したがことごとく粉砕され結局一つも意見を通せなかった。


「てか残りの三人どうすんだよ。決まってるって…。」

「まぁ黙って指くわえてスクワットしながら待ってなさい。ホントに決まってるから。」

「そうか。スクワットはしないけど待っとくわ。」


その日は練習すらせずにヒロト達と帰って行った。強く日の指す道路を皆で歩いた。その中で士助は寝ている加奈を背負いながら一人不安に思っていた。


(今回、死人はでないよね?でないはずだよね?野球だよね。)


話しながら歩く皆をよそに考え込んで帰った。

余談ですけどテイルズオブヴェスペリア面白いですね。

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