第4話「住処と仕事をください」
「ところで、タダで住ませるのなんてまっぴらごめんだからアンタが住む条件を元に働くのならば住ませて上げてもいいわよ」
いきなりだが千里家の使用人は敷地内で働いてノルマをこなすことを、交換条件として屋敷に住ませて貰っている者が大半なのだ。
「そうですね。他の使用人同様にお前もここで働き過ごせばいい」
「働く?それってどれくらい戦えばいいんだ?」
「どういう働きを見せるつもりだ。ていうか冗談で言ってないから怖いんだけど」
「まあ、主に屋敷の掃除、料理、他の手伝い、そんなとこね」
「なるほど~、おーし俺頑張るぜ」
「じゃあコレがあんたの仕事ね」
適当な紙に書いて士助に渡す。それを覗き込んだヒロトは思わず目を剥いた。加奈が出した仕事のメニューは普通の使用人の5倍のメニューであった。
「あんた本気?これ五倍のメニューですよ?それ初心者に押し付けるって…マジドSですね」
<3時間後>
士助は、五倍のメニューを
3時間でやり終わらせた。
(普通の使用人は一日で終わらせる)
「っていうかお前もお前だよ!出来ちゃうのかよ!平然とした顔で居るんじゃねぇ!」
士助は椅子に座ってすっかりくつろいでいた。
「だって思うより簡単だったぜ。楽勝楽勝」
「なら、いいけど…」
「まあコレくらい出来ないとクビにしてるわよ。じゃあ明日はこれね」
と言って加奈が出したのは先ほどの5倍メニュー。の10倍のメニューであった。いや、あんた悪魔?と思ったがヒロトは声には出さなかった。
「チャンスは3日ね」
「おう、わかった」
ああ…コレから先一体どうなるんだ?
というわけでその3日後
ではなく次の日
そう、士助は
こなした。5倍メニューの10倍メニューを。1日で。
(ありえねえ…)
ヒロトは勿論そう思っていた。なんなら3日なら2日ぐらいなら簡単にチョチョイっとやってしまうんじゃないかと。しかし、想像を遥かに凌駕し1日でこなした。士助って一体…ソレはヒロトだけで加奈は平然としていた。本人は今、厨房で朝ごはんの途中。そんなことを思っていると使用人のひとりがやってきた加奈に告げた。
「お嬢様!大変です!彼が…彼が…!」
「なによそんなに急いで」
「他の使用人の仕事を全て含めて済ませてしまいました!それも1週間分!」
そういえば…
加奈は仕事のメニューを考えていた時、最初は割り振られていない所に士助を当てはめていたが5×10倍メニューを考えていた時、めんどくさいと思って適当に作ってしまったのであった。内容はもう非常に無茶苦茶でそこらへんからとって無理やりつけたようなものだった。
「私達はどうすれば…?」
「今週は働かなくていいわよ。ちゃんと給料付与するから」
適当に追い払った後、士助を呼び出した。
「士助。ちょっと来なさい」
大きな鍋を持ちながら来た士助。それに対して加奈はこう言い放った。
「士助、あんた学校に行きなさい」
「学校?」
屋敷の中にいると他の使用人の仕事を取ってしまう。なので、士助は学校へ行くことになった。




