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我龍転生  作者: キーダの滝
生き残った狂魔
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第46話「真の戦い:序章」

そろそろ終わりに近づいてきました。終えるのは今年中かもしれませんね。








──────医療室

千里邸大広間直通第一通路最奥の医療室には日常的に使われる常備薬や消毒液から睡眠薬や奇妙な色をした物まである。目に映るだけで数十個という数違法な物がある品揃え。手術台まであったりする。ここが病院かと言わんばかりの充実した設備の内の1つのベッドにヒロトが安静にしていた。先程から動く様子も無くその両脇には士助とサタナスが座っており、マリアさんとミカが看病していた。


「…まさか死んでないよね。」

「おそらくな。」


………………。


今更になってやりすぎたと自覚する二人。そこへ


「士助!」


医療室のドアを勢い良く開けて入ってきたのは花。元の調子に戻ったようで顔色も元に戻っている。


「どうしたんだ?」

「なんか士助のお兄さんて人が来てる!」

「唐突だな…誰だよもう。」

「それで加奈にボロボロにされてる!」

「えぇ!?」


血相を変えて花と一緒に大広間へと向かう。通路を抜けた先、そこには

─────加奈、と虹色家三男、殿着がいた。ただし床にへばりついて頭をかかとで踏みつけられている。


「何やってんの!?」


驚愕する士助。当然である。


「お、おぉ…士助来たか。」


士助に気付き弱った声で士助を見上げながら話し始める。ただし一向に起き上がる気配はない。


「いや、今日は話しがあってな…。」

「しゃべりすぎうるさい黙れ。」


ぐぐぐ、と加奈のかかとに力が入る。


「痛い痛い痛い痛い痛いすいません!」

「ちょっとちょっと!落ち着け加奈!」


一旦殿着から引き離す。


「え?てかなんでこんな状況なの?」

「何故って。そんなの簡単コイツがやってきて士助を探していた所をアタシと出くわしてナンパしてきて付き合ってとか言い出したからカーペットの声を聴けたらいいよってなって地面に耳をつけてカーペットと同化してたから踏みつけて遊んでました。」

「的確にどうもありがとう。じゃねーよ、なんてことやらせてんだよ。兄ちゃんもなんの用だよ。」

「あぁ、実はな。」


地面に伏しながら話し始める。


「いや立てよ!」


当然のツッコミ。


「いや、でも…。」

「そうよ、邪魔なんだけど。何でそんなところにいるの?邪魔なんだけど。」

「え…。いや、それ君が…。」

「なんか文句あるの?」

「あ…はい、すみません…。」


加奈の眼光におびえ、立ち上がる。その後、加奈は舌打ちをして自分の部屋に戻った。


「「…………………………。」」


沈黙



─────で


「兄ちゃん何しに来たの?」

「あぁ、庵次の伝言役として来たんだよ。てか、庵次は年上に対して敬意というものがだな…。」

「どうでもいいけど伝言って?」


本題に入り、殿着の表情も真面目になり場の空気が緊迫する。


「お前がこっちに来た理由、覚えてる?」

「うん。」


当然のごとく覚えている。悪魔が人間の世界を狙い支配しようとしている。それを阻止するために来たのだ。


「なら、いいんだけど。それで庵次がつい最近『本当の狙いは人間のいる世界じゃない。俺たちのいる世界だ。』とか言ってさ。だから、士助も戻っておいでって。」

「どういうこと?」

「そのまんまの意味。以前までは定期的に悪魔をこっちの世界に送り込んでただろ?でもSBCリーダーであるサタナスが去ってから一匹も来ない。それに南の国の事件と来た。そんなわけで狙いはこちら側じゃないのでは?だってさ。」

「はぁ…。」


なんだか展開がいきなりすぎてまだ頭が追いついていない。今まで空気だった花に関してはもう考えないようにしている。


「ま、でもさ。対象がわかっても何するかわかんねーし、あとどれくらいかかるのかもわかんねーんだよ。あ、それでこっからが重要。あいつらが行動を始めるまでに戦力強化、と頼みたいことがあるんだとよ。」

「戦力強化に頼みごと?」

「こっちの世界で3日後にくるってさ。じゃ、もう帰るから。」

「え!?ちょっと!」

「じゃあね~。」


殿着は士助の返事も聞かずにどこかへ消えてしまった。


「何なんだよもう…。」


2人とも訳がわからなくなって突っ立っていた。と、そこへサタナスがやって来た。


「士助。綾風が目を覚ましたぞ。」

「本当か!よし、花。戻るぞ。」

「うん。」






────医療室。ベッドの上には普段と変わりない様子で目を覚ましたヒロトがいた。特に苦しそうな素振りも見せずに元気そうだ。


「ヒロト!大丈夫か?」

「あぁ、大丈夫だけど…ちょっと混乱してるよ。」

「そうか…。大事じゃなくて何よりだよ。」


ヒロトが落ち着いたところで何があったのかの経緯を話した。ネクロマンサーのことやヒロトが暴走したこと全てを話した。


「そうか、そんなことがあったのか…。」


奴らが最近動きを見せなかったと思ったらコレだ…。真の目的がなんだかわかんねえがそろそろ動き始めるはずだ。一体どういうつもりなんだ…。


「う~ん…。よくわかりませんけど、ヒロトさん明日は学校へ行くんですか?行かないなら連絡をしておきますけど。」

「あ、あぁ行きますから。大丈夫です。」


明日から学校だ。明日も平和な日が続くとは限らないんだ。本当に何もなくて平和だったからつい油断していた。これから周りの人間に危害が加わらないとは限らない。俺は…本当に…。




─────その日の夜。













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