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我龍転生  作者: キーダの滝
生き残った狂魔
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第36話「SBC最強VSSBC最弱」






殿生のいる発電所を後にして今度は科背の元へと士助は足を進めて行った。その道中の森の話。


「あ~やってらんね。もう帰りたい。科背兄ちゃんが練習相手を求めてる、なんて聞いたら余計行き辛いじゃん。知ってなくても行きづらいけど」


科背のいる場所は殿生のいる場所とは真逆の山。

そこは険しく誰も近づけない場所で「嵐龍山らんりゅうざん」と呼ばれており、はるか昔に嵐を纏う龍がいたといわれている。


「帰りたいが帰ろうとすれば庵次兄ちゃんに見つかり半殺し…いや五分の四殺しぐらいにされるからな…。それが嫌なら、行くしかないか…」


とその時、前方の草むらからガサガサと音が聞こえてきた。現れるとするならば動物か周辺に住んでいる種族か。どちらにせよ身を隠し、相手の様子を伺う為に、近くの木陰に身を潜めた。見たところ、シルエットは大柄で麻袋を肩にかけて草をかき分けて出てきた。


(あれは酒場で会った…)

「ん?そこに誰かいるのか!」

(こっちに気づいたか…まあ、敵ではなさそうだな)


安全を確認すると木陰から離れて相手の前に出た。


「お前は酒場で会った…」

「また会ったな。ビットさんよ」


名前はビット。南の国の出身で悪魔科学者。酒場で士助に情報を提供してくれた人物だ。


「そういえば名前を聞いてなかったな。教えてもらっていいか?」

「ああ、俺はに…」


と、言いかけたところで踏みとどまった。


(っと…そういえば指名手配されてんだったな。例え、相手が誰であろうと俺の名は言うもんじゃねー。しょうがないからヒロトの名前でも借りとくか)

「ヒ、ヒロト、だ。で、ビットは何やってんだ?」

「ああ、俺はだな…というか、それは俺が南の国出身だと知ってて言ってるのか?」

「どういう意味だ?」


ビットは驚いた様子で一拍置いて、南の国の現状を語った。


「南の国が………壊滅したらしい…」

「!?国一つ…ホントかよ…」


流石の士助も驚かずにはいられなかった。街で情報を集めていたときにはそんなことは微塵も聞かなかった。つまり、町を離れてここに来るまでの間という僅かな時間で国という大きな集団が壊滅させられたのだ。犯人はおそらく。


(ベルゼビュート…だろうな。あんまりゆっくりもしてらんねー。急いで南の国に向かうか)

「そんな出来事が…つーか、親御さんとかは無事なのか?」

「さあな。まだ連絡が来てないが…だが、俺の身内は南の国でも端の方に住んでいるからな。助かっていると思うが」

「そりゃあ…よかったな」

「ところでお前はどこへ行くんだ?」

「え?いや、まあ入用でな…」

「そうか…まあ、犯人はまだ見つかってないからな、気をつけろよ」

「ああ、そっちも。家族、生きてるといいな」

「ありがとうよ」


その後二人は別れて、それぞれの道へと戻った。士助はその後考えた。


「犯人はベルゼビュートと考えてよさそうだな。目撃情報と一致するから疑う必要も無し。ただ…アイツ一人で国一つまるごとぶっ壊すなんて、出来るのかよ…。この件については、自分の目で確かめる必要がありそうだな」









平地と化した南の国跡地。そこでは、二人の男が睨みあい場は緊迫した空気となっていた。サタナスとベルゼビュート。互いに視線で相手を威圧しながら攻撃の隙を伺いあう。


「どうした?かかってこないのか」

「クキキ…お前は…俺の能力を知らなかったよなぁ?」

「それがどうした」

「教えてやるよぉ…!俺の能力を知らなきゃ…お前に勝率なんて万が一にも億が一にもねぇんだよぉぉ!」


ベルゼビュートが地面を蹴りサタナスに向かって走る!鋭い爪を立ててサタナスを切り裂く。サタナスは二丁拳銃を引き抜き片方で攻撃を防ぎ、もう片方をベルゼビュートに向けて、引き金を引く!しかし、引き金を引く寸前にベルゼビュートは片方の手で銃口を塞ぎ切った。その結果、エネルギーが内側で爆発。両者は吹き飛ばされ、地面から土煙が舞い上がる。サタナスはダメージを少々負ったもののまだ余裕だ。


(ベルゼビュートはどこだ…)


辺りを見回したがベルゼビュートの気配は感じなかった。だが、サタナスの聴覚は地面の中の音を聞き取り、地中から迫る攻撃を感じ取った。


「下か!」


地面に向かって連続で三発撃ちこんだ。音が聞こえなくなると、地中の中にある頭を掴んで、引きずり出した。が、姿を現したのはベルゼビュートではなく甲冑を身に纏った南の国の兵士だった!


(ベルゼビュートじゃない!?どういうことだ…)


驚いているサタナスを見計らってか、一つの筒が回転しながら飛来。反射的に蹴り壊すものの、それはただの筒ではなく壊した瞬間にその筒から大量の煙が出る、スモークグレネードの類だった。土煙と相まって、サタナスの視界は制限されてしまったが、後ろからの二本槍を正確に銃弾二発で両方破壊。今度は左右から挟むように合計六つの剣が飛んできた。それすらも、一発ずつで全て打ち落とした。SBCのリーダーに選ばれたのは伊達ではなかった。

煙の中から走り抜けても、ベルゼビュートの攻撃は止まるところを知らず兵士が取りつかれたようにサタナスを襲う!


(またか…一体どうなっているんだ…!)


鈍い動きは捉えやすく、的確に腹を蹴り飛ばした。遠方で転がりながら文字通り、魂を抜かれたように動きを停止した。


「クキキキキキ…!前座は楽しんでいただけたかなぁ…?お楽しみいただけたら…」


背後の煙が晴れると、サタナスの全身を歪な影が覆った。振り返ると、太陽を背に両手を獅子の頭へと変えたベルゼビュートが羽ばたいていた!

獅子の口には紫色の粒子が集まり、放つ用意を整えていた。


「貴様…!」

「今度は俺のショータイムだぁ!この国と共に塵となれ!サタナス!」


時は満ちた。凝縮されたエネルギーはサタナスに向かって一直線に放たれた!高圧のレーザーに触れた空気が音を立てて爆発していく。


「‘ロアー・オブ・キング’!!」


光の速さで突き進むレーザーを前に瞬きをする暇すら与えられず、サタナスは光に包まれ、次の瞬間にはドーム状の爆発の中に閉じ込められた。


「クキキキ…ハァーハッハッハ!これで奴も生きていまい!ハァハハハハ!」


ベルゼビュートは地面に降りて高々と笑った。何度も繰り返し、何度も何度も何度も。


「ク…クキキ、今度は虹色士助だ…絶対に殺す…!」


ゆっくりと足を進め、今度は西の国へと向かおうとする。しかし、次の瞬間!


「あまり…油断しないことだ!」


突如、真上からサタナスが現れ銃の柄で頭を殴りつけ顔を上げたところで頬を力強く殴り飛ばした。メキメキと骨の折れる音が脳内で響き、10m以上吹っ飛び、地面を転がった。


「死ぬかと思ったが…案外そんなこと無かったよ、クズ」


顔を押さえながらゆらりとベルゼビュートは立ち上がった。その表情は怒りと憎悪の混じりあい、体の底から湧きあがる殺意に包まれていた。


「まだ生きていたか…。まあ、いい…。どうせ俺の勝利は確実だ…そして…お前は負けるんだよぉぉぉぉ!サタナスぅぅぅぅぅ!!!!」

「勝利は確実、か。その言葉、しっかりと覚えておけよ」


二人は再び対峙し、第二ラウンドが幕を開ける!



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