第21話「VSルシフェル1」
キーダのアレです。
今回はバトルパート、という程ではありませんがバトルです。
殿着を見送って士助は自分の部屋へ戻り、早速刀を磨いている。ヒロト達は部屋のドア前で中の様子をこっそり伺っている。
「何なんだ、アイツの兄弟は…」
「変態しかいないのよ絶対」
且つ、士助の兄弟が風評被害を受けていた。
今日は土曜日、士助もヒロトも休み。とてもゆっくり出来る日なので士助も嬉しそうだ。
「この『宝刀 龍牙』良い太刀筋だな…」
「加奈お嬢様、何かお食べになりましたか?」
「うるさい」
士助が刀の手入れをして、ヒロトが加奈に仕えて、加奈が罵倒する。
こんな平和で安心した日常的な日々。これがずっとずっと続けばいい。そんな誰もが思う理想は非常に脆く、少し力を加えるだけで壊れるのだ。士助に平穏など存在しなかった…。
士助の部屋へとメイドのマリアさんが向かっていた。少し気になったのでヒロトは声をかけてみた。
「マリアさん」
「ああ、ヒロトさん。士助さんは今部屋に?」
「多分居ますけど…なにかあったんですか?」
「さっきポストを見てきたら…」
そう言ってヒロトに手紙を手渡した。表紙には謎の言葉が書かれている。どこの国の言葉でもない。住所も書かれてなければ宛先も無い。ヒロトはこれが士助に関係する物だと察した様子で、士助の部屋に行ってドアをノックした。
「はい」
「士助さん。これ、多分士助さん宛てに…」
手紙を受け取り、表紙の言葉を見て士助の顔つきが険しくなる。丁寧に開けて内容を確認する。そこにはこう書いていた。
『日が落ちた時、館の前にて1人で待て。
プラド・ルシフェル』
「………」
「士助、これって…」
果たし状だ。二人は目を合わせ士助が頷く。
「相手はどんな奴なんだ?」
「わかんねぇ…」
「そうか…」
その後は皆いつもの様に過ごした。ただ1人、士助を除いて…
日が半分地に沈んだ。約束の時間は近い。士助は館の前で腕を組んで相手を待っていた。
相手がどんな奴なのか、自分は勝てるのか。そんなことは考えずただ、ただ立っていた。
館の時計が6時になり、千里邸から鐘の音が鳴り響いた。
それと同時に、辺りは闇に包まれ大きな翼を羽ばたかせて悪魔が舞い降りた。
「やはりきたな、虹色士助」
「お前が…『プラド・ルシフェル』」
静かに佇みながらも血に飢えた獣の相貌が睨みつける。
瞬間、士助は悟った。目の前の敵が今までの誰よりも強い、と。獲物を前にして平静を保っているのが何よりの証拠だ。油断したら一瞬でやられる。
「俺はこの時を待っていた…お前と戦えるこの時を…!」
「こっちは別に待ってねーけどな」
「フン、随分と余裕な口ぶりだな。ここで死ぬかもしれないんだぞ?」
「それはどうかな…」
双方、戦闘体勢になり各々武器を構える。
数秒、静かな空気が流れ、次の瞬間!
「行くぞ!」
ルシフェルの叫びが戦いの火蓋を切った。
龍は地面を蹴り、剣を振り下ろす。悪魔は回転しながら攻撃を弾き、そのまま振り払う。上体を落とし攻撃を回避し、互いに元の位置へと戻る。
VSルシフェル。今までとは違う、真の強者同士の戦いが始まった。
非常に短いです。短編小説かってぐらい短い。




