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我龍転生  作者: キーダの滝
Seven big crimes編
20/82

第19話「2対1」








魔界にて


魔王城の一室で2人の悪魔が話をしていた。


「ハァ…結局死んだわね。マーモン」

「なんだ、悲しいのか?」

「フン!そんな訳ないでしょ。気分はサイコーよ!」

「ケッ!頭のおかしい女だぜ…」

「なんか言った?」

「別に…」


女の方は「ラス・アスモディウス」、男は「スロス・ベルフェゴール」という。どちらもSBCの団員だ。


「なぁ、次はどっちが行く?」

「アンタが行きなさいよ。死に様を笑ってやるわ」

「じゃあそうするぜ、そんで虹色士助を殺して、お前も殺す」

「なんですってぇ…!」


二人の会話はいつもこうだ。お互いに殺すという言葉を使って会話する。それも冗談なんかじゃあない。


「いや、待てよ。ここは二人で組んで殺そうぜ」

「何で?」

「士助には懸賞金がかけられてるんだぜ。アイツを殺せば金が入る」

「マーモンの様に実力を過信して単独で走れば負ける」

「でも、二人でやれば…」

「勝てるかもってことね」

「ああ、だから組まないか?」

「誰でも思いつくようなことだけど、私達のチームは協力なんて言葉は捨ててるからね。良いわ。今回は採用してあげる」


2人は手を組み、士助を倒す作戦を立て始めた。

















その頃の士助は寝ていた。それもまた布団の中だ。


「zzzzzzzzzzzzz…」








「ふあ~ぁ」


数時間後。大きなあくびをしながら廊下を歩くいつもの二人がいた。


(そういえば、昨日は悪魔が来なかったな。まぁ俺からすればありがたいけど…)


考え事をしていて廊下で肩がぶつかった。少し痛かった。














放課後。


今日もなにも無いな…

帰り道そう思いながら歩いているとズゥゥン…と重い音が響き渡り、士助は魔力を感じ取った。


「ここから近い…いや、近づいてきている?」


辺りが急に闇に包まれ気づけば、別の空間にいた。そして、士助は他の存在を確認した。それはアスモディウスとベルフェゴールだった。


「ケッ!何とか成功したな」

「そうね、ここなら気づかれずに行動できるわね」

「何だお前ら!」


二人は小さく笑う。


「ここなら戦ってるってことに気づかれないってことだ」

「誰にだ?」

「あんたの兄、虹色庵次よ」

「兄ちゃんに?」


士助は理解してないが二人はココに来る途中サタナスからある話を聞いた。会議の同時刻、『レヴィンが虹色庵次にやられた』と二人は信じられなかった、レヴィンはSBCでも3番目に強い。そして二人より強い。


なのでもし士助襲撃途中に庵次に気づかれると確実に失敗する。なので二人は考えた、庵次に気づかれず士助に仕掛ける方法を。


それが2人の作った固有空間に連れて来る、という方法だった。魔力で作成したこの空間は術者の魔力が絶えるまで維持される。


「この異空間なら虹色庵次に気づかれずにオマエを殺せる!」

「さっさと殺すわよ。長いのは嫌いなんだから」


だが、士助にとっては好条件であった。何故なら、だれにも知られる事無く戦うことができ、全力を出せるからだ。拳を固めて笑う。


「よし…じゃあやろうぜ」

「死ぬ準備は出来たか?」

「地獄で二人にヨロシク言っといてね」


士助は身構える。ベルフェゴールは魔銃を取り出し、アスモディウスは持っている魔力を解放する。まず襲いかかって来たのはアスモディウスだ。


「さっさと殺す!」


アスモディウスは意外な戦術を用いてきた。彼女の武器は『髪』だった!輝く金色の髪を硬化させ地面へと潜り込ませた。髪は地中を喰らいながら好機を伺っている。


「アタシの戦術は髪!自慢の髪よ!このキレイでツヤのある髪!

髪の硬度を自由自在に、髪の鋭さを刀に、アタシの思うままに変えれる!」


地面から髪が突出する!四方からの鋭い髪を難なくかわすが、そこへベルフェゴールの魔銃弾が放たれた。それを直撃してしまい腹を負傷する。


「ぐっ!」

「まず一発目」


今度はベルフェゴールの銃弾が飛来する。それをかわす、と次にアスモディウスの髪が。今度は左腕に掠ってしまった。一発目はかわせるものの、間隔を無くし、よく狙いを定めた二発目をかわすのは容易に見えて困難だ。


「これ意外に余裕かもね」

「そうだな。さっさと切り上げて賞金を二等分だ」


地面に4つヒビが入り、ベルフェゴールの銃口が光る。今度は同時攻撃だ。右に飛んで攻撃をかわした。今の攻撃、まるで遊んでいるかの様だった。


(舐めやがって…しかし、まずいな。このまま続くとキリがない。このまま殺されるのもありえるぞ…!)


どうする、と考えているうちに攻撃はどんどん激しくなっていく。


「「さっさと死ね!!」」


ダイヤモンドの硬さまで硬化した刀の髪に数えきれない程の銃弾が襲いかかる!


両方が来てかわせるかどうか…こうなったら奥の手か…


士助目掛けて飛んだ攻撃は地面を抉り煙を巻き起こした。しかし、ここで油断しては行けない。事実死体を見ていない。2人は構えを解かない。


「死んだ?」

「多分死んでない…」


煙の中に影が写る。中から出て来たのは士助だった。激しい攻撃をくらい衣服がズタズタになっている。


「ゲホッゲホッ…なんつう攻撃だよ…」

「しぶといわね…」

「さっさと死ねば良いのによ」


相手を見極めたのか士助も剣を取り出し臨戦体制をとる。剣は銀色に輝き、目の前の敵に威嚇している様だ。


「お前達の実力は図れた。そろそろ真剣にやるよ」

「本気じゃなかったってか?」

「強がりもいいとこだぜ」


剣を地面と水平に構え静かに集中する。周りの空気が士助から離れて行く。


「何すんだアイツ…」

「さぁ?とにかく今はチャンス。さっさと殺すわよ!」


士助が精神を研ぎ澄ましている中、二人は先ほどと同じように同時攻撃を仕掛ける。かわすことも無く直撃し再び煙に包まれた。


「2回目…死んでると思う?」

「まだ、生きてんじゃねえの?玄龍だぜ?」


この時、2人は決して油断していた訳ではなかった。顔を見合わせた一瞬の隙を縫って、煙から飛び出した『何か』がベルフェゴールを殴り飛ばした。視認することも出来ず立て続けにアスモディウスを吹っ飛ばした。


起き上がり『何か』を確認する。それは間違い無く虹色士助だろう。しかし、大きな翼、鋭い目つきに鋭利な爪。まるで龍を彷彿とさせるその姿からは以前の士助を想像させなかった。


「なんだよオマエ…」

「俺は虹色士助だ!」


2人は驚いた顔つきで士助を見ている。何故ならこんな事になるなど想定もしていなかったからだ。


「この姿は『TYPE-龍』。少し龍に近づいた姿だ」

「なにソレ…そんなの!」

「聞いたことない、か?それは当たり前だ。コレはつい最近、俺が思いついてできるようになったんだからな」

「思いつきだと…」

「これは身体能力、攻撃力、防御力、スピードが全て上昇する。しかもリスク無しで。良い能力だろ」

「そ、そんな…!ありえ…ありえない!」


ベルフェゴールが銃を向ける。しかし時既に遅し、圧倒的な速さで後ろに回られる。


「なっ!」

「吹っ飛べ!」


まず強烈なパンチ。吹っ飛ぶベルフェゴールに追いつき、蹴り上げて空中に飛ばす。上空へ飛び、かかと落としをくらわせ、背中で地を割ったところへすかさず剣を突き刺した。


「ぐあっ…!」

「玄龍乱舞‘虹色’!」


口から血を吐き、しばらくして力尽きた。


「次はオマエだ」

「ヒィッ!」


龍の目が睨んでくる。アスモディウスは後ずさりしながら最善策を考える。余裕を表すかの様にゆっくりと歩いて近づく。士助から放たれる強者のオーラ。アスモディウスは悪魔を想像させられた。


絶望するアスモディウス。恐怖感が消えて思考が停止した。もう、どうでもいい。彼女は最期の手段に出た。どこからか取り出した試験管を見せつける。紫の液体が怪しげに光る。


「フ…フフ…アンタ、これが何かわかる?」

「紫の液体…見たこと無いな」

「これは、超危険薬品よ…!大気に触れることで化学反応を発生させて大爆発を引き起こす薬品!仕組みなんて知らないけど…これでアンタも道連れよ…!」

「……………」


試験管の口を塞ぐコルクに手をかける。瞬間、気配を背後に感じた。振り向くと、そこには黒い闇が待っていた。


「深‘魔掌’!」


ドス黒い瘴気を放つ闇はアスモディウスを遥か彼方まで飛ばした。そこに居たのは虹色庵次。侵入不可なはずの固有空間に何故か居た。手元を離れて浮いた薬品を掴み士助に歩み寄る。


「その姿…使いこなせる様になったか」

「うん。と言うか兄ちゃん」


士助は『TYPE-龍』を解き、武器をしまって庵次に尋ねた。


「なんでここが解ったんだよ?」

「さあな。何でだろうな」

「えぇ…」















「スロス・ベルフェゴール」


「ラス・アスモディウス」


2つの棺桶にはそう名前が刻まれていた。おどろおどろしい雰囲気を放ち、今にも動き出しそうだ。


「クキキキ!また二つ…」

「まだ、そんなことをやっているのか?」


後ろから声が聞こえ振り向くとそこにはSBCリーダー『ラーズ・サタナス』が壁に背を預けて立っていた。


「サタナスか。驚かすなよ」

「質問しよう。何故そんなことをしている?グラニ・ベルゼビュート」


死体を集めているのはSBC団員No.7『グラニ・ベルゼビュート』。部屋は死体安置室の様で部屋の温度が異常に低い。


「クキキ!簡単だ。これは実験の材料だから、と言っておこう」

「そうか…」

「次はお前が出るのか?」

「次はルシフェルだ。残念だったな」

「クキキ…何が残念だって?」

「…フン」


サタナスは不躾に扉を開けて出て行った。


「相変わらず嫌なヤツだ…」


その部屋にある棺桶は1つ1つナンバリングされている。『ラス・アスモディウス』No.5006。つまりこの部屋には5000をも超える死体置かれている。


このベルゼビュートという男は一体何を企んでいるのだろうか。その真意は今はまだ語られることはない。








どうも、キーダの滝です。バトル展開は別に良いんですがやっぱりどうしても短くなったり伝わりにくくなったりはします。そこは是非ご了承いただければと思います。


では、最後まで読んで頂きありがとうございました。

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