第1話「不思議な風刺の少年」
感想書いてくださった方、ありがとうございます
こういうのが励みになって有難いです!
今回、二つは一つになります
バトル展開のある物語なのですが結構遠いです
楽しみにしてくださってる方すいません、もう暫くお待ち下さい
では本編へどうぞ
晴れ渡る空、非常にいい天気である。その空の下で「千里加奈」と「綾風ヒロト」がいた。
「お嬢様、空を見上げてください、鳥が元気に飛んでらっしゃいますよ」
「今日は焼き鳥ね」
「やめろ!」
「あ、鳥が一匹こっちに飛んできてるけど」
「本当だ。一匹こっちに っていうか大きすぎませんか」
「近づいてきているからじゃない?」
「なるほど、というかとんできているというか落ちてきているという方が正しいような…」
「落ちてきているわ」
「やっぱり落ち
ズドンッ!!
という大きな音を立てて落ちてきたのはジャージを着た少年。頭から落ちてしまった様で気絶している、というか死んでいる。
「……人だ、っていうか、人!?ヒト!?なんで!?うえから!?人間が!?」
「落ち着きなさい。今ならまだ間に合うわ」
どこからともなくスコップを取り出して、落ち着いて穴を掘り始める加奈。
「証拠隠滅!?解決してねえ!どどどどどどどうすれば!いいんだ!?」
ヒロトが1人動揺し慌てていると、偶然そこを通りかかった老紳士こちらを指さしながら震えている。この瞬間、ヒロトは本能的に感じ取った。マズイ、と。
「人が!人が死んでいるぞ!」
しばし沈黙をおいたあと通行人は理解し、一斉に悲鳴を上げた。
「イヤーーーーーーー!!」「人殺し!?」「やっぱり、そういうことしてるのよ!」「恐ろしい!」
「ちょ、ちょっと待ってください!勘違いです!そもそも、僕たちが殺したという証拠は…」
「そこのそいつが持っている物がなによりの証拠じゃないのよ!」
「へ?」
そういわれて指が刺している方向を見てみるとついさっきまで持っていたスコップに加えて、先程持っていた包丁をもう片方の手に光らせていた。
「何してんだアンタは!!」
一時間後
「はぁ…それじゃあ後お願いします、マリアさん」
「はい、わかりました」
「起きたら知らせてください。僕は一階にいるんで」
「はい」
疲労した様子で部屋を出ると、壁に持たれて腕組みをした加奈が待っていた。歩き出した加奈の1歩後ろを歩きながらついていく。
「加奈様…あの男ですが、不可解なことに空から落ちてきたのに骨一本すら折れていないんです」
「……」
「我々が視認しただけでも50mはありましたし、どんな人間でもあんな所から頭をコンクリートにぶつければ間違いなく死にます。一体…」
ヒロトが今言った通りである。先程の部屋のベッドで寝ている少年。遥か上空からコンクリートに落ちたのにも関わらず骨一本折れているどころか超健康体であった。しかし、今は眠りにつきまったく目覚める様子を見せない。少年の傍らで不思議そうにしているメイドのマリアさん。と、そこへ焦っている様子のコックがやってきて手伝いを頼みに来た。
「マリアさん!申し訳ないんですが手を貸していただけませんかね?新人が調理をミスしてしまい、このままだと加奈様の昼食に間に合いそうもなくて…」
「それは大変ですケド…できれば、他をあたっていただけると…ん?」
すると、さっきまで気絶していたかのように眠っていた少年が突然目を覚ました。
「匂いだ…」
「だ、大丈夫ですか!?待っててください、今お嬢様を…」
「…肉、魚、野菜…」
「あ、あの…?」
「飯を…よこせぇぇぇぇぇ!!」
次の瞬間!勢いよくベッドから飛び上がり、部屋のドアを破壊してありとあらゆるものを蹴散らしながらどこかへと光の速さで消えた。そして、10秒も経たない内に厨房から悲鳴が上がった。
少年の事はあっという間に加奈の、ヒロトの耳に伝わった。ヒロトが急いで駆け付けると厨房では冷蔵庫を荒らし、出来た料理を鍋を皿にして食べる少年の姿があった。コック達も止めようとしたのか、吹っ飛ばされて周辺に倒れている。
「なんだこの状況は…」
頭の整理をしていると加奈がゆっくり歩きながらやってきた。そして、少年の存在に気付くと後ろから近づき、後ろ襟を掴んで厨房の外へ投げ飛ばした。これには流石に我を取り戻したようで、少年は辺りを見回している。
「うるさいわよ」
「あ、す、すいません…ところでここ、どこですか?」
「ここはアタシの家。アンタはさっきまでうちの食料を貪り食っていたのよ」
「マジかよ…腹減ってたのは覚えてたけどそんなことしてたとか…」
「どうやら飢餓に陥りかけて我を失ってた様ね。で、アンタ。名前はなんて言うの?」
「突然自己紹介とか言われても…まあ、するけどさ」
立ち上がり服をはたくと少年は2人に名乗った。
「俺の名前は虹色 士助。異世界からやってきたんだ」
それが新たな物語のはじまり…