第13話「しばらく帰るわ」
改善済み
あらすじ
ディアボロ級との戦闘によって暴走した士助。士助の兄、庵次によって抑えられたが悪魔による総攻撃を知らされヒロトを恐怖が襲った。
「悪魔が…この世界へ…」
「ああ、そうなるとこちらの世界は抵抗もできずに滅ぶな。跡形も残らずに」
しかし語る庵次は至って冷静であった。
「な、何で…」
「奴らの思惑まではわからないが実際奴らはこっちに手を出した。切り札の一つを見せてまでも。ここから考えれば目的が地球であることはわかる。地球は俺たちの世界よりも広いからな悪魔も住みやすいんだろう」
「そんな勝手な!」
「勝手じゃねぇ。それが生物の本能だ。現にお前達人間も自然に生きる動物達から場所を奪っているだろうが。それに許可がいるのか?」
「くっ……」
反論できない正論にただ黙るしか出来なかった。このまま世界が侵略するのを黙って見てるしかないのか…。シーツを強く握りしめる。
「何か、何か方法はないのか?」
こうなったらダメで元々、関係の無い異世界の者に助けを乞う。できる事はやらねばならない。
「方法も何も、士助がそいつらを倒す。いや、倒さなければならないからな。だから、こちら側で一度士助を引き取る」
「士助が倒してくれるのか?」
「どうせあいつがやるって言うだろ。そもそもこっちに来た理由がそれだからな」
確かに、こっちの世界に来た理由が悪魔を倒すこと。と言っていた。少しづつ希望が見えて来た。
これで助かるかもしれない…いや、救われるんだ!
そう思っているとドアがゆっくり開く。
「は、入るぞ…」
恐る恐る入ってきたのは士助。至るところにヒロトと同じ様に包帯を巻かれている。酷いところでは血が滲んでいる。
「士助!お前…大丈夫なのか?」
「俺は大丈夫だけどお前は…」
「いや、別に大したことはないさ」
少し強がって士助を安心させる。きっと今は精神が不安定だろうから支えてあげないと、と自分の心に念じる。
「士助、準備はできたか?」
「うん、いつでもいいよ」
「じゃあその前に攻めてくる奴らの事を教えといてやる。よく聞いとけよ」
「そんな情報あるの?」
「まあな。それで攻め込んでくる奴らは幹部7体で構成された"Seven Big Crimes"だ」
庵次曰く
Seven Big crimesとは
悪魔軍団は強さや技量によって階級を分けておりそのデーモンに属する7体が構成するチームだ。
下っ端の"アベアー"突撃兵の"デヴィル"幹部の"デーモン"そしてそれらを統治する三体の"ディアボロ"。
一人一人に"大罪"の称号が与えられており部下にデヴィル一体とアベアー30体を持つことが出来る。
「と、まあこんな感じだ。こいつらはいわゆるエリート組だ。他の負け犬のデーモンとは違う」
「やっぱり強いんだな…」
悪魔の脅威をひしひしと感じながら頭で考える。こいつらを倒さないとこっちの世界は支配される。仲間を守るためにも戦いの決心をより強く固める。
「もう行くぞ。無駄話をしている時間なんてない」
庵次が何も無い空間に向かって手をかざすと黒いドアが現れる。ドアノブを引いて庵次は入って行った。士助も覚悟を決めて戻る事にした。
「士助。頑張れよ」
「おう!任せとけ。ヒロトも安静にな」
闇の中へと進みドアは消えた。ヒロトも後ろに倒れて天井を仰ぐ。薄暗い部屋でゆっくり目を閉じる。士助の無事を祈りながら…




