037 レベルアップ
「よし、レベルアップだ」
食卓にキウイジャムのレパートリーが増えてから、しばらく経って僕の錬金術師と付与魔術師のレベルが同時にアップした。
最初は天職のレベルアップが感じ取れなかった僕だけど、この世界に来てからだいぶ経つし、天職のレベルアップも何度も経験しているのでわかるようになってきた。
「今回のスキルは……錬金術師が魔石解体と魔石合成、付与魔術師がスキル付与と魔法付与か」
したり顔で呟いてみたけど、全然わからんね。錬金術師が魔石関連のスキルだっていうのはわかるけど、付与魔術師のスキル付与と魔法付与とは何ぞや?
字面だけを見れば、付与魔法を付与する魔法なのかとも思うけど、付与魔法は魔法とついているだけあってスキルはない。
とすると、スキル付与は何を付与するんだ?
「さて、悩んでいても仕方がないから、師匠に聞くか」
付与魔術師の方は置いておくとしても、錬金術師のスキルに関しては師匠に聞けば、どんなスキルかわかるだろう。
というわけで、師匠の錬金室に来て、さっそく天職のレベルアップを報告した。
「お、カズも錬金術師がレベル4に到達したのね。レベル4のスキルは、魔石に関するスキルよ」
「ええ、魔石解体と魔石合成ですよね」
「魔石解体は魔石を粉末状に解体するスキル、魔石合成は粉末状にした魔石と通常の魔石を組み合わせて大きな魔石にするスキルよ」
「つまり、今の魔導具づくりに使っている魔石よりも大きな魔石が作れるということですね」
「ええ、一部の例外を除いて魔石はカズが使っているサイズのものだから、冷蔵庫やコンロに使用しているサイズの魔石を作るためには魔石解体と魔石合成のスキルが必須よ」
なるほど。師匠が僕に着火用、小型送風機、水瓶の魔導具ばかりを作らせていたけれど、このスキルを覚えなければ他の魔導具は作れなかったってわけか。
「ああ、あと付与魔術師のレベルも上がりました。スキル付与と魔法付与の魔法を覚えたんですけど、どういった魔法か知っていますか?」
「ん? ああ、付与魔術師の方ね。確か自分の持っている天職のスキルや魔法を付与できる魔法だったはずよ」
自分の持っている天職……ということは、付与魔術師の魔法だけでなく、錬金術師のスキルも付与できるということか?
「すごい魔法じゃないですか! 錬金術師の魔石組込を付与すれば、魔導具を作れる錬金術師が増えるってことですよね!」
「ふ、そんな便利だったら付与魔術師の地位はもっと上がっているわよ。スキル付与と魔法付与で付与できるのは、天職によるけれどレベル1のスキルばかりよ」
レベル1のスキル……ということは、付与魔法は攻撃力上昇と防御力上昇、錬金術は素材鑑定、素材分解、再構成か。
付与魔法は便利っちゃ便利だけど、錬金術は鉄鉱石から鉄を作れる程度……いや、想像力次第ではリバーシや五目並べも作れるけど、そこまで便利ではないな。
「効果時間は?」
「人によるらしいけど、精々10分から1時間くらいらしいわ」
おー、それは使えないな。他の付与魔法と一緒でスキル付与も魔法付与も使う際には魔力を使用するわけだし、それで短時間しか付与できないんじゃ使い道がない。
そもそもレベル2までのスキルを活用している錬金術師は多いから、ポーションや鉄の供給は十分だしな。
それに付与魔法も短時間だけしか付与できないんじゃ、冒険に行く冒険者や討伐に行く騎士にスキル付与して、自分は街で待つなんてこともできないし。
「んー、こっちでも検証はしてみますけど、やっぱり付与魔法はあんまり使えないですね」
「一流の冒険者がサブで持ってると便利なんだけどね~」
確かに、自分で戦闘をこなせるような人ならステータス上昇系の付与魔法を駆使して、自分の能力を上げながら戦うことができるだろう。
ま、僕は戦闘系の天職を持ってないこともあるけど、そもそも冒険や戦闘に魅力を感じないから街の外にすら出る気はないけれど。
こうなってくると、この世界で初めて会った冒険者ギルドの冒険者たちが僕をバカにしたのも納得といえば納得かな。ま、暴力を振るわれたことは許せはしないけれど。
「今日は魔力をだいぶ使ってるんで、錬金術と付与魔法の検証に移りますね」
「ええ、魔石合成で作った魔石で作れる魔導具に関しては明日教えるわ。できれば魔石5個分と10個分の大型魔石を作っておいて」
「はい、わかりました」
師匠に返事をし、師匠の錬金室を後にする。魔石5個分ということは4個を粉末にして魔石1個と合成か。
錬金術師の方の魔力はけっこう使っちゃったから、何個作れるのかわからないけれど、とりあえずやってみるかな。




