030 小型送風機と水瓶づくり
完成した着火用の魔導具を試してみたけど、意外と火元と手元が近くて危ないな。
ライターみたいなものだから、全体を上に向けて使う分には危険はないけど、横に寝かせるようにして使うと魔石から出る火が手の近くに来る。
「ん~、もっと火元を離したタイプも作ってみるか」
前の世界であった点火棒みたいなタイプの商品だな。回路を書く場所が狭くなって難易度は上がるけれど、やはり安全性を重視する商品があってもいいだろう。
ま、いらないって言われたら、個人的に使う用にしても良いしな。
「合成……再構成……」
1つ分の材料では長さが足りないだろうから、2つ分の素材を合成してから、再構成で先を伸ばしていく。
形が綺麗に整ってから、回路を書きこんでいくが、やはり難易度は普通に作った着火用の魔導具よりも上がるな。
「魔石組込」
点火棒の形にして回路を書きこんだものに魔石を組み込み、これで点火棒の魔導具の完成だ。
試しに着火してみると、着火用の魔導具と同じく手元の無属性の魔石からオンオフ、火力の調整が出来たし、着火用の魔導具とそん色のない動きが出来ている。
ただ筐体というか、握る部分の構造体に使用している鉄が2倍かかっているので、価格が上がりそうだな。
「ま、こんなもんか。小型送風機と水瓶も作ってみないとな」
小型送風機はいわゆる、羽なしの扇風機のようなもので、桶というか、短い筒の底をふさいだような筐体に転がらないように足がついている。
こちらは着火用の魔導具とは違い、木でできているのが特徴で、価格が安いから割と普及している魔導具らしい。
「スイッチになる無属性の魔石は足を組んだときに真上になる部分に置くから、それを考えて回路を書きこまないとな」
まずは筐体の基本になる桶に足を組んで、それから回路を書きこんでいく。
こちらもオンオフに加えて、風量が何段階かに分けて使えるようになっていれば完成だ。
「完成品はサーキュレーターみたいで、結構場所を取るんだよな」
小型とはいえ、設置する魔導具だからか着火用の魔導具に比べて、かなり大きい。
ん~、これも使い勝手を考えると手持ちのハンディファンみたいなのが欲しいな。
とはいえ、これはもっと小さい筐体がないと作れないから、今回は試作はなし。
「あとは水瓶か。これは底に水属性の魔石を設置して上部の無属性の魔石でスイッチを入れる感じか」
こちらの筐体は陶器製の瓶で、スイッチを入れるとそこに設置した水属性の魔石から水が出てくる仕様のようだ。
富裕層には水栓式の魔導具が主流らしいが、水瓶式だと移動させることが楽ということから水場を固定したくない人たちに人気らしい。
あと安い。水栓式は筐体に負荷がかかるので、耐久性がかなり高い素材が要求されるから高いが、水瓶式は陶器の瓶が筐体なので費用が抑えられるとのことだ。
「これは筐体がそのまま使えるから、回路を書いて魔石を組み込むだけか」
小型送風機は魔石から出る風の影響を少なくするために、足を差し込んだりするんじゃなくて錬金術の再構成で足をくっつけてしまう。
滑り止め用のスライムの素材も組み込まなければならないし、使用中に足が外れてしまうと危険だからだ。
「ん~、移動できることが、この魔導具のメリットだけど、結構大きいんだよな」
水瓶の魔導具を作ってみたが、空の状態なら持ち運ぶのに支障はない重さだが、それでも持ち運びやすいとは言えない。
「こういう水差しだったら、持ち運びしやすいんだけどな」
部屋の中には水栓の魔導具が設置されているが、ポーションを作成したりするときに使用する水差しも用意されている。
うん、この水差しが魔導具になったら楽だし、作ってみるか。
「水瓶よりも口が小さいから魔石が入れにくいな」
それに水差しには手で持つ部品があるので、回路も書きにくい。
うーん、スイッチになる無属性の魔石は側面に設置するか? いや、手で持つところにあったほうが便利か。
瓶とか洗濯桶とかに水を入れる時は、手で持ちながら水が発生できた方が楽だろうしな。
「まあ、その分こっちが回路を書くのが大変になるけど」
水瓶の時と違って、表面積も少なくなっているし、手で持つ部分に無属性の魔石を設置するということは、それだけ回路を書くのが難しくなる。
ま、書けないというほどじゃないし、少し労力が増えるだけだ。
これも着火用の魔導具みたいに必要ないって言われたら、僕の錬金室に置いておいて使えばいいかな。
あとは、自室に置いておくのもアリか。自室にはさすがに水栓の魔導具は設置されていないからね。




