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022 必要なのは学校よりも遊び

「そんな……稀人様に否定されるなんて」


 さっきまでキラキラとしていたオリアーニ嬢だけど、僕の言葉に意気消沈といった様子になってしまった。


「はあ。ソフィア、別にカズは学校を作るなと言っているわけじゃないわよ。作る意味が薄いと言っているの」


「ですが、お姉さま」


「現在の教会学校に支援をするなり、教会の負担を減らすために新しく基礎教育を施す学校を作るのなら、問題ないでしょう」


「まあ、そうですね。読み書きや計算は誰でもできるようにしておいたほうが良いですからね。ただ、教会学校が宗教の布教に利用されているのなら、慎重になったほうが良いでしょうけど」


 まさか、教会だって何の見返りも求めずに子供たちに教育を施しているわけではないだろう。

 文字や計算を教える過程で布教を行ったりしてるかもしれないし、そもそも幼年期から教会に足しげく通っていれば、大人になっても教会に行くことに抵抗はなくなるだろう。

 そういった教会側のメリットを考えずに、権力者側が学校を設立して子供たちを奪っていけば問題になるだろう。


「あ~、それもそうね。……ソフィア、学校の建設計画はお父様や陛下と協議してからにしなさい」


「……はい」


「ええと、オリアーニ嬢。夢をつぶしてしまったようで、すみません」


「……いいえ。わたくしが浅はかだったのですわ。稀人様たちの話から学校は素晴らしいものだと感じていましたが、この世界の特性や既存の教育に関する配慮が足りませんでしたわ」


「そうね。第一王子の婚約者として権力がアルミなんだから、気をつけなさい」


「まあ、個人的にはこの世界の教育は十分なので、同世代の交流の幅を増やす方に力を入れたほうが良いと思いますね」


「「同世代の交流?」」


 師匠とオリアーニ嬢が同時に反応する。こういうところを見ると、姉妹って感じがするな。


「僕の世界にあった学校は確かに教育機関ですけど、社会的な常識や道徳を教える場でもありました。同世代と交流することで、社会出た際に問題行動を起こさないようにする意味合いも」


 同世代が集まるがゆえにやらかしてしまうバカもあったけれど、許されるうちに許される範囲でバカをするのも成長には必要だと思う。

 この世界では天職とギルドによって狭い世界で社会人となってしまう人が多いから、他業種の人がどんな仕事をしているのか知らず、それゆえに勝手に上下関係を作っている人がいる印象だ。

 僕がこの世界にやってきた時に、冒険者ギルドの人が戦闘系の天職を持っていないから、という理由だけでバカにしてきたように。


「同世代の交流……やはり学校を」


「だから、それはお父様や陛下に相談してからにしなさい。……カズ、何か案はあるの?」


「そうですね……単純に遊びの幅を増やせばいいのでは? この世界の遊びというと、何かありますか?」


 単純なことだが、子供同士が交流を持つのなら遊びが一番だろう。僕自身もスポーツだったり、ゲームだったりで、普段は交流しないような人たちと交流してきたし。


「遊び? 貴族だったら女性はお茶会、男性は狩りかしら? 平民は薬草の採取に行ったり、木の棒を振り回してる子は見かけるわね」


「お姉さま、貴族でしたら遊戯盤も遊びの範疇でしょう」


 ふむふむ、やっぱり遊びの幅は広くないみたいだな。というか、お茶会や狩り、薬草採取は遊びに数えていいものなのだろうか?


「そういった遊びが主流だと、同世代の交流は難しそうですね」


 貴族はともかく、薬草採取は上の世代が下の世代を監視したり、教育したりするだろうし、木の棒を振り回すのは戦闘系の天職持ちか、暴れたい盛りの子に限られるだろう。


「カズはどんなことしてたの?」


「ボールを使ったスポーツだったり、ボードゲーム……様々な種類の遊戯盤とかですかね」


「ボール?」


「弾力性のある丸いものですね。蹴ったり投げたりして遊ぶんですよ」


「ああ、布製のモノなら小っちゃい子が遊んでいるわね」


 綿を中に入れた布製のボールはあるらしい。ただ、それだと小っちゃい子ならともかく、ある程度の年齢になると遊びづらいだろう。


「師匠、何か弾力のある素材はありますか?」


「弾力ねえ。冷蔵庫の隙間埋めに使ってる素材とか?」


 ああ、パッキンみたいな素材か。確かにあれは、グニグニしていて弾力があるな。


「あれって、何の素材なんですか?」


「スライムよ。確か、魔導具作りに使うために仕入れたのがあるから見てみる?」


 何か学校の話から、かなりズレてきているような気もするが、まさかスライムの素材が見られるとは。

 異世界にやってきた感が強くて、ワクワクしてしまうな。

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