表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/6

第4話:バグだらけの学園生活と、ラズの過去

学園は今日も平穏……の“ふり”をしていた。


本当は、もう世界の根幹はとっくに壊れ始めている。

“裏設定”が干渉しすぎて、イベントの順序がバグり始めていたのだ。


 


たとえば。


・本来、王子とヒロインが初デートする日 → 何故か校舎が一時的に消失

・騎士団実習のはずの時間 → 闇魔法の召喚陣が勝手に発動

・お茶会イベント → 毒耐性のスキルチェックが唐突に挿入される(※通常非表示)


 


(これは……ゲームシナリオの“順番”が崩れてる)


私は昼食をとりながら思う。


どうやら、プレイヤーである私とリリアーナの同時転生によって、

この乙女ゲーム世界そのものがバグっているらしい。


しかも問題は、私たちの影響だけじゃない。


 


「やっぱり“誰かが意図的にコードを書き換えてる”わね……」


そう呟いた私に、隣の席の男が紅茶を差し出した。


「──確かに。世界の挙動が、外部から干渉されている」


 


ラズ・ヴェイル。

裏ルートの影の住人にして、今や私の最大の協力者だ。


「今朝、また“魔力構造の改ざん痕”があった。

たぶんそれは、リリアーナ本人の意思じゃない」


「……じゃあ、彼女を操ってる奴がいるの?」


「そうだ。そしてその存在は、“この世界の外”に近い」


 


(この世界の外──つまり、“開発段階”で抹消された存在?)


私の脳裏に、プレイヤー時代に見た“没設定リスト”が蘇る。


開発中に消えた「第七の攻略キャラ」、

没ボイスの中でだけ語られていた「管理者の影」、

そして“ある特定のルート”でだけ言及される「記憶を食う者」。


 


(もしかして、それらがすべて繋がって……この世界を壊そうとしてる?)


 


その日の放課後。


私はラズを連れて、学園の旧図書館に足を踏み入れた。


ここは通常ルートでは立ち入り不可、

“未実装エリア”のはずだった。


なのに、今は普通に扉が開く。


 


「……ここが、俺の眠っていた場所だ」


「え?」


「数百年前、俺は“契約を破った存在”として、この場所に封印された。

理由は、俺が“ヒロインと恋に落ちた”からだ」


 


(……なるほど)


つまりラズは、過去にこの“世界そのもの”と契約していた存在だった。

ヒロイン(=世界の中心)に愛されたことで、“存在規定”から外れ、バグと判断された──


だから封印された。


 


「皮肉なものだな。

今こうしてまた、ヒロインの器が暴走し、世界が揺らいでいる」


 


彼の視線は真剣だった。


「俺はもう、過ちを繰り返さない。

だが──今度は、君が“選ぶ”番だ」


「選ぶ……?」


「君はこの世界を知り尽くしている。

ならば、今度こそ正しい結末を選べ。リリアーナを、世界を、そして……自分を、どうするのか」


 


私は返事をしないまま、図書館の奥に足を踏み入れる。


その先にあったのは──


 


“未実装イベントログ”。

“キャラクター削除記録”。

そして、“管理者IDのアクセス履歴”。


 


(やっぱり……この世界は“書き換えられている”。プレイヤーじゃない何かによって)


 


そのとき、不意に私のスカートのポケットが震えた。


見れば、システムに接続された旧型の通信端末が。

転生直後に拾った、壊れてるはずのガジェット。


そこに、文字が浮かぶ。


 


「また、会えたね」

──From:You(過去のプレイヤーID)


 


(……また!?)


これは、“前の世界”の私が送っていたメッセージ?

でも私が記憶しているログには、こんなものはなかった。


 


「……エリシア、これは?」


「ラズ……これ、過去の私からの手紙よ。

もしかすると、もっと前からこの世界には“ループ”の痕跡があったのかもしれない」


 


(私たちはいったい、何回この世界をやり直しているの……?)


次第に見えてくるのは、

乙女ゲームに隠された“永遠の輪廻”と、“やり直しの代償”。


 


そして私は知ることになる。


──この世界を真に救う方法はただひとつ。

この物語を“完結”させること。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ