彼氏彼女の物語
あのね、貴方に言いたい事があるの。
私が何度聞いてもね、貴方が絶対答えない事。
また今日も聞いてみるわ。「私の事、愛してるの?」
傷付くのは分かってるの。裏切られるのにも慣れてるの。
でもね、貴方は知らないでしょう?
一人で迎える朝、濡れた私の枕を。
貴方の腕の中がどうしても好きで、そして怖いの。
だから、ねぇ、答えてよ。「私の事、愛してるの?」
あのさ、君に隠してる事があるんだ。
柄にもなく恥らしい、そんな隠し事なんだけど。
また今日も隠してる。言葉ってのは不便だ。
傷付ける事が怖いのに。裏切っていて申し訳ない。
でもさ、伝わってくれないかな?
僕から滲み出る、照れ臭い想いが。
君も隠してるつもりだろ? 僕がいない時泣いてる事。
そんなの仕草一つで分かるよ。だって「君を愛しているから」
擦れ違いがなんて苦しい。それなのに些細で照れ臭い。
そんな可愛い関係が彼氏彼女っていう物語だろ。
呆れるような日もあるよ。愛を語り合う夜もあるよ。
それでも綺麗じゃない恋人達は綺麗な想いで、抱き締め合う。
「ねぇ、腕の中温かい。私の事、愛してるの?」
「そうかな。それはね……もう朝か。起きようかな」