私は私
さて、いよいよこの家を出ようと考えるようになった。口うるさいおばあちゃんは介護施設に入所することになった。認知症が進行し、とうとうオカンが自分の娘だと分からない状態になった。
オカンと2人暮らしになった。息がつまりそうだ。貯金は全然貯まっていない。私は不要な服やアニメグッズをリサイクルショップで買い取ってもらっていた。少しでも引っ越しの費用になれば。
最近、ハローワークで新しい仕事を探している。ここにいてもオカンがいる。もっと遠くへ行きたい。私は思い切って都内で仕事を探そうと思った。30代にもなって何してるんだと思われるかもしれない。冒険がしたかった。オカンから離れて自分の意思で生きてみたい。
ある日、ヨシ先輩からメールが届いた。久しぶりーとか元気?とかそんな内容だった。私は「元気ですよ」と返信した。
「今度の土曜に帰るんだ。会えない?」とメールが届いた。土曜日は休みだから「会えますよ」と答えた。「じゃあ13時に〇〇駅に来て!」と返事が届いた。土曜日の13時に○○駅で、ヨシ先輩と会うことになった。
土曜日になった。〇〇駅前で私は待っていた。背後から肩をとんとんと叩かれた。振り向くと、ヨシ先輩がいた。
「おかえりなさい」
「ただいまー」
私たちは駅前のカフェに入った。数年ぶりに向かい合って座った。ヨシ先輩は、会っていないうちに大人びていた。大人が大人びているって変だけど。




