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全力

【☆★おしらせ★☆】




あとがきに、


とても大切なお知らせが書いてあります。




最後まで読んでくださると嬉しいです。


「ふぅむ、魔法の腕の方は見せてもらった。模擬戦で本気を出すわけにもいかないし、打ち合いはこれくらいにしておくことにするか」


「あっ、はい」


 いささか千日手じみてきたと感じたからだろうか、手を止めたレオニスさんがゆっくりとこちらに歩いてくる。

 軽くダメージは通ってはいるみたいだけど、レオニスさんの身体にはまったく傷がついていない。


 うーん、想像してたよりずっと硬いな……。

 本気を出してるかと言われるとたしかに否なんだけど、一応俺としては今出せる全力は出したつもりなんだけど……。


 ディスパイル戦の時も感じたけど、やっぱり強敵相手だと火力が不足しがちになるのが現状の俺の課題だな。


 実際俺が最大威力を放つためには物質魔術を使って魔力ところてんを量産しておく必要がある。


 なのでもし戦うなら事前にしっかりと魔力ところてんを溜める必要がある。


 物質魔法が物質魔術になったことで魔力ところてんが作りやすくなった気はしてるから……もうちょっと頑張って二重軌道で物質魔術と他の魔法を掛け合わせて即座に火力を上げる方法とかをなんとかして確立できるようになりたいところだ。


「しかしその若さでこの実力は恐れ多いな……マルト卿は今いくつだ?」


「こないだ十五歳になりました」


「十五でこれか……俺が十五の時など、何も考えず各地を転戦していたぞ」


 遠い目をするレオニスさん。

 いや、それも十分すごいと思うんですが……。


「それなら一旦なんでもありの模擬戦は終わりにして、次は剣を使ってみるか。王家に騎士爵をもらったからには、剣も扱えなければいけないぞ」


「了解です」


 たしかに魔法戦を続けても俺が逃げまくって魔法をぶっ放すだけなので、あまり模擬戦としての意味はない。


 レオニスさんの方はほとんどダメージを食らわないから、俺の魔力が切れるまで延々と魔法をぶっ放すだけになっちゃうからね。


 なので胸を借りて、今度は剣で挑んでみることにする。

 俺はまだスキルは剣豪くらいしか持ってないので、最強格の剣神スキルを持っていると噂のレオニスさんも相手としては不足だろう。


 けどまあ、今の俺が近接戦だけでどこまでやれるのかを知れる良い機会だ。

 再び胸を借りるため、俺は木剣を手にして走り出すことにした。



「すうぅぅっ……」


 大きく息を吸い、そして吐き出す。

 改めて全身に付与魔術をかけ直してから、使える手札を脳裏に思い浮かべることにした。


 木刀を握る手に力を込めながら、じっと目の前の相手を観察する。


「……どうした、来ないのか?」


 レオニスさんは微動だにすることなく、じっとこちらが動き出すのを舞っていた。


 さっきはとにかく距離を取ることを考えていたからそこまで意識はしていなかったけど……こうして剣が届くほどの距離まで近づくと、ものすごい気迫だ。


 レオニスさんはただ、聖魔剣ケイオスをじっと正眼に構えているだけだ。

 にもかかわらず、俺は常に喉元に剣を突きつけられているような危機感を感じていた。


 何をどうやったらこの領域に達することができるのだろう。

 彼相手に真っ向勝負をすればそもそも勝負にすらならない。


 けど最初は敢えて、策を巡らせるのではなく真っ向から向かっていく。

 純粋な自分の実力を確かめるために。


「シッ!」


 剣を横に薙ぐように振る。

 複数のスキルを使い限界ギリギリまで強化している俺の膂力は殴ったオークを吹っ飛ばせるくらいに高いはずだが、レオニスさんは一撃を軽々と受け止めてみせた。


「そんなものか?」


「いえいえ、まだまだこれからです、よっ!」


 一閃、二閃、そして三閃。

 地を這うような低姿勢から放つ斬撃も、飛び上がって放つ斬り下ろしも、全身のバネを使って逆袈裟にかち上げる一撃も、全てをしっかりと受け止められる。


「は、速ぇ……」


「おい、今姿が消えたぞ!」


「音しか聞こえてこねぇ……模擬戦ってレベルじゃねぇぞ!?」


 速度で翻弄するやり方で、とにかく攻撃を繰り返していく。

 レオニスさんが防御をすればその真反対から攻撃を、防御姿勢を取ったならそれによって生じる死角から攻撃を。


 カカカカカッ!


 絶え間ない攻撃の連続。

 自身でも完全にゾーンに入っているからか、目の前の光景に遅れて木刀同士がぶつかり合う音が聞こえてくる。


 今使える剣技を使う。

 まずは武技を使わず、あくまでも素の能力でだけ。


 しっかりと動きを捉えることはできているのだろう、レオニスさんの視界は高速で移動するこっちにかなりの割合でついてきている。


「そこっ!」


「甘いですっ!」


 レオニスさんが返しで放ってきたカウンターを、俺は見てから避け、すれ違いざまに一撃を放った。

 無防備な腹部に一撃が当たるが、巌のようなレオニスさんの身体は変わらず微動だにしていない。


 速度は圧倒的にこちらの方が速い。



 受け流すのではなく木剣で正面から受け止めているのは、わざわざ受け流す必要がないという余裕の現れだろう。


 魔法戦を意識した、ホルダーの能力を全て俊敏に振りスピード特化にした現状のステータス。

 純粋な速度だけで言うならレオニスさんより高いんだろうけど、これだとまったく通用していない。


(それなら……っ!)


 一度離れてから再度ホルダーの魔法を発動する。

 そして付与魔術をかけ直すフリをしながら、一度ホルダーの中身をリセット。


 そして改めてゴーレムとゴーレム系の合成召喚獣で埋め尽くすことで、ステータスを攻撃力偏重に切り替える。


 ガクッと身体の重さが急激に変わる。

 最初は違和感のせいで上手く身体が動かなかったりもしたけれど、何度も使っているうちにすぐに順応することができるようになった。


「これでっ――どうですかっ!」

新作の短編を書きました!

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