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王都


 とりあえず宿の中に入って話を聞くことにした。

 ちなみにオークキングの討伐に成功した報酬が入った時点で、宿のグレードは一気に二つくらい上げている。

 お金は回さないと、経済も回らないからね。


「なんだかすごいことになってるわね、マルト。本当ならあなたから魔法のこと色々と聞きたかったのに、それどころじゃないんだもの。この宿を探すのも結構大変だったのよ?」


「あはは……うん、ちょっと張り切りすぎちゃったから」


「ちょっと張り切ったらオークキングが倒せるの?」


「結果的にはそうなっちゃいました」


 ルームサービスを頼み、軽食を用意してもらう。

 一泊金貨一枚というだけのことはあり、軽食の値段は驚きの無料である。

 出てきたパンをどうぞと出すが、ミラの方は手をつけない。


 小腹が空いていたので一つを手に取って食べてみる。

 噛みしめると小麦の優しい甘さが広がる。うん、一流の店は軽食にも手を抜いていないようだ。


「私ももらうわ……うん、まぁまぁね」


 ミラもパンを口に運び、もそもそとパンをかじる。

 その動作は、かなり様になっていて、どこか絵画の一ページのようであった。


「まどろっこしいのは苦手だから、単刀直入に言うわね。実はマルトに一つ、お願いがあるの」


 誰にも言っていないのに、わざわざ宿屋を探し出したんだから、恐らく相当に急ぎの用事なんだろう。


「内容によるけど、大抵のことなら聞くよ。もちろん、それ相応の報酬はもらうけど」


 もちろん無理難題を言われたら断るけどね。

 そんな意味を言外に込めると、ミラは当然ねと言いながら、こくりと頷いた。


「マルト、光魔法の練度もかなり高いんでしょ? あなたの実力を見込んで、一人治してもらいたい人がいるの」


「治す……なるほどね。病気? それとも怪我?」


 俺の光魔術はこの世界の人間と比べると極めて異質で、効果が高い。


 筋肉や骨の位置をしっかりとイメージしながら魔術を使えば複雑骨折や陥没骨折なんかも治せるし、骨が折れて筋肉に刺さったりしてもしっかりと元に戻すことができる。


 一般的にこの世界の光魔法は病気に対しては効きづらい傾向にあるが、俺の場合は殺菌や滅菌をイメージすることで病原菌なんかも消し去ることができる。


 破傷風にならないように傷を治したりすることもできるし、多分だけど万物知覚と併用して位置を特定してしまえば、腫瘍を消し去ることもできるはずだ。


 上位スキルの系統外魔術になったことで消費魔力や回復量も以前より増えた。


 この世界の光魔法の使い手の実力を細かく知らないけれど、前にマリアが驚いていたことを考えればかなり上位の実力者にはなることができていると思う。


 更に言えば今の俺はホルダーの魔法を使って召喚獣を使って更に光魔術の効果を上げることが可能だ。


「それが……わからないの」


「わからない?」


「うん、どんな薬師や光魔導師に聞いてもわからなかったらしいの。でも体調は日々悪化していて、弱っているのは間違いないらしくて……」


 なるほど、既に色々と手を尽くして、それでもどうにもなっていないのか。

 それだと俺が行っても治せるかどうかは怪しいと思う。


 なので正直に口にすると、それでも行ってみてほしいと頼まれる。

 ダメで元々だからと頭を下げられた。


「あの子は私の……たった一人の幼なじみなの。だから……お願いマルト、一度診てもらえないかしら?」


 幼なじみか……そんな風に頼まれると、俺としても弱い。


 病気で誰かを失うのって、つらいもんな。

 母さんが亡くなったことを今でも悲しんでいるフェリスを見てきた俺には、彼女の気持ちを何分の一かでも理解することができる。


「うん、いいよ」


「もちろん無茶を言ってるのはわかってるわ。今回無理を言って家宝の一つを出す許可をもらってきて……え?」


「いいよ、ジェンの冒険者ギルドのほとぼりが冷めるまでにはまだかかるだろうし、その間に人助けができるなら行かせてもらうよ」


「……ありがとうマルト、本当にありがとう……」


 こうして俺はミラからのお願いを聞いて、王都へと向かうことになるのだった。

 まさかその先に、あんなことが待ち受けているとは知らずに……。


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