表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕が異世界に行けたのは「うつ病だから」だそうです  作者: 佐和多 奏
うつ病だった時に書いたやつ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

81/562

いじめ  マズローの欲求2段階目「安全欲求」

「自分とは異なる性質をもつ者をそのまま受け入れられるような学級の雰囲気づくりや,子供の中にある暴力的欲求をコントロールし解消する力を持つ学級づくりが、いじめの善悪を教えたり,当事者に事情聴衆し指導したりするよりも,いじめの抑制に効果的な可能性があるという」(鹿毛、2006年)


 紛争の経験があり、あまりなじめなかったおれ、アラン。

 そんなおれと、仲良くしてくれた、レン。

 おれと仲良くする、ということはつまり、「自分とは異なる性質」を持つ、クラスメイト。


 おれは、喧嘩に強い。だから。


「暴力的欲求」の対象。つまり。


 いじめの対象は。


 レンだった。



 おれは、うわさでは聞いていた。


 レンが、いじめにあっていることを、でも。


 レンは、おれに、助けを求めなかった。


 だからだったのか知れない。


 さすがのおれも、集団に喧嘩を売られたら、勝てないと思った。




 天才心理学者、アブラハム・マズローは、人間の欲求は階層化していると説いた。


 その第1段階が、ちゃんと寝て、飯が食える。


 第2段階が、


「危険から身を守り、安全を得ようとする欲求」(岩壁、福島、伊藤、2013年)


 安全欲求が、出てくる。


 おれはずっと、第1段階が、満たされていなかった。


 そこで初めて来た先進国で。

 ちゃんと寝て、飯を食えるようになって。


 おれは。





 いじめの対象になりたくない。


 安全でいたい。





 そう。



 思ってしまった。



 友達なのに。



 まさか。



 まさか、自殺をするなんて。



 思っても、いなかったから。




 おれは、そのあと、いじめていたやつらを全員ぶん殴った。

 先進国のやつらは喧嘩に慣れていなかった。

 全員、くそへぼかった。


 

 おれのせい。



 それは、知っているんだ。



 わかっているから、今。



 自分を責めて。



 鬱になっているんだ。



 扉が光った。



 おれは、異世界へと入った。


 異世界には、カミンがいた。


「私は、神としてこの世界に1人で生まれた。他の生物もその後たくさん生まれたけど、でも、この異世界に来るまで、ずっと孤独だったよ。


 あがめられるか、恨まれるかしか、ないから。


 私は、人間の方が、うらやましい。


 あれ?アラン、なんで泣いて」


「カミン!人間も、争いあうんだよ!知ってるでしょ!」



「うんうん。わかった。ごめんね。私もつらいし、アランもつらいよね。」


 おれとカミンは、一緒に、ポップコーン屋さんに行った。


「いじめなんて、そんなひどいこと」


「おれも、無理だったんだ。止められなくて」


「私もね、神の仕事、さぼっちゃうことあるよ。私には、いろんな種族の人たちの運命を託されてるけど、処理できないし。仕方ないこととか、理不尽なことだってあるし」


 カミンは、ポップコーンを口に入れた。


「私たちは、過去を生きているんじゃない。今を生きているんだよ。だから、生きていられる。今は全部忘れちゃっても、大丈夫なんだよ。過去は過去、今は今だから。今を生きるって、なんでだろうって考えたけど、そういうことなんじゃないかな、時の流れって」


「そういうことか。カミンは、頭がいいね。おれは、過去に戻れないからこそ、未来に飛べないからこそ、生きることができる。やり直して、作り出せる。逆説的で、素敵な理論だね」



 空には、大きな花火が上がり、そして、儚く散った。

お読みいただきありがとうございました。お気に召しましたら、評価、ブックマーク頂けると励みになります。


参考にした文献

朝倉書店『朝倉心理学講座8 教育心理学』鹿毛雅治、2006年

有斐閣アルマ『臨床心理学入門ー多様なアプローチを越境する』岩壁茂、福島哲夫、伊藤絵美、2013年

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ