悪魔の悩み
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「なあ、お前はどんな時に喜びを感じる。」
トルネードポテトを買おうとすると、アランは店員にそう訊かれた。
「おれは、ゲームしてる時かな。ゲームにクリアした時。あとは、人の役に立った時とか。何かを成し遂げた時とかかな。」
「じゃあ。」
アランは、トルネードポテトを渡された。
「お前は、どんな時に、悲しみを感じる。」
「それは。受験に落ちた時とか、失恋した時とか、あと」
アランは、追憶し、言った。
「おれの、おれの友達が。全員、殺された時とか」
ミカが飛んできた。
「君は」
アランは、一口食べ、店員に聞いた。
「君は、なぜ、この世界に来たの」
「その理由を話してしまったら、君はたぶん、おれのことを嫌いになり、そして、傷つくだろう。それでも、話していいのか?」
「うん。だって隣に」
隣を見た。
ミカが笑う。
「ミカが、いるから」
「君は、天使」
「大丈夫。隣に、アランがいるから」
「おれは。誰かが失敗したときに、喜びを感じる。誰かが、殺された時が、一番。最高の気分なんだ。そして」
彼はうつむいた。
「おれは、人が喜んでいるところを見ると、とても、苦しく、辛い気持ちになる。なぜなら俺は」
肩に下げている鎌を持ち上げ、言った。
「悪魔だから」
そして、語る。
「悪役も、物語には必要。それは、鉄則。悪役がいなければ、ヒーローも輝かない。そして、悪役が悪ければ悪いほど、強ければ強いほど、その物語は、面白い。主人公が自ら悪役になる、闇落ち、なんていう言葉も度々使われる。じゃあ。演者は。悪役を演じる演者は。悪役に。なり切らなければならない。いい人が、悪い人になる。それは、とてもストレスで。じゃあ。それが。元々、「悪」だったのならば。それは、ストレス、なのだろうか。いや、そうではない。自分が喜びを感じることをしているだけだから。苦ではない、でも。他人の喜びが悲しみで、悲しみが喜びなのならば。忌み、嫌われる。ほかの種族とかかわりを多く持つおれ達悪魔は、いつも、悲鳴を浴びていた。それでも、他の悪魔は、悲鳴さえも大好きで、喜んでいた。しかし、おれは思ったんだ。おれは。生まれたときから、ずっと。『悪いことをしている。』って。悪いことをするって、こんなに辛いんだなって、思った。おれも、天使のように、人が喜ぶことを」
「それは違うよ」
ミカは真剣な顔で割って入る。
「へ?」
「人助けをすることは、悪いことじゃない。でも。自分が、ちゃんと『喜び』、『楽しむ』。どんなことだったとしても。私は、それは、素晴らしいことだと思うよ。だって私は、天使なのに。誰かのためを思いすぎて、自分が、何が嬉しくて、何が楽しいのか、わからないから。でも」
ミカは、空を指さした。
その景色は、一面の美しい花火で、綺麗な花火で、覆いつくされた。
「綺麗な景色を見たとき。みんな、喜びを感じるんだ」
ああ。
確かに。
綺麗だ。
「きみ、名前は?」
「おれは、ルドルフ」
「ルドルフ!」
アレンは、驚きの声を上げた。
「サンタクロースっていう、人間に幸せを与えてくれる魔法使いがいて、その人は空飛ぶそりをトナカイにひかせる。サンタクロースは、赤い鼻で、馬鹿にされていたトナカイ、ルドルフを、ほめたんだ。赤い鼻が、役に立つ。と。『今宵こそは』、と、喜んだ。君も、ルドルフっていう名前なのならば、必ず、君のその価値観で、君が喜べる日が来るよ」
「私は、ミカ。天使だけど、少しだけ、あなたと同じようだと感じて、嬉しかったよ」
「うっ。誰かが喜んでいるところを見ると」
ミカは、魔法を唱えた。
ルドルフの心は、落ち着いた。
ルドルフは、悪魔界へと戻った。
誰かが不幸になるところを見ることが、おれの喜び。
それでも。
喜びを感じられることは。
素晴らしいことなんだ。
天使と人間に、トルネードポテトを渡した。
あれは、夢だったのかな。
手には。
バンドが付いていた。