おれは君に、生きてほしい。
「お前、何味がいい。」
おれは、ポテトの味を聞いてきた。
「じゃあ」
「おれ、ちょっと辛めの味がいいかな。今のおれには、ちょっと辛めが美味しいから」
横から聞こえるこの声!
レン!!
お前。
なんで。自殺したはずじゃ。
異世界、だから?
異世界なら、花火が上がるまで、一緒にいれるはず。
「お前は、おれの分まで、頑張って、生きろよ。」
「レン?ちょっと待ってくれよ!まだ、花火は」
レンは、消えてしまった。
あの日。
『ポテト、何味がいい?』
店員に聞かれ、レンは答えた。
『ちょっと辛めがいいかな』
そして、おれたちは河原でポテトを2人で食べた。
『なあ。アラン。おれ、レギュラー、外れた。ちょっと、辛めくらいが、今のおれにはちょうどいいから』
『まだおれたちには、明るい未来が・・・』
『なあ、アラン。』
『なんだよ、何回も。』
『お前は、頑張って、生きろよ・・・。』
「PTSDの特徴的な症状には(トラウマとなった出来事があたかも自分の目前で再現されるかのように追体験される) フラッシュバックがある」(岩壁茂・福島哲夫・伊藤絵美、2013)
そういえば。
おれは。
レンに。
生かされたんだ。
じゃあ。
レンの分まで。
頑張って。
生きなきゃ。
「おい、お前、だれと喋ってんだよ」
「あ、ああ。なんでもない。じゃあ、辛めで」
おれは、ポテトをもらった。
「なあ、アラン。お前、おれの分まで、頑張って生きろよ。」
「ヴァンロー、お前」
あの時、言えなかった言葉。
「お前も! 一緒に! おれと! 生きろよ! おれは、お前がいなきゃ、いやだよ。来週のパレードも、会いてえよ」
ヴァンローの目から、涙が溢れた。
ここは、心に病気を抱えた者だけが来れるパレード。
みんな、少ないなりにも、希死念慮、自殺したい欲を持っている。
でも。
もう。
友達に。
死んでほしくない。
「わかったよ。そこまで言うなら、来週も、ポテト作ってやるよ」
「ああ。」
おれたちは、笑顔でグータッチした。
空には満開の花火が打ち上がった。
参考にした文献
有斐閣『臨床心理学入門ー多様なアプローチを越境する』 岩壁茂、福島哲夫、伊藤絵美、2013年




