眠れない聖なる夜に最高の漫画を描く!
精神安定剤1錠と、睡眠薬1錠、パニック発作を抑える睡眠効果のある薬1錠、飲んだのに。
眠れない。
12月24日、夜中。
サンタが来た。
「ふぉっふぉ。エルフが落ちちゃってのお。まあ、魔法が使えるから無事だと思うんじゃが。はい、これ。アランが手紙でおれ宛に出してたやつ。漫画家セット」
漫画家セット。
エルフが、落ちた。
『ねえ、アラン』
『なに、レオン』
『わたし、最近、忙しすぎて、疲れちゃってるみたい』
『忙しいの?』
『うん』
エルフのリオンは、クリスマス直前はとても忙しい。
そうだ!!
レオンに、描いてあげよう!
この、漫画家セットで!
ストーリーを!
前々から計画してた。
みんなで。
リオンに、なんかプレゼントしようって言って。
小説を、書いてプレゼントしようか。
歌を、プレゼントしようか。
ストーリーは、確か。
よし。
漫画が。
多分。
1番、伝わる。
大丈夫だよって。
伝わる、はず。
12月25日、午後11時。
異世界の扉が、開く。
それまでに、
描き上げる。
絶対。
でも。
漫画って、どうやって描くんだ??
描くのは好きだけど、自分勝手に書いてるだけで、基礎とか全く知らないんだよな。
なんか、書き方の本もあるぞ。
ほうほう。
コマ割り。
それで?
漫画の設計図、ラフを描く。
ラフ。
あー、あの、漫画家さんが粗く書いてるやつか!
セリフとかそれで考えればいいんだなー。
なるほど。
それで?
鉛筆で下書き。
ペンで清書。
ペンは。
インクにつけるやつと、普通のボールペンみたいなやつがあるのか。ミリペンっていうのか。
確かに。0.1ミリとか、0.05ミリとか細かく分かれているな。
他にも、漫画を描くために必要なことがたくさん載っていた。
なんか、面白そう!!
ラフ。
具体的にどんな物語にしよう。
描いて。
朝になってしまった。
それで、
下書き?
やばい、昼が来てしまった!
もう少し、しっかりと。
やばい!
もう日が暮れる!
やっと、ペン入れだ。
えっと、ミリペンで。
あー、難しい。
でも。
絶対。
喜んでくれるはず。
あと少し。
12月25日、午後10時。
完成した!!
よっしゃー!!
そしたら、これを、まとめて。
午後11時。
ドアが開いた。
みんな、来てくれた。
それで。
おれが先頭で、リオンを待ち構える。
この、漫画を持って。
どきどき。
喜んでくれるかなぁ。
後ろを見た。
「大丈夫だよ」
ミカが、励ましてくれた。
ポチも、ヴァンローも、メメも、カミンも、笑顔で、見守ってくれている。
疲れた顔で、寝起きの顔で、俯いた顔で、エルフのレオンはやってきた。
「はい、これ。クリスマスプレゼント」
おれは、封筒に入れた漫画を渡した。
「あ、これ、私がサンタクロース中央郵便局で包んだやつ」
包んだやつ?
「い、いや。なんでもない」
そう言いながら。
リオンは。
封筒を、開いた。
「リオン、大変そうだったからさ。おれ、ベタとかトーンとか難しいことはわからないけど」
てか、そこまで、出来なかったけど。でも。
「サンタさんから、漫画セット、届かないと思ったけどまさかだったけど、届いてさ。自分なりに描いてみたんだよね」
レオンは、1枚1枚、丁寧に読んでいった。
そして。
レオンの目から、どんどん涙が溢れた。
自分の作品で、誰かがこんなに感動してくれるって、こんなに、嬉しいんだ。
「ありがとう。本当にありがとう。私、いっつもクリスマスプレゼント渡す側だから。本当に、嬉しい」
ミカが言った。
「ストーリーは、みんなで考えたんだよ!!」
ふふっ。
みんなで、サプライズだよ。
「お疲れ様。リオンには、おれ達が、みんなが、ついているから。大丈夫だよ」
空に、大きな花火が上がった。
クリスマスだから。
今までで1番、大きな花火が。
上がった。
ここの世界に来るようになってから、色々考えるようになっていた。
でも。
やっぱり。
誰かを喜ばせるって。
こんなにも。
嬉しい。
みんな揃って。
花火が、
上がった。
「なあ、みんな」
おれは、無意識に、告げた。
「ずっと、友達だから。
元気、出そ。
うつ病で、大変だけど。
みんなも、おれも、大変だけど。
生きて、行こうよ」
花火は、これまでにないくらいの迫力で夜空を包み込み。
そして。
儚く、散った。
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