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facilities ―アイ―

おいで頂きありがとうございます。


今日も何話か投稿していきます。


次話は9時予定です。

 単調な毎日。

 無機質な白い壁。

 あきらめきった目をした、施設の住人たち。


 この施設は、治療行為を行っていない。

 もう、出ていくことはないから。

 最後に、綺麗に死ぬためだけにここに集まっているんだから。


 隣の部屋のスズさん。

 物心付いたときから、ずっとここにいるらしい。

 死ぬための世界で、生きてきている。


 恥ずかしかった。

 今まで、あれだけ幸せな生活をしていた私が。

 全てに絶望して、泣くことすら忘れて。


 スズさんは、幸せを知らない。

 スズさんは、絶望を知らない。

 笑うことも、泣くことだって知らないんだ。

 まわりに満ちている、人の死。

 そんな世界しか、知らないんだから。


 恥ずかしかった。

 だから、笑った。

 笑うと言うことを、知って欲しかったから。

 笑顔で、挨拶できたと思う。

 笑顔で、話すことができてると思う。


 いつからか、スズさんも笑うようになった。

 この施設しか知らないスズさんに、酷いことをしているのかもしれない。

 笑うことを知れば、かならず泣くことも知るから。

 幸せを知れば、悲しみも知ってしまうから。


 それでも。

 それでも、スズさんの無垢な笑顔はとても綺麗で。

 スズさんの笑顔を見ることが嬉しくて。

 やっていける。

 私はここでもやっていける。

 そう、思うことができた。


 そして。

 出ていく。

 かならず、ここを出ていくんだ。

 その時は、きっと。

 スズさんもいっしょに。


 夢。

 夢と知っていても私は。

 そう、願わずにはいられない。

 いつか、いつかきっと…………。

読んでいただきありがとうございました。


貴重なお時間を費やしていただき感謝いたします。


気にいってただけたら幸いです。

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