さがしもの
明けましておめでとうございます。
ことしも、宜しくお願いします。
お正月にさらりと読めるお話です。
こたつの中にはいったまま、ミカンでも食べながら読んでみてください。
「いってらっしゃい、坊や。あなたの探している物はキットこれから行く所にあるはずですよ」
お母さんは、そう言って優しくボクを送り出してくれた。
ボクが生まれたのは、大きな大陸の東のはじっこ。
そして冷たい風にのって、海を越えてさらに東にある小さな島国にむかっていくの。
とちゅうで、たくさんの仲間といっしょになる。
「こんにちは、きみたちもいっしょに旅をするの?」
「うん、そうだよ。旅の先にはなにがあるんだろうね」
「きっと、すばらしいモノがあるんだよ。いっしょにさがしにいこう!」
ボクたちは、大陸からその島国に行くまでの間に通り抜ける海で、水分をたっぷり吸い込む。
吸い込んだ水分は、ボクの回りの冷たいくうきに冷やされて小さな氷の粒になっていく。
その氷の粒は、やがて成長してキレイな六角形の結晶になる。
そうして島国に着くと、島国の高い山にぶつかってしまい、それ以上はすすめないんだ。
ボク達はそうして、この島国にどんどんとおちていく。
◇ ◇ ◇
「あー、今晩は冷えると思ったら、雪がふりはじめてる」
道路を歩いていた女の子達の一人が、両手を空に向かって広げながら声をあげる。
道には一面に雪がつもっていく。
「ほらほら、手袋におちた雪をみて! きれいな六角形の結晶になってる」
他の女の子は、自分の手袋の上に落ちて来た雪を見て嬉しそうに横にいる友達に話しかける。
◇ ◇ ◇
ボクはまわりの仲間たちといっしょにに空からおちていく。
そして、人間の女の子の手袋の上に、たどりついた。
女の子は、手袋の上に落ちたボクを、嬉しそうにじっと見つめている。
空の上と違って、じめんのそばでは、ボクのまわりについている氷はとけてしまう。
だから、ボクは女の子に見つめられながら、ゆっくりと溶けていく。
ああ、そうか。ボクはこの子にあいにきたんだ。
お母さん、ボクは、さがしていたモノが無事にみつかったよ。
きっと、みんなもさがしものがみつかったよね……
了




